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勝利へのカギ

【アカデミー通信】「将来はW杯で活躍できる選手に」。屋敷優成、トップチーム昇格会見

 

1月11日、大分東明高校にて、屋敷優成のトップチーム昇格記者会見が行われた。昨季の弓場将輝に続き、大分U-18から24人目のトップチーム昇格選手となる。

 

生え抜きとして将来は大分の中心選手に

冒頭に平塚正明校長が「大いに期待している」、榎徹社長が「将来的にトリニータやJリーグを背負う中心選手になって欲しい、それが出来る選手」と喜びを表明。続いて西山哲平GMが、育成スピードを上げるというクラブの育成目標において、高校2年次からトップチームの公式戦に出場していた屋敷はそれを体現してきた選手であることを述べ、それは高校側の理解と協力態勢あってこそだとあらためて感謝を伝えた。
 
壇上の人となった屋敷は緊張した面持ちで「夢だったプロ選手となったが、まだスタート地点に立っただけなので、感謝を忘れずチームとともに成長して、将来はA代表入り、そしてW杯で活躍できる選手を目指す」と挨拶。自らのストロングポイントであるスピードと裏抜けをさらに磨き、得点という結果につなげたいと抱負を語った。
 
トップチーム昇格決定にあたり、まず最初に報告した相手は父。グロインペイン症候群で半年ほどプレーできずサッカーをやめようかとまで悩んだ中3の頃、病院を探すなどしてくれた両親の支えが大きかった。その感謝を忘れることはないという。

 

公式戦デビューはクラブ最年少の16歳9ヶ月25日

「今季トップチーム昇格する同年代の選手に比べアドバンテージになる」と西山GMが胸を張ったように、屋敷は高2だった2020年7月にトップチーム2種登録され、8月12日のルヴァンカップGS第3節・柏戦に先発して公式戦デビュー。16歳9ヶ月25日で、それまでの為田大貴の17歳12日からクラブ最年少記録を塗り替えた。
 
昨季はトップチームにつねに帯同し、練習試合も含めてともにトレーニングすると、3月17日に開催されたJ1第5節・C大阪戦に途中出場してJ1の舞台でリーグ戦初出場。シーズン終了までにリーグ戦3試合、ルヴァンカップ6試合、天皇杯3試合に出場し、経験を積んだ。
 
GMがコンスタントにその様子を見守れたことによってトップチーム昇格へのジャッジが早まり、通常は8月頃に内定するところ、早々の5月20日に発表となる。評価ポイントは「スピードと守備での献身性、傾聴力があり努力を怠らないメンタリティー」。
 
50m6秒という爆発力あるスピードとスプリント、身長は165cmと小柄ながら安定した体幹が強く印象づけられるプレーヤーだが、屋敷自身はトップチームでの公式戦出場によりスピードや強度での差を感じたという。敬愛する先輩・伊佐耕平にならって筋トレに励み、寮に帰ってからもベンチプレスや懸垂に取り組んだ結果、「自分で言うのもなんだが上半身には自信がある」。自らを「技術の高いタイプではない」と評し、子供の頃から食事などに気を使った成果として「身長は伸びなかったが体幹がしっかりした」と話す。

2020年LC第3節A柏戦にて公式戦デビュー

天皇杯・群馬戦での上村コーチの一喝が一皮剥ける契機に

そんな屋敷にも、西山GMが「いい意味でも悪い意味でもトップチームでの練習に慣れてきている」と見做した時期があり、「周囲に迷惑をかけない程度にトレーニングできるようになったというだけで満足してはダメ。メンバー入りを目指し、より自覚をもって取り組むように」と訓示を垂れたことがあった。
 
そこからさらに一皮剥けるきっかけになったのが、天皇杯4回戦・群馬戦だ。チームが最も苦しんでいた8月、なかなか結果が出ない中で戦い方を変えた時期で、コロナウイルス感染者が多発して試合翌々日からは緊急事態宣言も発令されるという状況での、横浜FM戦から中2日で臨んだアウェイ連戦。タフな5連戦の2戦目でもあり、先発の屋敷の他に小野俊輔、後藤響、佐藤丈晟、保田堅心とU-18選手をベンチに並べての総力戦だった。
 
急造の布陣を修正しつつ、82%にも上る湿度とも戦いながらのゲーム。チームとしても締まらない中、長所を出せずにいた屋敷にも、ハーフタイムに上村捷太コーチからゲキが飛んだ。「みんなと同じ気持ちで戦えているのか」。初めて厳しく叱責されたことにより、自身がトップチームの一員として計算されていることをあらためて感じ、後半の修正につなげることが出来たと振り返った。

成長加速度を増すきっかけとなった天皇杯・群馬戦

松本昌也に続く中津市出身Jリーガー

生まれは県北の町・中津市。学年で言えば9年先輩の松本昌也(現・磐田)に続く中津市出身Jリーガーとなる。同じ和田小の出身で、監督も同じ。恩師をまじえて3人で食事したこともあり、プロ生活についてなどいろいろと教えてもらったという。
 
松本も子供の頃から体格的に恵まれたタイプではなく、以前は球際での競り合いを避けてポジショニングを磨いていたが、そこから筋トレでフィジカルを強化し、当たりに強いプレースタイルへとシフト。従来の連係で崩すスタイルから個でも打開できるプレーヤーへと変貌した。屋敷もそんな松本の「一人で打開して崩すところ」を見習いたいと話す。
 
トップチームでは下田北斗との日々の居残り練習が役立った。1対1で「ターンして前を向けるように」とアドバイスされたという。会見で何度も名を挙げたのは伊佐。ポジションは異なるが、確かにスピードに乗った裏抜けや球際への当たりの強さ、スペースでの躍動感などには共通点も多い。
 
会見終了後にも平塚校長が「今後も優成をよろしくお願いします」と頭を下げた。多くの人たちに期待され見守られながら、また一人、大分アカデミーからプロプレーヤーが羽ばたいていく。

平塚正明校長(右)、青井龍一事務局長からも期待が懸かる

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