FW 18 藤本一輝「相手のバックパスが来る時点でなんとなく読めていた」

 

——最後に短い時間で大きな仕事をした。

出場するときには2-0でリードしていたので、自分の役割としては前で時間を作って、勝利を確実にするということを頭に置いて試合に入った。

——その役割をこなした上で追加点まで取れたのはいい仕事だったのでは。

試合がはじまる前から点が取れそうだなと思っていたのだが、試合に入るときはそういうことよりも、このまま自分の前線での役割を果たしてという気持ちのほうが強かった。その中で点を取れたことは、自分の中で成長した部分なのではないかと思う。

——ゴール前では非常に冷静だったと思うが。

1対1になった時点でパスを出す選択肢はなかった。目線で宇津元のほうに雰囲気を出させながら、でもパスを出す気はなかった（笑）。確実に勝利をつかめたのでよかった。奪ったときに1対1になるとまでは考えていなかったのだが、相手のバックパスが来る時点でなんとなく読めていた。

——特別指定選手時代から試合には出ていたのにリーグ戦ではなかなか得点できなかった。長かったのでは。

ずっと点を取っていなくて、大学時代もストライカーとしてプレーしていた部分を忘れてきていた中で、ああいうかたちで点を取れて、本来の自分の姿を少しずつ出せていけたらと思う。

——ゴールを決めたときに岡山一成コーチがすごく喜んでいた。

開幕時点では試合に絡んでいたのだが、守備のいろんな部分で苦しんでいるときに、岡山コーチがマンツーマンで試合ごと練習ごとにポジショニングを確認して、2人でなんとかやってきてのゴールだったので、ああいうふうに喜んでくれた。紅白戦さえ出ていない時期が続いて、心が折れかけているときに、つねにオカさんがポジティブな声をかけてくれたので、折れずにやれた。

——4-3-3のWGでシーズン好スタートを切ったようだったが、守備の悩みが生じたのは4-4-2に変わってからか。

そうですね。フォーメーションが変わってから一気に序列が落ちてしまった。試合に出られない時期があって、でもフォーメーションを4-3-3に戻すまで待つというよりは、いまのフォーメーションの中でやれることをやってチャンスを掴むしかないなと。本当にオカさんのおかげです。

——守備に苦手意識があるわけではない。

1対1でも負ける気はない。ただ、対人というよりは組織の中での守備が課題だった。そこをオカさんと2人で乗り越えられた感がある。

——鹿島戦で途中出場したときはいい形でボールを持ったり出来なかったが、今日の試合までには。

鹿島戦は1人少ない中で自分の持ち味が出せなかったが、その鹿島戦の守備の部分もすごく評価してもらえて、その中で今日チャンスをもらい、自分のいい形で結果で応えることが出来た。自分の立場はいま低くて、毎試合積み重ねてやっと試合に出られるくらいなので、こういうゴールという結果を残してまた次につなげられたのはすごくよかった。

——下平監督もプレシーズンから期待を寄せているようだったし、ゴール後も藤本選手を抱きかかえていた。監督の期待に応える気持ちは。

まだ立場がベンチメンバー。スタメンで出続けられるようになりたい。そのためには結果が必要だし、プレーで見せていかなくてはならない。期待されているぶん、プレーで見せればそういうチャンスも出てくると思うので、すべて自分次第。練習では左サイドをやっていてFWをやることはなかったのだが、自分がいろんなポジションを出来れば自分としてもプラスだし、チームのオプションとしても、ひとつ持っておくことが出来る強みになる。前向きにトライしていきたい。