目の前の相手を剥がしてゴールに迫れ。ホームで3試合ぶりの勝利を
28日は明治安田J2第16節H岡山戦。アウェイ連戦後、2試合ぶりのホームゲームだ。チームは3試合ぶりの勝利を目指し、ハードなミラーゲームに臨む。
膠着必至の激しいマッチアップとなるか
負傷離脱者が続出した中、立て続けに2つの3連戦という厳しい日程を戦い抜いたチーム。今週はオフ明けから4日間、連戦で出た課題修正も含めてじっくりとトレーニングに取り組んだ。
アウェイ連戦となった直近2試合は、内容では相手を上回りながらセットプレーで失点し、勝ち点を取りこぼした感もある。今節こそは、3試合ぶりのホームで自分たちらしく戦い、こちらも3試合ぶりとなる勝利をつかみたいところだ。
今節の対戦相手である岡山は、3-4-2-1システムで独自のスタイルを築いてきたチーム。以前よりテクニカルにボールをつないでくる印象もあるが、攻守の切り替え早くハードワークを信条とするところは変わらない。ミラーゲームで、膠着必至の激しいマッチアップが予想される。まずは目の前の相手に負けないことが肝要だ。
負傷者が出たことによる戦力のやりくりで新たなオプションも増えている。前節はU-18時代から1年上の後藤優介に良質なラストパスを配球してきた國分伸太郎がシャドーで今季初先発。これまでのWBでの出場時とは一味違うプレーで見る者をワクワクさせた。林容平、伊佐耕平の2人のCFも、流れの中でそれぞれの持ち味を出している。
非公開で行われた紅白戦ではいくつかのオプションも試せたと話した片野坂知宏監督。対岡山にどのようなプランで臨むのかが楽しみだ。
高精度クロスは最重要警戒ポイント
ここまで5勝3分7敗の勝ち点18で17位と、今季の岡山はなかなか苦戦している状況だ。こちらも負傷者が多く、特に大銀ドームへの凱旋が楽しみにされていた伊藤大介の離脱は痛いに違いない。赤嶺真吾も第5節の群馬戦で負傷して以来、出場していない。
とはいえ前節は好調の横浜FCに対して2点先制から逃げ切り、相手を首位から引きずりおろしている、油断ならない相手だ。
直近4試合で1トップを務めているのは、現在4得点でチーム得点王の豊川雄太。171cm64kgと高さはないが、高い決定率を誇る。
「背後で受けたり斜めに受けたりと上手さがあるし、前を向いたときにはスピードがある。動いて突っ込んでくるので背後のケアを怠ってはならない。目を切らさずにセカンドボールを含めてコミュニケーションを取りながら対応したい」と、片野坂監督も警戒する。
怪我人が出ているとはいえ、シャドーとボランチの選択肢は豊富で、前を向かせると厄介なプレーヤーが多い。特に関戸健二や大竹洋平、石毛秀樹らの配置は気になるところ。そのあたりの人選によって対応策も少しずつ変わってきそうだ。
最も気をつけなくてはならないのが、クロスだ。右WBには経験豊富な加地亮、左WBには高精度の左足キックを武器とするパク・ヒョンジンを配置し、最終ライン左右の喜山康平や久木田紳吾からのアーリークロスもまじえ、ときには一捻りした形でクロスを入れてくる。まずは利き足を切るなど外で対応しなくてはならないが、それでも入れられたら、中で翻弄されてマークがズレないようにしなくてはならない。
ボールを動かして相手を剥がせ
クロスからの失点が多い今季、対岡山の守備は気になるところだが、逆に岡山も失点が多い。これまで堅いイメージが強かったが、失点数21と現在リーグワースト7位だ。
ホームの大分としては、先手を取って主導権を握りたい試合。ボールを動かすことでマッチアップする相手を剥がし、その穴を突いてゴールに迫りたい。そのためには予測や切り替えで相手を上回り、狡猾なポジショニングと動きで連係しながら相手を動かす能力が問われる。前線3枚のコンビネーションに期待したい。
練習後の監督や選手たちが口を揃えていたのは「相手にとって危険な位置にボールを入れること」。ただボールを動かすだけではなく、動かしながら生まれた相手の隙に間髪入れず勝負のパスを入れられるかどうか。このあたりは特に、川西翔太らの腕の見せどころだ。相手シャドーへの縦パスを通させず、自分たちは通す。ボランチとシャドーの仕事の質が主導権争いを大きく左右するだろう。
そしてこのミラーゲームでのもうひとつのカギはサイドの攻防。美しいふんわりクロスで知られる加地とマッチアップする可能性の高い山岸智が、現在の好調ぶりを発揮して、いかにこの元日本代表ベテラン対決を制圧するか。また、逆サイドでは長崎でパク・ヒョンジンとチームメイトだった岸田翔平が、相手の左足を封じながら負けじとクロスを送る。どちらも見応えのあるマッチアップになるだろう。
ポイントは多々あるが、総括すれば「自分たちのサッカーをすること」(川西)。ひとつの形にとらわれることなく、臨機応変に判断してプレーすることを指揮官は説いた。積み上げてきたものを信じて、この戦いに挑む。