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闘う言葉

【記者会見】下平隆宏監督「いろいろある中で出たメンバーが本当によくやってくれた」

 

まずいい形で先制できて、そこから長い長い90分間だったと思う。ただ、スコアこそ1-0だったが、選手たちが見せてくれた気迫とパフォーマンスのおかげで、本当に締まったゲームになった。ここで負ければJ1昇格が遠のくというところで選手たちも危機感を持って臨んだ一戦で、サポーターも含めて一体感を持って戦えた。それが勝利に近づく第一歩だったと思う。最後まで戦った選手たちを誇りに思う。

——今日の勝因は。

(23日に開催された第28節)水戸に負けてから苦しい残り10試合となって、J1昇格に向けての危機感を持って臨んだ一戦だった。僕自身も気合が入っていたし、選手も相当な覚悟を持っていたと思う。メンバーのほうも、累積と怪我とコンディション不良などいろいろある中で少し変わったが、出たメンバーが本当によくやってくれた。「こういったことをチャンスだと思って、そのチャンスを掴んでいこう」と話をした中で、GKの吉田も含めディフェンスラインが無失点で終えたことを、すごくよかったと思う。

——今週、立て続けにコロナ感染者の発表があったが、今日の布陣はどれだけ急造だったのか。

3日連続で1日1人ずつ順番に感染が確認されていったので、なかなかそのへんは難しかったところがあった。ただ、羽田はちょいちょい試合に出ていたし、ユキ(伊東幸敏)に関しては3バックシステムに変更してからポジション的に出番を失っていたところもあったのだがコツコツ腐らずにずっとやってくれて、チャンスがあれば使いたいという状態を続けてくれていた。彼のそういった日々の努力が、今日の試合で急に抜擢されてあれだけのパフォーマンスを出せた要因かと思う。

——秋田の特徴的な攻撃に対してはラインコントロールとトランジションがカギになったと思う。ペレイラ選手が出場停止の中で、羽田選手を真ん中に置いたが、守備の狙いと無失点の評価を。

羽田はもちろんヘディングの強さもあるが、声を出してラインコントロールが出来るのでしっかりそこをやってくれた。相手がフリーでボールを持っているとラインコントロールは難しいと思うのだが、それは中川寛斗やサムエルがしっかり前線からプレッシャーをかけてくれたおかげで、今日はラインコントロールが出来たと思う。あとは吉田。ビッグセーブもあったし、急遽の抜擢の中で最後は足がつっていたが、素晴らしいパフォーマンスだった。

——水戸戦の後に町田選手が「秋田戦は勇気を持って戦いたい」と話していた。

それはビルドアップの面についてのこと。徳島戦では2点リードした中で受け身になり、自分たちからボールを持つことを放棄し、守備一辺倒になって追いつかれた。あそこからもう一回、勇気を持ってボールを持っていこうと話した。そういう時間帯がないと当然、厳しい試合が続く。本当にJ1を狙っていくチームであれば、そういうところにこだわって、勇気を持ってボールを持てるようになっていかないとと言って水戸戦にも臨んだ。今日もストロングな攻撃をしてくる秋田さんに対して受け身に回ったらしんどかったと思う。受けに回る時間帯もあったが、自分たちが攻撃を構築する時間、相手の足を止めるビルドアップなども勇気を持ってやってくれた。前回対戦では最後に押し込まれて追いつかれてしまったが、そのへんはチームが成長したと感じる。

——つなぐときはつなぐ、クリアするときはクリアするという明確な戦い方を指示していたのか。

もちろん、基本的には、相手がプレッシャーに出てこなければ、つなげるところはつなぐ。相手が動くところで生まれるスペースを見つけてポジションを取って前進していくということは変わらない。ただ、かなり前からわれわれのビルドアップに対して強めにプレッシャーに来たときには、クリアすることも必要だと、選手たちに判断させている。

——今日の勝利を今後にどうつなげたいか。

次節のアウェイ新潟戦はいちばん難しいゲームになると思うが、連敗して向かうのと、自分たちがやるべきことをやって勝って向かうのとでは意味合いが違ってくる。