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【アカデミー通信】成長が待たれる技巧派レフティー。MF野上拓哉がトップ昇格

 

4日、U-18所属MF野上拓哉の来季トップチーム昇格が発表された。

 

目標はアカデミーの先輩・清武弘嗣

 
1998年11月29日、大分市生まれ。日岡SSSでボールを蹴りはじめ、U-15からトリニータへ。SH、トップ下、ボランチを主戦場とする左利きで、今季はトップチームに2種登録されていた。
 
ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)が好きで、目標はアカデミーの先輩・清武弘嗣(セビージャ)と話すとおり、高い足元の技術を生かしながらタイミングよくスペースへと出すパスには特有のセンスが感じられる。西山哲平強化部長はその足首のやわらかさや持ち前の感覚を高く評価し、片野坂知宏監督も「面白いプレーヤー」と期待を寄せる。
 
今季からU-18を指導する中村有監督は「もっと試合全体の流れを読めるようになってほしい」と、シーズン序盤からボランチでも起用して育成。最近は右SHで手ごたえを感じているようだ。
 

しなやかさや軽やかさを維持しつつ身体強化を

 
4日はトップチームの練習に参加。6日のJ3第28節・G大阪U-23戦に備えての紅白戦では、相手を想定したチームの右SHで“仮想・堂安律”を務めた。
 
さすがに、J1でもプレー経験を持つU-19アジア選手権MVPの堂安とは行かなかったが、こうしてJ3優勝・J2昇格のかかったこの時期にトップチームの選手たちに混じってプレーすることは、野上自身にとっての日々の糧になるはずだ。練習後には「U-18と違って具体的な声の掛け合いが多く参考になる。トップチームで教わったことをU-18でも生かしたい」と話した。
 
課題はこれまでトップ昇格してきた同タイプの選手たちと同じく、やはりフィジカル面。175cm61kgの体は線が細く、トップチームの練習参加でもまだまだ当たり負けの感が否めない。今後、筋トレで増強するとともに「トップチームの環境でプレーすることで次第に鍛えられていくものもある」と、西山強化部長は言う。
 

「残り3試合で後輩たちになにかを残したい」

 
現在、プレミアリーグWEST残留をかけて戦っているU-18。野上自身も新人戦で顔面骨折の重傷を負ったが、今季は負傷者が多く戦力のやりくりに苦心するなか、なかなか結果を残せずにここまで来た。
 
シーズン終盤になってようやくチーム状態が上向きとなる。先月開催されたJユースカップでは初戦の2回戦で富山U-18に2-1で勝利。3回戦・京都U-18戦では相手よりシュートを多く放ちながら決定力不足に泣きPK戦で敗れたが、「今季いままででいちばん良い状態。次につながる試合だった。これを継続したい」(野上)。
 
リーグ戦は残すところ3試合。「自分がいちばん目立つことがチームへの貢献につながる。3試合で後輩になにかを残したい。全試合が勝負どころで、すべてに全力で臨む」と、プレーで牽引することを誓う。
 
可能性を感じさせる技巧派レフティー。トリニータの生え抜きの系譜に名を刻み、名だたる先輩たちに続くプレーヤーへと成長してもらいたい。