TORITENトリテン

今節の見どころ

3連戦の3戦目はアウェイ。短い準備期間で難敵・岐阜に立ち向かう

 

それぞれ中3日で迎える3連戦の3戦目は5月7日の明治安田J2第12節、アウェイ岐阜戦。2年ぶりの長良川球場だが、相手はまったく違うチームに変貌している。

 

今季初、4-3-3の相手との対峙

 
中3日と準備期間が短い上に、今節はアウェイでの戦いとなる。名古屋までは飛行機だがその前後をバスに揺られることになり、さらにGW最終日ということで、心身への移動の負担も考慮しなくてはならない。スタッフ陣は細やかに注意を払っているようだ。
 
5日のトレーニングもボール回しとポゼッションを中心に、軽めの調整のみ。最初の2戦がホームだったとはいえ、さすがに疲労も蓄積されている様子だが、雰囲気は明るい。コンディション不良だったメンバーも少しずつ復帰している。
 
今節対戦する岐阜は、前節・前々節の、大型FWに長いボールを当ててくる京都と松本とはまったく異なるチーム。さらにシステムは4-3-3で、そのフォーメーションのチームとのマッチアップは今季初となる。単純に噛み合わせ上で空いてくるところやプレスの掛け方が異なるのに加え、今季の岐阜の非常に特徴的なスタイルを理解させるにあたり、「出来れば準備するのに時間が欲しかった」と片野坂知宏監督も本音を漏らす。
 
前節の松本戦に向けては、いつもと違って立ち上がりから守備を構える戦術で臨んだが、戦術練習が前日のみという状況で、見事に組織の統制が取れていた。「ミーティングで話したこと、チームとしてやろうとしたことを、選手がピッチの中でもコミュニケーションを取りながら、よく狙いをもってやってくれた。そうやって一体感を持ってやってくれるところはすごく良いことだし、たくましい」と指揮官も評価。
 
今節に向けて準備する戦術は、前節よりも複雑になりそうだ。選手たちのさらなる対応力が問われる。
 

大木スタイルが定着しはじめ3連勝中の岐阜

 
今季から大木武監督が率いる岐阜は、昨季までとはまったく違うチームになった。大木監督らしい、細やかなパスワークを武器とするスタイルで、システムは4-3-3。
 
長短のパスを自在に繰り出してゲームを組み立てるアンカーの庄司悦大を軸に、中盤ではシシーニョと永島悠史が圧倒的な支配率を誇る。トップには得点力のある難波宏明、その両脇にドリブラーの田中パウロ淳一と古橋亨梧を配置し、ゴール前の迫力も満点だ。14年から15年夏まで大分でプレーした風間宏矢もいる。
 
左SBの福村貴幸はパスをつなぐ技術が高く、右SBの大本祐槻は野洲高校から阪南大を経て今季加入したルーキーながら第2節以降は定位置を確保し、積極的に攻撃に絡んでいる。CBには2年ぶりに岐阜に戻ってきたヘニキと、京都時代から大木サッカーをよく知る田森大己、中盤もこなす2人が並ぶ。ゴールを守るのはスペイン国籍の守護神・ビクトル。
 
このそれぞれの戦力の長所を見事に引き出して、特にここ最近はそのスタイルが熟成してきた様子が見える。3月は名古屋、松本、横浜FC、東京Vと対戦して1分3敗と苦戦したが、4月は湘南と引き分けた以外は、町田、水戸、讃岐、金沢から4勝。前節の群馬にも勝利して6戦負けなしで3連勝中だ。順位も一気に8位へと駆け上った。
 

メリハリの効いたプレーで先制点を奪え

 
岐阜の細やかなパスワークに、対戦相手は翻弄される。昨季J3で対戦した盛岡も、前線の速く流動的なパスでの崩しが武器とするチームで、対戦にあたっては食いつき過ぎずにブロックを構えることで対応したが、岐阜はその崩しに、さらなる厄介さも加わってくる。
 
田中は相手に囲まれながらも寄せの甘い瞬間を見逃さずにシュートを打ってくるし、古橋と絡むとアイデアも増える。ボールを出した中盤も加わってめまぐるしく動きながら狙ってくるので、寄せるべきところでは寄せなくてはやられてしまうだろう。第8節で岐阜と対戦した湘南も、いつもの湘南らしさを捨ててアグレッシブな守備を封印し、構えて対応しようとしたが、3失点と苦戦している。
 
攻撃の意識が高いぶん、守備には穴もありそうだが、大分の攻撃陣が上手くそこを突けるかどうか。セオリーとしてはシャドーが相手のアンカー脇を狙うことになるが、その際に周囲がどう動いて相手をどう動かすかがカギになる。メリハリの効いたプレーが求められそうだが、そのメリとハリをどこでどう使うか。
 
先制すれば試合運びはやや楽になるはずだ。セットプレーも含めて得点に期待したい。何よりも前日のみの戦術練習で意思統一して臨めるように、チームが一体となって戦う様子にワクワクさせてもらいたい。