TORITENトリテン

闘う言葉

MF 23 中川寛斗「僕らはJ1に復帰してJ1でJ1クオリティーを出さなくてはならないので」

 

——テンポよくつないでの先制点の場面。あそこに走り込んだ意図は。

今日は2トップだったので、ニアと真ん中とフォアのどれかにFWが入ってくれれば、PKマークの付近は空いてくる。もし2トップがニアとPKマークのところにいるならフォアが空いてくる。2トップがフォアとPKマークにいればニアが空いてくる。僕は2トップの後ろにいて、どこに入るかが的確にわかるので、そこさえ押さえておけば、あとはボールが来るか来ないかで、来たら点が取れる。来なかったらセカンドボールも拾える。賢く3バックをやることによって、クロスからの得点が増えてくる。

——金崎選手が合流したばかりで、中川選手自身も復帰して間もない。いろいろと新しい要素が多かった今日の試合で、どのように戦ったか。

このシステムでやる場合、3ボランチは走力と戦う局面を大事にする選手が選択される。僕でなく誰が出てもそのノルマは全うするべきだと思うし、それが今日は出来たと思う。みんな昔から夢生くんのことを知っていて、裏の抜け方やストライカーの気質などもありつつ、周囲を助けるサポートも兼ね備えているので、準備期間は1週間しかなかったが、その中で僕らはやりやすく出来た。ストライカーなので、呉屋くんと2人で点を取って、チームに勢いをつけてもらいたい。

——呉屋選手がシュートを打つシーンがなかなか生まれなかったが、彼の最大限の生かし方は。

僕らが彼に合わせることも大事だが、僕らのクロスや、僕らが崩した最後の仕事、間で受けたりクロスに入っていったりする能力に彼は長けているので、そういう場面はもっと増やすべき。ただ単に呉屋くんを見ているだけではなく、チームのコンセプトがある中で、ひとつのピースとしての呉屋くんが生まれれば、呉屋くんが点を取れるチャンスも増えてくると思う。東京V戦で(渡邉)新太から呉屋くんにパスして呉屋くんがストライカーらしいゴールを決めたが、あれも呉屋くんを見て呉屋くんが決めたわけではなく、チームとしてやるべきことのひとつひとつのピースになれたから、あのゴールが取れた。全員が全員ストライカーに、ストライカーに、ストライカーに、サムエルがいるからクロス、クロス、クロス、ではなく、チームのコンセプトがある中で、呉屋くんや夢生くんやサムカが生きるように。そういうものを僕らが提供しなくてはならない。それが出来ない場合は…相手のフィジカルや守備の戦術が、今日も相手は秋田豊監督でそれが強固だったが、そういう場合に僕や弓場、もっと言えば羽田がミドルやロングシュートなどを打つ。それによって相手が出てこざるを得なくなると、その空いたスペースにFWが流れてというひとつひとつ、将棋で駒をずらしていって相手を崩す延長線上にいれば、もっと活躍してくれると思う。でも今日は2人のストライカーが活躍しなかったのではなく、2人のおかげで僕らが点を取れたので、決して2人が形がなかったという捉え方ではなく、2人が仕事を全うしてくれたから僕らにチャンスが来たということ。チームとしてすごくいいかたちが出来たと思う。

——岩手のように守備を固めてくる相手からの3得点という結果については。

シモさん(下平隆宏監督)が言っていたのだが、キャンプで僕らは0-4で負けていて、アウェイでは2-1で勝ったが、チーム状況云々ではなく、今日は複数得点したかった。堅い相手に対して点が取れたということもあるが、僕らはJ1に復帰してJ1でJ1クオリティーを出さなくてはならないので、今日の僕らの90分までを見たら、100点ではないかもしれない。シーズン中に一回100点満点が取れたらすごいと思うが、今日は100点満点が取れる試合だったと思うので、みんなそこに目を向けて、自分にベクトルを向けてやっていく必要がある。

——相手のカウンターへの対策はどうしていたのか。

イタリア代表のカテナチオのような強固なディフェンスで3トップに速い選手を置いてカウンターを繰り出すチームで、前半のいちばん最後に裏に蹴られたやつは、あれは多分オフサイドではないと思う。ああいうところの隙が僕らにはあるので、まず攻撃は完結させること。そしてミスした時点で同サイドに人数をかけて早く奪い返す。1人が2m走ってプレッシャーをかければ相手は嫌がるし、そのクリアボールに対して僕らが反応するということを、もっとサイクルとしてやれれば、もっとカウンターを阻止できたはず。