【記者会見】下平隆宏監督「僕が濡れているのは雨ではなく選手たちに水をかけられたから」
最後は劇的なゴールが生まれ、苦しいゲームだったが勝てて、サポーターと喜び合えた。これが本当に最大の喜びだった。サッカーをやっていて、なかなか0-2から逆転する経験は僕自身もなかったのだが、今日は選手たちが見事に体現してくれて、頼もしく思った。ファンやサポーターの方々がそういう雰囲気を作ってくれたことが、この大逆転につながった。そういった意味では、いま一体感を持とうという話を選手たちにしているが、スタジアム、サポーター、スタッフも選手も含めて一体感をもって戦えたと思う。
セットプレーに関しては非常に警戒していたところ。ただ、ファウルが多くて与えた回数も多く、セットプレーから押し込まれるような雰囲気になってしまって、そこから失点してしまったのは大いに反省すべき点。後半立ち上がりも1点取ればひっくり返せるという雰囲気で入った中で、後半は少しボールをしっかり動かす時間を増やそうというところでミスが多く、2失点目をしてしまったところはまだまだ改善しなくてはならないし、これをしっかり反省して次に繰り返さないようにしていかないといけない。
ただ、長沢のヘディングシュートもそうだし、呉屋が執念で押し込んだ2点目もそうだし、最後は冷静に呉屋が3点目を取りに行って、そういうところでは選手たちが本当に頑張ってくれた。ベンチの選手、スタンドで見ている選手たちも含めての結果だったと思う。
——湿度が高く疲労が予想される中で、見事な逆転劇だった。90分のゲームプランは。
プランとしては、いままでよりはもうちょっとしっかりボールを持って攻撃するところをやっていこうと話をして、あとは守備のところ。千葉の若い2トップは本当に強烈だし、力もあって上手いので、ここは本当に警戒しようと。正直、前半はもう少し自分たちが攻撃する時間が作れるかなと予想していたのだが、最近そういうポゼッションを試合であまりやっておらず背後を狙うことが多かったこともあってか、最初はちょっと出せなかったかなと思う。そういうところで失点してしまった。
今日はゲーム前のミーティングでもここからまた3連戦だし、夏場になって疲労度も高まるので交代カードは早めに切っていくよということは事前に伝えていた。特に今日のリザーブのメンバーは、野村を中心にめちゃくちゃいい雰囲気で、ロッカールームでも彼らが積極的に盛り上げていた。そういう雰囲気がまずは最後にギアを上げた要因かと思う。
——前半にセカンドボールが拾えなかったことで後半は弓場選手でスタートしたかと思うが、左利き同士の下田選手との共存は。アンカーシステムも含めオプションの期待感は。
おっしゃるとおり前半はセカンドボールが拾えずそこから押し込まれる展開だった。17歳の(保田)堅心も頑張ってくれたのだが、そういうところで経験が出てしまったかなと。交代した(弓場)将輝は予測能力も高くセカンドボールをしっかり拾ってくれるので、後半頭からアンカー気味にして(下田)北斗を一列前に出した。ビルドアップで北斗が落ちてくることはあったが。左利き2人というのはなかなか珍しいかもしれないが、右利き2人のボランチコンビは普通にいるので、左と左の組み合わせも全然ありだと思う。今後のオプションとしても考えている。
——2-1になってから押し込んで再三のチャンスがあったが、なかなか得点できなかった。どう見ていたか。
選手を信じていた。今日の雰囲気だったり、あそこからギアが上がってチャンスを作れていたので、あとは選手たちが気持ちの部分を見せて押し込めば、最低でも同点までは行くかなと感じていた。最後のところも逆転まで行って素晴らしかったと思う。
前半戦の最初の頃は1点取られただけでシュンとして、下を向く選手が増えたりすることが多く、そういったことでリードしていたのを追いつかれてしまったりも多かったと思う。まずはコミュニケーションを取って一体感を出すためにどうすればいいのかというところで、サッカーは不細工になってきたが、チームとして一体感を持って戦うことの意味を、選手たちも理解してくれた。それが今日の結果につながったと思う。まずはチームとして一体感を出せていることが逆転勝利の要因。
——増山選手と野村選手の投入後に流れが大きく変わった。交代の意図を。
まずは右サイドに2人を入れて右を活性化しようと。野村は本当に練習から調子が良く、必ず後半のどこかでキーになる選手だと準備していた。非常にいい仕事をしてくれたと思う。増山に関しては、彼のエネルギッシュなパーソナリティーがチームを活性化させる役割もあるし、ロングスローという飛び道具も含めて投入した。
——2点差からの逆転勝利。今後のリーグ戦に向けて、どのような意味があるか。
本当におっしゃるとおりで、チームで一体感を持って戦うことでこういうことが起こせるということを、すごく今日は実感できたと思う。DAZNの試合後のインタビューでもずっとロッカールームはめちゃくちゃ盛り上がっていて、いま僕が濡れているのは雨ではなく選手たちに水をかけられたから。ここまでみんなが喜びを爆発させているシーンはいままでなかったので、もしもまた劣勢の試合などがあったとしても、このような雰囲気を出せば力を出して逆転できるということを体感できたと思うので、これは今後につながる大きな勝利になる。
——後半戦3戦無敗。ここからの連戦に向けて。
まず今日のようなゲームが出来たことは非常に自信にもつながるし、選手自身も一体感をもって戦えていることを実感していると思うので、連戦になるが、この勢いをしっかりつなげてJ1復帰という目標に到達できるよう、選手たちと一緒に頑張っていきたい。