今季初のリーグ3連勝を懸けて。相性の悪さを吹き飛ばす戦いを
第19節H讃岐戦、天皇杯2回戦・町田戦、第20節A群馬戦と、公式戦3連勝中。機運が高まる中、チームは今季初のリーグ3連勝を懸け、7月1日、アウェイでJ2第21節・千葉戦に臨む。
前線の連係で得点力が高まりつつある
第19節H讃岐戦で6試合ぶりに勝利すると、中3日でメンバーを入れ替えて臨んだ天皇杯2回戦・町田戦にも4-2で快勝。さらに中3日で臨んだ前節のアウェイ群馬戦では、着実に流れをつかんで4得点を挙げるとともに、9試合ぶりの無失点で大勝した。
特に前節、第13節H名古屋戦に続く今季2度目のハットトリックを達成した後藤優介の好調が光る。それを支えるのは三平和司、小手川宏基と繰り広げる前線3枚のコンビネーション。オフ・ザ・ボールの動きでスペースを空けながらそこを使っていく流動的な攻撃が、相手守備陣を翻弄して決定機の確度を上げている。
また、伊佐耕平も天皇杯で2ゴール2アシストと全得点に絡んでいる。こちらは相手の特徴や勝負どころを踏まえた指揮官のプランニングにおいて、そのスピードや迫力といったストロングポイントを最大限に生かす起用法がハマっているようだ。
松本怜や福森直也ら、負傷から復帰してきたメンバーが復調していることや、天皇杯で出場機会を得た戦力の底上げが進んでいることなど、チームの機運は高まっている。
タレントを揃えアクの強いサッカーを展開する千葉
一方の千葉も、天皇杯2回戦では東京Vを1-0で下したあと、前節は岐阜に勝利しており、連勝を狙う。
互いに特徴のある岐阜との対戦では、4失点しているものの6得点という試合。特に千葉の6得点はすべて異なる得点者が多彩な形で挙げており、その攻撃力の高さや選択肢の豊富さが表れている。
前線には現在8ゴールのチーム得点王の清武功暉をはじめ、ラリベイや船山貴之、指宿洋史といった、単独で局面を打開できる力を持った攻撃陣が揃っており、中盤でも起用される町田也真人やアランダ、山本真希ら、タレントは枚挙のいとまがない。システムは3-5-2と4-3-3を使い分けており、戦力をどう組み合わせるかも予想しづらい。試合中のシステム変更にも対応できるように準備しておきたいところだ。
なにより今季の千葉を特徴づけているのは、前線からのプレスに連動して異様に高く保たれる最終ライン。ボールホルダーにマンツーマンで寄せるハイプレスに連動しながらハーフウェイラインまで押し上げ、その背後の広大なスペースを、GK佐藤優也がタックルやヘディングもまじえながら守っている。
そういったハイリスクを冒しながら、全体がコンパクトに保たれておりボールは奪いやすくつなぎやすい。最終ラインから相手を剥がしてビルドアップしていく中で、ポゼッション率も自ずと高くなり、相手を圧倒的に押し込む展開が続く。戦術が浸透する以前はカウンターでガラ空きの背後を突かれることも多かったが、最近では逆にそれさえ術のうちにしているようにも感じられる。
切り替えを念頭に置いた守備から鋭い攻撃を
そんな千葉に対しては、まずは食いつきすぎて入れ替わられることを警戒したいところだが、かといって押し込まれて最終ラインが下がってしまうとゴールを割られる危険性は増すばかり。カウンターを狙うにしても、しっかりと後ろから押し上げられる態勢を保ちつつ、チャンスと見るや前に出ていきたい。
ボールを持たれる時間は多くなると思うが、粘り強く対応しつつ、こちらも相手のプレスを剥がして攻めるスタイル。相手のフォーメーションや瞬時の状況を見極めながら、長短のボールを織り交ぜつつ動かしていく力が問われる。
マンツーマン気味のハイプレスを「受ける」のではなく「食いつかせる」といった具合に、逆に利用していければチャンスも増えるだろう。後藤は「走ることが求められると思うので、ランニングを意識しながらプレーしたい。ボールを持っていないときの動きがポイントになる」と、連係の重要性を説いた。
千葉といえば、リーグ戦での通算対戦成績が2勝4分18敗という相性の悪いチーム。だが、いまの大分はそれを払拭する力を磨きつつある。臆することなく冷静に、相手のストロングポイントとウィークポイントを見極め、自分たちの長所を押し出していきたい。