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今節の見どころ

2つ目の3連戦2試合目は九州東西ダービー。ハードワークで上回り堅守を打開せよ

 

17日は明治安田J2第14節・アウェイ長崎戦。2年ぶりの対戦となる長崎は、ハードワークと堅守で知られるチーム。3連戦の2試合目であることに加え、前節、千葉に大敗していることで、非常に難しい試合となりそうだ。

 

連戦中に奥行きを増したチーム

 
今季2度目の3連戦。前回の連戦の疲労も溜まりつつある一方、チームは最初の連戦で、その奥行きを増した。
 
第10節H京都戦で個の力量に沈められたあと、第11節H松本戦ではこれまでになく構えた守備から良い攻撃につなげ、スコアレスドローに終わったものの勝ち点1を獲得。第12節A岐阜戦ではシステムを4-4-2に変更して、松本戦とは異なる形で守備から攻撃へとつなげ勝利を遂げた。
 
そこから中5日で迎えた第12節H名古屋戦では、押し込まれた状態からカウンターを繰り出し、前がかりになる相手の背後を突いて4得点。段階的に流れを引き寄せ、強豪相手に圧勝した。
 
松本戦以降、チームコンセプトはそのままに、戦い方にバリエーションが生まれ、試合展開や相手の状態を見ながら、それを選択し戦っている。それぞれ短い準備期間でチームが共通理解を深め、一丸となって戦術を遂行できているところに、組織としての成長が見て取れる。
 

前節の大敗で長崎はどう変わるか

 
だが、続く戦いは厳しい。今節からはアウェイ2連戦。長崎と町田が相手だ。
 
開幕からここまで、東京V、徳島、山形、京都と、大分が敗れたチームには共通点がある。個の力量の高いターゲットを前線に置き、ハードワークする点だ。
 
長崎もまさにそういうチーム。ここまで7得点の188cmFWファンマをトップに据え、その圧倒的なパワーを目指して豊富な運動量と球際の激しさ、切り替えの早さで戦ってくる。総得点の8割近くがセットプレーからと、特徴も明確だ。指揮5年目となる高木琢也監督が培ってきた3-4-2-1システムでのスタイルがしっかり浸透しており、それをベースに戦術的アレンジを加えながら、良いゲームを展開している。
 
その前線からの激しいプレッシャーや鋭いカウンターについて、現役時代に高木監督と広島でチームメイトだった片野坂知宏監督は「高木さんはハードワークして戦うチーム、堅いチームを作る。長崎は守備にしても攻撃にしても迫力が違う」と警鐘を鳴らす。
 
厄介なことに、この長崎が前節、千葉に0-5と大敗している。昨季まで2シーズンを高木監督の下で戦い、今節は自身初の古巣戦に臨む岸田翔平は、「高木さんはすぐに修正して、ことあるごとに『原点に帰る』ということをよくやるので、もしかしたらファンマを使わず走れる選手、戦える選手を起用してくるかもしれない」と警戒。一方で、戦略家の高木監督のこと、大分が不得意とする長身ターゲットのファンマを使ってくる可能性も否めないと話す。
 

ハードワークで上回り堅守を打開せよ

 
ただでさえ連戦で相手のメンバーが読みづらい上に、前節の結果を受けてさらに難しいことになった。相手がどう出てきても戦えるよう、最善の準備を尽くして臨むのみだ。
 
前線からの激しいプレスに慌てることなく、いつもどおり相手の勢いをいなしながらボールを動かすこと。それによる相手の変化を見極めながら、空いたスペースへと展開すること。
 
最も難しい状況になるとすれば、ゴール前を固められるケースだ。ブロックを作って守る相手を崩すのは困難で、特に堅守を誇る長崎ならなおさらの話。ここ4試合スタメンでカウンターの起点となり多くの得点に絡んでいる伊佐耕平も「そこッスよね…」と難しい表情を見せたあと、「途中のつなぎで流れを止めないように丁寧にやりたい」と話した。
 
3-4-2-1同士のミラーゲームで、サイドの攻防も主導権争いのポイントとなる。同じWBというポジションでも、大分と長崎では戦術上、動きや役割が異なる。相手のやりたいことをやらせずに、こちらのやりたいことをやる戦いが見て取れそうだ。長崎でもWBとして出場していた岸田は「前節、長崎の左WBは古部健太さんだった。古部さんが出てきたらハードな走り合いになる」と覚悟を述べたが、両軍の特徴を知る選手として活躍が期待される。
 
かつて大分でプレーした幸野志有人と田中輝希も在籍する長崎。チームを挙げてのハードワークに負けないよう、こちらも球際や切り替えといったベースの部分で戦い、自分たちのペースへと持ち込みたい。