TORITENトリテン

闘う言葉

MF 7 梅崎司「今日は勝ったが、もう僕らは次に向かっている」

 

——劇的決勝PK弾だった。コースについては。

直前で決めた。これまでも練習段階から何度も決めているコースだったので、自分を信じて蹴った。本当は真ん中に蹴りたかったが勇気がなかった(笑)。

——クラブの命運が懸かった場面で生え抜きのキャプテンとしてPKを託されたときの心境は。

試合前から、そして前日、さらにずっと前から積み重ねてきている中で、そういった局面になったら自分が蹴るんだという思いをずっと持っていて、昨日もそう考えていた。自分の思う価値、自分の望む選手像として、やっぱりあそこで逃げちゃいけない、自分が蹴るんだという思いを持っていたいし、実際にそれを実行できる選手でありたいので。そして、あの状況では僕かノム(野村直輝)が蹴る場面というところで、ノムが「ウメさん蹴って」と言ってきた。

——これまでクラブのさまざまな歴史を見てきたサポーターたちの望みも次へと繋いだところで。

勝つしか道がなかったので本当によかった。でも、今節からの3試合の本当に第一歩だと思っているので、今日は勝ったが、もう僕らは次に向かっている。次、勝つぞという思いで明日から準備していく。

——先発メンバーを変更して臨んだ中で、なかなか追加点が取れない展開をベンチでどう見ていたか。

シモさん(下平隆宏監督)も試合後のロッカールームで「ああやって攻め続けた姿勢が最後のPKを呼び込んだ」と言ってくれたし、僕もそう思う。栃木戦の反省が生かされた試合だった。

そういう戦況を僕も見ながら、この試合は途中からということで、「絶対に僕がゴールを取るんだ、チャンスを作り出すんだ」という思いでいた。途中から出る選手はみんなそうだったと思う。みんなで勝ち取った結果だと思う。

——若い選手たちに力みか緊張のようなものも見えた中で、経験豊富な選手たちが途中からピッチに入ったというのもよかったのでは。

そうですね。わからないが、監督もそういった意図を持っていたのかもしれない。もちろんそれで悔しさも僕の中にはあったが、絶対に流れを変えるという思いでいた。ベンチの雰囲気もすごくよかった。ベテランだからというのもあるかもしれないが、一緒に戦っている感じがあった。

——ポストを叩いたシュートが決まっていればというシーンもあった。

あれは決めなくてはならなかった。感覚的には狙いどおりにニアハイを蹴れたのだが、止めてもよかったのかなと思う。

——なかなか決定機が決まらず、ここ最近の試合のように勝ちきれないのではないかという雰囲気にはならなかったか。

勝ち方を忘れているところも正直あったと思う。だが、本当に勝ちにこだわろうとみんなで話したし、勝利に飢えていたところもある。そういった強い思い、願いが通じたのかなと思う。

——ここ最近は試合後のゴール裏も殺伐とした雰囲気だったが、今日はひさびさに喜び合えて。

殺伐としていたところもあったが、それでもアウェイでも多くの方が応援に駆けつけて声を出し続けてくれて、めちゃくちゃ応えたいという一心でいた。ようやく、まず一個だが、みなさんの声を喜びに変えることが出来て本当によかった。

——シュートしてPKを獲得した松尾選手については。

彼には「ありがとう」と伝えた。彼は今季、自分のよさも出せている時期もあって、点にも絡んでいて、苦しい時期も彼なりにすごくあったと思うが、ブレずに自分のペースでやり続けてきた。だからこそこういった緊張するプレッシャーのかかる試合でもいいプレーを見せてくれたし、そういった選手がこの時期に出てくることが、チームとしてすごく大事。リーグ戦残り2試合でそういった選手が、またさらに出てくるかもしれないし、僕もそうでありたい。そういう循環が今日の試合で出来てきているので、それをより強くしていきたい。