【アカデミー通信】松岡颯人、木許太賀、小野俊輔。U-18から2016年以来のトップチーム3人昇格
9月28日、大分東明高等学校にて、大分U-18所属の松岡颯人・木許太賀・小野俊輔3選手の来季トップチーム昇格会見が行われた。
小澤正風社長と平塚正明校長の挨拶のあと、西山哲平GMからあらためて学校への感謝が伝えられ、続いて3選手の特長について紹介。大分U-18は、これで2019年以来5年連続でトップチーム昇格選手を輩出することになった。3人昇格は岩田智輝・吉平翼・江頭一輝の2016年以来だ。
クラブの推し進める「カテゴリーアップ」方針のもと、3人は今季初めからチームに帯同。鹿児島キャンプの段階からU-18と行き来しながらプロ予備軍としての日々を重ねてきた。
杵築市生まれでU-15宇佐からトリニータに加入したボランチの松岡は、170cmと上背こそないが、重心の低い安定感のあるボディが、今季は一段とゴツさを増している印象だ。豊富な運動量で広いプレーエリアを網羅し、ゲームメイクの力も併せ持つ。ケヴィン・デ・ブライネのようになりたいという18歳は、「攻撃のアイデアは持っているほうだけど、守備では1対1で勝つ力や奪い切る力を身につけなくては上には上がっていけない」。いまボランチで活躍するアカデミーの先輩たちも課題としてきた組織のオーガナイズについては「ボランチは周りを動かすのが重要な役割。自分は話すのは得意なので、頑張っていきたい」と前を向いた。鹿児島キャンプのときに渡邉新太と一緒にグラウンドからホテルまでランニングして帰って以来、現在も何かと目をかけてもらっているようだ。
木許も165cmと小柄だが、シャープな動きでスピードに乗って前進できるドリブラーだ。アザールのプレーを参考に、1.5列目でボールを受けてのチャンスメイクを得意とする。相手の前に入っていくドリブルが持ち味で「技術には自信があります」ときっぱり。津久見SSSでサッカーをはじめる前からボールに触っていたそうで、少年団でもドリブル練習ばかりしていたという。囲み取材での受け答えにもスタイリッシュなこだわりを見せ、いい意味での不敵さも匂わせる一方で、トップチーム昇格が決まるかどうかと気になる日々も過ごした中、髙田哲也ヘッドオブコーチングから昇格内定の電話がかかってきたときには「寝起きだったのでびっくりした」という一面も垣間見せた。町田也真人から「もっと自分からどんどん要求するように」とアドバイスされた、今後が楽しみな逸材だ。
大分市に生まれ大道SSS出身の小野俊輔は181cmの大型DF。CBを主戦場とするがSBもこなし、攻撃では高精度のキック、長短のパスでゲームメイク。守備ではスピードを生かしたカバーリングを得意とする。昨年10月に右足首を骨折したためトップチーム帯同も他の2人より遅れ、「最初はついていくのに必死だったけど、メンタル的にも変えていこうと思った中で自分のプレーが徐々に出せるようになってきた」と気持ちの強いところを見せる。高2の頃にはビルドアップ時、相手のプレスへの対応に課題を抱えていたが、トップチームの練習に参加して周りの選手からアドバイスをもらったりする中で「弱みだったところが強みになってきつつある」という。「後方からのチャンスメイクという自分の武器をひとつ増やしていきたい」と語る目は、冨安健洋を追い続けているそうだ。
3人ともに早い時期からトップチームに帯同したことで、プロのプレー強度やスピード感を肌で感じたのみならず、ピッチ外の生活面でも刺激を受けている模様。特に練習後にクラブハウスで食事が摂れるようになったことから、栄養面にも関心が生じたという。チームの苦しい時期を目の当たりにして「結果を出さなくてはサポーターを喜ばせることが出来ない」とも痛感したようだ。
来季からは自分たちもプロのプレーヤーとしてJリーグの舞台に立つことになる。大分U-18から27、28、29人目のトップチーム昇格選手。「育成の大分」を裏付ける成長と活躍に期待したい。