【記者会見】下平隆宏監督「相手をメンタル的に優位に立たせてしまった」
前節の大敗からの今節のホームでの一戦。立ち上がりから選手たちは準備したものをしっかり発揮してくれて、特にアグレッシブに闘う部分は前面に出してくれた。前半はわれわれのペースだったと思う。相手に退場者が出た上に得点することが出来て、ゲーム的にはかなり優位に進めていた。ただ、ハーフタイムに選手たちに追加点を取らなくてはならない、一瞬の隙も与えてはいけないと言って後半に入ったのだが、追加点が取れず、相手のセットプレー絡みで押し込まれる展開が続いてしまって、そこで失点。1人少ない相手に同点にされてしまう典型的な流れに持って行かれてしまった。
点を取る、決め切るところ、追加点のところ。点が取れなくても最後は体を張って守り切るところ。そこが出来なかった。そこは単純にチームの力不足だと思う。まだまだチームとしてやるべきことをもっと高めていかなくては、こういうゲームは簡単に勝てない。
さらにレゾナックドーム大分での入場者数も1万人を割ってしまって、そこも非常に残念。やはりわれわれがしっかり結果で応えなくては入場者数は増えない。結果と入場者数の両方を達成できるよう、また選手たちとトライしていきたい。
——大幅な変更を施して臨んだが、狙いは。
長崎さんは4-2-3-1ということで、メンバーはちょっと読めなかったが、3トップ気味にワイドに張ってくる。それに対してわれわれが3バックでやっているとどうしてもスペースを空けてしまうことになるので、4バックで対応できるようにと、まずは守備目線でシステムを変えた。
そこからの攻撃のところはアンカーに羽田を入れてボールを動かしながら、特に左サイドの藤本と高畑を生かした。いままでのシステムであれば2人が同時に出ることはないのだが、このシステムにすることで2人のコンビネーションも作れて、特に前半は左サイドで再三突破できていたと思う。
——後半は相手に流れが傾いた。
カウンターもあったし押し込んでからのところももう少し精度が上がればというところで、決定機がなかったわけではないと思うのだが、そういうところで決めきれずにいると、相手はセットプレーでもカウンターでもワンチャンスを狙っていこうと、気持ち的な部分で継続させてしまう。そういった意味で決めきれなかったことがまず大きな原因。相手をメンタル的に優位に立たせてしまった上に、相手は交代でパワーのある選手を入れてきて、そういうところでロングスローを含めセットプレー絡みで押し込まれてしまった。しっかり跳ね返せる場面もあったし、セットプレーになったとしても本当に高い集中力を持っていればやられるシーンではないと思う。長崎はセットプレーが得意なチームだということは十分にスカウティングし、それに対する準備もしてきた中での失点だったので、非常にもったいない残念な失点だった。
——1人少ない相手に1点リードした中で、試合運びについては。
緩めずに絶対に追加点を取りにいくというところで選手たちもハーフタイムに話をしていた。守りに入るのではなく、追加点を取ると。相手は1人少ないし前半の展開を考えれば、もう1点取りにいってそこでゲームを決めるというプランで入った。
——攻めている感じはあったが雑で、不用意なロストから焦った守備で相手にセットプレーのチャンスを与えた。
こういうシチュエーションは珍しいと思うが、僕も少し攻め急いでいるなというか、クロスも単純だし、もっともうひとつ深いところに進入していくとか、PKを誘うようなエリア内に進入する攻撃の仕方をしてもいいのではないかと思っていた。単純にクロスを上げても相手GKもサイズがあって跳ね返されてしまう。そこでセカンドボールを拾えればいいのだが、拾えなければカウンターにつながるシーンも作られてしまう。そういう意味では攻撃のクオリティー、考え方も含めてもうひと工夫してもよかったのかなと思う。
——長崎は選手交代で流れを引き寄せたが、大分は選手交代してもなかなか勢いづかなかった。
今日ベンチにいた中で(佐藤)丈晟以外はいつも先発出場しているようなメンバーだったので、単純にメンバー表を見ても、サブに力のある選手がいるという印象だったと思う。ただ、やはりメンバーだけでなくゲームの流れの雰囲気も当然あるので、最後のところで選手たちはセットプレー絡みで押し込まれて失点してしまい、さらに点を取りにいくということを考えると、もうちょっとパワーを出してほしかった。ただ、前半からかなりエネルギーを出していた選手も多く、途中交代の選手だけでは変えられないものもあったと思うので、前半から出したパワーでゲームを決めるというところで行くと、もっと前に仕留めるチャンスがたくさんあっただけに、非常に残念に思う。
——点を取れるFWを含め、いま怪我人などの状況は。
本来予定していたFWが急遽怪我をしてメンバーを変えなくてはならない状況になったり、コンディションがまだ整っていなかったりというところがあったが、あれだけクロスが上がったりフィニッシュに近づいているシーンがあれば、やっぱりCFには点を取ってほしい。いまそこで点が取れていないというのはチームとしての課題だと思う。
——勝点1は積んだが、勝たなくてはならない試合だったと。
もちろん。そういう展開だと思う。
——前節の大敗からのリバウンドや新しい選手の起用というところでは。
前節の大敗からしっかりメンタル的に回復し、今日のゲーム前のロッカールームは、開幕当初のようなすごく活気のある、闘う集団の雰囲気が戻ってきていたので、それは非常にいいなと思っていた。その雰囲気がまず今日の前半の展開につながったと思うので、これをベースとして続けなくてはならないと、選手たちにも試合後に話した。その上でゲームの進め方などが課題になってくる。その結果に対しては全然満足していないので、そこの部分を高めていくという話もした。