待ちに待ったホーム開幕。山口の攻撃サッカーをアグレッシブさで上回れ
12日、第3節にしてようやく待ちかねたホーム開幕。カテゴリーをすれ違いになっていた山口との公式戦初対峙でもある。
非公開練習ではメンバーの入れ替えも
開幕からのアウェイ連戦を1勝1敗で終えて、第3節でのホーム開幕。これまでの2試合で得た収穫と課題を積み上げながら、今節も得るものの多い一戦を目指す。
今季初のホームゲームに向けて、10日には非公開で大銀ドームでのトレーニングを行い、芝のコンディションを確認するとともに新加入選手を雰囲気に慣れさせた。「ようやくホーム開幕ということでみんな気合いが入っている。ここ2試合は失点もしているのでしっかりした守備から入り、一丸となって勝利にこだわる戦いをしたい」と山岸智キャプテン。
若干の負傷者が出ていることに加え、坂井大将と岩田智輝がU-20代表から帰ってきたばかりということもあり、右WBの人選を含め、今節は若干のメンバー入れ替えも予想される。週の立ち上げのゲーム形式や非公開トレーニングでの紅白戦でも、これまでの2試合とは異なる戦力の配置を試したが、10日の練習後時点での片野坂知宏監督は「まだ迷っている」と難しい表情。メンバー選考はぎりぎりまで流動的なようだ。
「いまはまだ我慢する時期かもしれないし、トライする時期でもある」と、選手を入れ替えるにしても入れ替えないにしても、根気強くチームを育てる構えの指揮官。中断期間のない今季は、目の前の一戦に集中しながら全体の底上げも同時に進めていきたい意向があるのではないだろうか。
中盤で主導権を明け渡してはならない
2015年、魅力的なパスサッカーで圧倒的な攻撃力を見せつけてJ3優勝を遂げ、J2昇格した山口。昨季は好調に滑り出して一時は3位にまで順位を上げたが、最終的に12位でシーズンを終えている。
今季は昨季までの主力が大幅に流出したが、そのぶん的確な補強を行い戦力を維持。2月4日にトレーニングマッチで対戦したときには、こちらと同じく新戦力への戦術浸透はまだ途上だったが、上野展裕監督体制4年目とあって、既存戦力による“レノファスタイル”の表現には、確立されたものが感じられた。
第1節は岐阜に2点リードから追いつかれてドロー、第2節は福岡に2点先行されて一矢報いたが追いつけず敗戦。まだ勝ち星のない第3節、今度こそ勝利を目指して臨むはずだ。
ここまでのシステムは4-2-3-1で、ボールを奪うとまず裏抜けを狙う1トップの岸田和人に素早く入れるのが特徴。ほかにもスピードのある選手が揃っており、鈴木義宜は「その一発でやられないよう予測して前に出たい」と集中した守備を誓う。速攻で突破できなければ流動的なポゼッションで崩してくるので、そこで焦って食いつきすぎないようにしなくてはならない。
中盤に良いパスの出し手が多いことも警戒ポイントだ。前節は途中から佐藤健太郎をボランチに投入して三幸秀稔と組ませ、小塚和季をトップ下に上げた布陣で福岡を押し込んだことから、今節もそれでスタートする可能性は高い。この3枚に自由に縦パスを許さないよう、前線からしっかりプレスをかけてパスコースを制限しておきたい。
予想されるのは攻守の切り替えのめまぐるしい展開
カギとなるのはやはり中盤での主導権争い。前節・東京V戦では相手ボランチに厳しくマークされてシャドーがなかなか仕事をさせてもらえず、こちらのボランチも思うように前を向けなかった。微妙な位置でブロックを築かれて崩すことも難しかったが、そういった相手の守備の出方に対し、どのように攻めるかの共通意識も高めておきたいところだ。
「自分たちが形を崩さないと相手も崩れてこない。マークを剝がせればチャンスになる」と後藤優介。ワンタッチや背後など多彩な動きで翻弄しながら、システムの利点を生かすダイナミックな展開も織り交ぜたい。
「怖がって消極的なプレーはしてほしくない。思い切って立ち上がりからアグレッシブにやってほしい。ダイナミックなサッカーを見せたい」と指揮官。現役時代、広島でチームメイトだった上野監督との対戦に「こちらも自分たちのスタイルでぶつかりたい」と真っ向勝負を挑む。攻撃志向のチーム同士、攻守の切り替えのめまぐるしい展開が予想される。
ここまでの2試合で出場していない岸田翔平の和人との双子対決は、そして黒木恭平の古巣対戦は見られるのか。今季から山口でプレーする大分の生え抜き・福元洋平や2015年に大分でプレーした岡本英也との対戦はあるのか。また、伊佐耕平の大阪体育大の3年後輩で大分にも練習参加していた池上丈二とのアピール合戦は、など、因縁の見どころも多い一戦。
ホーム開幕を待ちかねていたサポーターがスタンドを青く染めてくれることに期待しながら、試合後に勝利のダンスを踊れることを信じて、戦いに臨みたい。