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今節の見どころ

リーグ屈指のしたたかさ。智将に率いられるハードワークのチームを迎え撃つ

 

3日に行われる明治安田J2第11節で、現在9位の大分は勝ち点1差で6位につける松本を迎え撃つ。中3日の過密日程だが、ホーム連戦であることをアドバンテージに、リーグ屈指のしたたかさを誇る難敵を下したい。

 

短期間で出来るかぎりの準備を施す

 
1日は、午前中から強い陽射しに照らされたBコートでのトレーニングをかなり軽めに切り上げた。隠す必要のない調整メニューだけに絞った関係で、一部非公開予定だったところを全公開に変更もした。ボール回しとポゼッションが主だったもので、戦術的な要素はほぼなかった。
 
この短い準備期間では、個の力量の前になす術なく敗れた前節・京都戦の疲労から心身ともに回復させることが最優先だが、練習後の片野坂知宏監督によると「思ったほどダメージはない感触」。グラウンドには終始、明るい真剣さが満ち、雰囲気は上々だった。
 
ただ、指揮官は今節もメンバー変更を余儀なくされる可能性を口にした。またも主力にコンディション不良のメンバーが出ているためだ。それほど重症ではないが、今後の戦いを考えれば無理させて長期離脱することになっても困る。30日のトレーニングマッチでは、ここまで試合に絡む機会のない若手たちのアピールもあり、指揮官としても試してみたい思いと、したたかな松本相手に彼らが通用するか否かという不安の間で揺れ動いているようだった。
 
毎試合、メンバーが変わることで、連係不足も課題となる。準備期間の短い今節もそこを完全に修正するには至らないだろうが、前節のリベンジに燃えるメンバーを中心に、選手たちは互いの意思疎通に余念がない。
 

ハードワークとセットプレーが松本の最大の武器

 
指揮6年目の反町康治監督により、独自のスタイルを培っている松本。ハードワークに支えられた堅守速攻、そして何よりもセットプレーからの得点で難しい試合をものにする、したたかなチームだ。
 
ここまで5勝2分3敗で、2試合で3得点。前節の讃岐戦では4得点を挙げて勝利している。ただ、内容的にはスコアどおりの圧勝ではなく、讃岐のカウンターにさらされながら相手の精度不足に助けられ、球際激しい戦いから相手の2CBを退場に追い込んでの結果だ。これまでの得点の7割超がPKを含むセットプレー絡みであることからもわかるように、セットプレーの狙いがハマるかハマらないかで、試合結果が分かれている印象もある。
 
システムは3-4-2-1。戦術はシンプルで、後方から188cmの1トップ高崎寛之にボールを当て、セカンドボールを拾って攻める形を徹底している。高い空中戦勝率を誇る高崎は今季6得点でチーム得点ランキングトップ。そのあとに、高精度のプレースキックを持つ宮阪政樹とセットプレーのチャンスを逃さない飯田真輝がそれぞれ2得点で続いている。
 

予測能力の高い相手に後手を踏んではいけない

 
大分にとっては、前節の京都戦に続き、強烈な“個”との対峙。ミラーゲームの今節はさらに、目の前の相手に負けないことが求められる。
 
相手が前線に当てるセカンドボール対応がカギになるのも前節と同じだが、工藤浩平とセルジーニョの2シャドーは予測能力が高く、局面ごとの反応も早いので要警戒だ。宮阪と岩間雄大のダブルボランチによるハードワークも、相手に主導権を握らせない展開に貢献している。
 
大分のボランチは前節同様、守備のために押し下げられてしまう可能性がある。前線と中盤との分断は、ボールをつなぎたい大分としては最も避けたい状態。理想はボールをつないでラインを押し上げていくことだが、そこまでの強さをこのチームはまだ培えていない。縦の距離感を意識しながら、特に中盤の運動量で相手に負けないようにしたい。
 
両WBのマッチアップも見どころのひとつ。ここ4試合、左WBで先発して経験値の高さを感じさせる山岸智は、今節もその位置で出場すれば、こちらも経験豊富な田中隼磨とぶつかり合うことになる。最近、自分のプレーを見つめ直し「やはり仕掛けていくことが自分の中でいちばんのストロングポイント」とあらためて認識したキャプテンは、試合当日に34歳の誕生日を迎える。中学時代から何度も対戦している田中を上回りたいと、静かに闘志を燃やす。
 
一方、石原崇兆と対峙する右WBは人選が読みづらい。前節は岩田智輝が先発し、後半頭から國分伸太郎に交代したが、若い2人はそれぞれに長所と短所が出た。コンディション不良だった岸田翔平も復帰しているが、試合勘がどうかというところ。
 
今季はクロスからの失点がパターン化しているので、スピードと勢いのある相手両サイドを抑え、最後まで球際に寄せる守備も徹底したい。
 

チームのポテンシャルを測る試金石となる一戦

 
負傷者多発のスクランブル状態でも、片野坂監督は「今節は自分たちのやり方でトライしていくつもりでいる。システムを変えたとしても、松本のようなハードワークする強い相手には太刀打ち出来ない」と割り切る。次節以降の戦い方に含みを持たせる言い方のようにも解釈できるが、その真意はどうか。
 
ひとつひとつのプレーにおける迷いのなさと勢いに触れながら、「これまで対戦したチームよりも力強さがある」と松本を警戒する指揮官が、現時点で戦える戦力をどう組み合わせて臨むか。また、ピッチに立ったメンバーが、その期待にどれだけ応えられるか。
 
明確なスタイルを持つ強豪・松本との戦いは、このチームのポテンシャルを測る試金石にもなりそうだ。
 

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