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今節の見どころ

3年ぶりの対峙。アグレッシブな“湘南スタイル”に、大分のやり方で立ち向かう

 

22日に行われる明治安田J2第9節・アウェイ湘南戦。アグレッシブなスタイルを貫く好敵手とは、2014年以来3年ぶりの対戦となる。

 

あの日の悔しさを今季のチームで晴らしたい

 
またも負傷者が出たことで、メンバーの入れ替えを余儀なくされそうだ。逆に、プレーできるかどうか微妙な状態と目されたが、どうやら大丈夫そうな戦力もいる。2位につける強豪・湘南との対戦を前に片野坂知宏監督は「戦力が整っている状態で対戦したかった」と苦しい台所事情を明かしつつ、「そのぶんチャンスが巡ってくる選手にこういうチャンスをものにしてもらいたい」と期待を寄せた。
 
最後に湘南と対戦したのは2014年J2最終節。その年の湘南は開幕から14連勝、その後1敗をはさんで21戦負けなしとダントツの強さを誇り、9月には早々にJ1昇格を決めていた。こちらはプレーオフ圏進出を懸けた混戦の上位争いの渦中。林容平が7分に先制点を挙げたが逆転され、74分に高松大樹の得点で追いついたものの、2分後にウェリントン弾に突き放されて敗れた。その結果をもってプレーオフ圏に勝ち点1届かず7位に終わったという、悔しさを忘れがたい一戦だ。
 
その後の2年間は湘南はJ1、大分はJ2からJ3へ転落と、カテゴリーを違えてそれぞれに戦ってきた。今季、降格と昇格によりJ2で再会。BMWスタジアムに乗り込むのも14年4月20日以来、ほぼちょうど3年ぶりとなる。
 
実は湘南に最後に勝利したのは2011年7月23日、J2第22節、ホームでの話だ。その後は2連続ドロー、そして現在は5連敗中。12年ホームと14年アウェイでは4失点を喫している。今節こそこの流れを断ち切りたいが、相手は強豪。國分伸太郎は「ここを乗り切れるかどうか、僕たちのサッカーが湘南に対してどのくらい出来るかどうかで、これからの方向性が見えてくる。チャレンジ精神をもって臨みたい」と話す。
 

今季は少し違う、けれど貫くものはブレない湘南

 
チョウ・キジェ監督が築いた“湘南スタイル”は、ケルン体育大でサッカー指導を学んだ指揮官の志向そのままに、「ザ・ドイツ」とでも呼びたくなるものだ。3-4-2-1システムで前線から連動して激しくプレッシャーをかけ、奪ったが早いか一気呵成に全員でゴールを目指す。最終ラインからも怒涛のように押し寄せてくるイメージだ。
 
シーズンごとに主力が他クラブへ流出しているが、そのスタイルはブレてはいない。ただ、今季はここまでの試合を見ると、特に前節の岐阜戦などは、球際に寄せたところを岐阜のパスワークに剥がされないように守備のやり方を修正し、ややアグレッシブさを欠いているようにも見える。
 
片野坂監督は「相手をそうやって引かせるくらい、こちらの攻撃が出せればいいのだが…」と言いつつ、「でも引かれたら引かれたで難しくなるし…」と複雑な表情。いずれにしても、相手の勢いをいなすところからスタートしそうだ。こちらがボールを奪えば、相手はその瞬間に激しく奪い返しに来る。それでも慌てず正確に、ボールを前に運んでいけるか否かが問われる。
 
今季の湘南の攻撃は、1トップのジネイが起点を務めつつ4得点。同じく4得点を挙げている菊地俊介と石川俊輝のダブルボランチは前への推進力があり、両WBの下田北斗と奈良輪雄太は運動量とスピードに長ける。さらに最終ラインから岡本拓也や杉岡大暉が攻撃参加してくれば、マークの受け渡しも忙しい。
 
ただ、前節の内容を受けて修正してくる可能性も高く、メンバー予想は流動的。万全の準備で臨みたい。
 

落ち着いて見極め、3試合で8失点の隙を突け

 
相手が前からプレスをかけてくればその背後を突いて攻め返すのが大分の狙いどころだが、カウンターの応酬になれば、それを得意としている湘南に分がある。
 
片野坂監督が「鍛えて走らせて戦わせる“ゲルマン魂”のサッカー」と評する相手の勢いに、素直におつきあいするのではなく、それをいなしつつ落ち着いてボールを保持し攻めたいところ。相手はここ3試合で8失点と守備に課題が噴出している。上手く背後を突ければ得点機は十分にありそうだ。
 
「相手を崩すポイントはシャドーがどれだけ受けられるか」と話す後藤優介は、これまで湘南戦に出場はおろかメンバー入りさえしたことがなく、今節出場すれば初の対戦となる。2試合連続得点中のストライカーが、周囲と連係しながら良い仕事をしてくれることに期待したい。ボランチが前を向く力も大きなカギになるだろう。
 
現在のところ、天気予報は曇り。0-4で敗れ惨めな気持ちで帰路に着いたBMWスタジアムの記憶を、会心の勝利で塗り替えたい。