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今節の見どころ

ポジション争いに食い込む絶好のチャンス。“サブ組”の意地を見せろ

 

21日は第97回天皇杯2回戦・町田戦。リーグ戦のはざま、水曜19時キックオフのゲームに向けて、指揮官はメンバーの大幅入れ替えを予告した。

 

起用メンバーには早い段階から伝えられていた

 
「リーグ戦でなかなか絡めていないメンバーにチャンスを与えたい」と、片野坂知宏監督は言った。「そういう選手たちが公式戦でどれくらいのパフォーマンスをしてくれるか」
 
昨季も連戦となった天皇杯・清水戦に全員を入れ替えて臨み、リーグ戦ではサブ組やベンチ外に甘んじていた選手たちが格上相手に戦術の浸透を感じさせる好ゲームを展開したのは記憶に新しい。そこからリーグ戦への出場機会を増やした者もいる。今季もこれを機に台頭してくる戦力が期待される。
 
出場メンバーにはその旨が早い段階から伝えられ、18日のトレーニングマッチ・宮崎産業経営大戦にも、町田を想定した狙いで臨んだ。19日の練習はフィジカルコンディション調整が主な目的だったが、その中でも対町田戦術に関連する部分で刺激を入れたようだ。
 
ここしばらく少しコンディションを落としていた山口貴弘の出場も見込まれる。「サブのメンバー同士で積み上げてきたものもあるので、それがどれだけ通用するかをこの機会に試したい」と話す33歳は、ともに出場予定の若手たちが自信を持てるような試合にしたいと考えている。紅白戦やゲーム形式のトレーニングでも最終ライン中央で細やかにコーチングを続けるベテランが、これまでのリーグ戦では縁の下の力持ちを務めてきたサブ組を率いて戦う。
 

戦術理解を感じさせるプレーでアピールを

 
町田とはちょうど1ヶ月前に、明治安田J2第15節で対戦したばかり。縦にも横にも布陣をコンパクトに保って戦う町田の戦術を逆手に取って、こちらはシステムの特性を生かす大きなサイドチェンジを多用して好機を多く築いた。ただ、狙いはハマったが、フィニッシュの精度を欠いて2得点にとどまり、逆にセットプレーから高さでやられて2失点。残念なドローに終わった。
 
連戦中の天皇杯に、町田がどういったメンバーで臨むかはわからないが、基本的な戦術は変わらないはず。チームコンセプトを踏まえた上での対町田の戦い方は、今回も同様になるだろう。
 
リーグの町田戦でベンチに入った吉平翼は「町田は横方向もコンパクトなので、サイドチェンジとクロスの質さえ合えばチャンスになる。揺さぶったときに中でクサビを入れてコンビネーションで崩すことも出来るかもしれない」と予想する。クロスに合わせて得点を奪うのは吉平の得意とするところ。良い形で攻めながらなかなか複数得点を取れないチームにとって好材料となるような活躍を期待したい。
 
「初先発や初出場のメンバーもいる中で、しっかりチームとして戦えるかどうかがカギ」と指揮官。18日にはシキーニョの加入が発表されたが、今後の補強に関しては「この試合に出るメンバーがどれだけやれるか次第になる」とのこと。「新たな補強を行えば現有戦力の出場機会が減ることになる」と、選手たちにハッパをかけたい思いだ。
 
いま主力組とサブ組のライン上にいる選手はもちろん、これまで全く試合に絡めていないメンバーにとっても、存在感を発揮する絶好の機会。「失うものはないので思い切ってやるだけ」という山口に率いられ、存分にアピールしてもらいたい。