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闘う言葉

【囲み取材】榎徹社長「この構造を変えていかなくては」

 

——J2降格にあたり率直な思いは。

悔しいし、残念な思いでいっぱい。でもその思いも含めてこの結果をしっかり受け止めなくてはならないと思っている。まずは何よりも、コロナ禍の中でも多くのサポーターの方が応援してくださったことに対して、またその他の関係者のみなさまの期待に応えられなかったということが申し訳なく、責任を感じている。

——J1で戦うにあたり、足りなかったと感じていることは。

ひとつにはやはり、もともと予算という点では非常に少なく、チームは厳しい中で本当によくやってくれていると思っている。特に主力だった選手が移籍するという昨季からの流れがあり、新しいチームを作るような状態でスタートしたのだが、その中で外国籍選手の来日が遅れたり怪我人が続出したりと、チームにとって厳しい状況が続いた。いまは力としては結構安定してきて、ある程度の手応えもみんな感じているのではないかと思うが、なかなか勝点に結びつかずにこういう結果になったということだと捉えている。

——今季6季目の監督の評価は。

クラブの財政状況が厳しい中で、本当によくやってくれていると思う。彼でなければ出来なかったと思うし、それに選手もよく応えてくれた。その点は本当に、むしろ敬意を表したい。

——主力の慰留も難しかったとは思うが、移籍に関しては。

これは本当に難しい問題なのだが、やはり選手がステップアップしたいと思うことはある程度は仕方がないことだとわたしは思っている。それに見合ういろんな条件をわれわれが出せなかったというところで、ある意味仕方がないというふうにずっと思っている。その中で、限られた予算の中ではあるが、戦えるチームにということで、今季このような編成にしたのだが、怪我人がパラパラ出たことや過密日程もあり、厳しいシーズンだったと思う。

——J2降格すると予算の面でも厳しくなると思うが、オフシーズンに向けてはどういう仕事を。

やはり少し縮小するのは仕方のないことだとは思うが、なるべくトップチームに注ぎ込んで、現在いる選手の慰留にも努め、なんとか1年でJ1復帰できる可能性のあるチーム作りをしたい。

——1年でJ1復帰を目指すということなのか。

それを目標にクラブが一丸となるべきだと思う。そうしていきたい。満足お金を用意できるかということはこれからのことになるが、現時点でクラブの中で出来るお金の集中をトップチームにという方針で行きたい。

——コロナ禍が経営面に与えた影響は。

ないとは言えない。やはりあると思う。いまのクラブ状況からは少し背伸びをする形で来季に向けてと考えている。

——今季の予算は。

いま電話口なので資料が手元になく、正確な数字はお答えできないが、17億ちょっと。J2になるとリーグの配分金だけでもだいぶ違ってくるし、スポンサーさまとも今後の交渉になるのだが、減り幅を出来るだけ小さくしたいと考えている。

——「身の丈」ではなく「背伸び」をということか。

聞き方によってはニュアンスが難しいかもしれないが、ある程度地に足がついた状態で背伸びをしてということ。わたしは「身の丈」という言葉はあまり使っていない。「身の丈」を否定するというつもりはないのだが、来季やはり背伸びをするくらいで行きたい。あまり飛び跳ねてしまうとコケてしまって、それは経営として許されないことなので、いろんな方の協力もまたいただきながら、少し「身の丈」を伸ばしていきたい。縮んでしまうのを出来るだけ小さくしたいし、そこでトップチームに注ぎ込めるぶんは出来るだけ注ぎ込みたい。

——J1で3シーズンやってみて、特に今季はコロナ禍で戦力差がモロに出た。資金面の差は実感されたか。

コロナで特に顕著になったとは思うが、やはり大きなクラブとわれわれ地方クラブとの格差は出てきていると思う。今日降格決定したクラブ、そして残留争い中のクラブは、親会社の有無は別にしてみな地方クラブ。そのへんでは格差が大きくなってきた。それを条件として、われわれがどれだけやれるのかというのを、今後は長い目でいろいろと考えていかなくてはならない。

——Jリーグの理事も務めているが、クラブ間格差について意見が出るようなことは。ビッグクラブに有利なレギュレーションだったと思うが。

理事会も実行委員会でもビッグクラブの発言力が大きいというようなことはない。議論はいろいろ出るが、むしろ出来るだけ公平にするにはどうすればいいかを考えている。ただ、予算の多い少ないはクラブの問題であり、リーグの問題ではない。日程についてはACLに出ているクラブはわれわれよりもっと厳しい。そういう点についてもリーグは出来るだけ公平を期しているとわたしは思っている。

——あらためて地方クラブの大分がJ1定着するための課題を、どのへんに感じるか。

やはり事業費全体の拡大が必要。その中でトップチームにお金を出来るだけ注ぎ込んでいく。それと、長期的課題としては育成。ここを力を入れていきたい。入れていかざるを得ない。

——勝負のシーズンで新しいチームを作り直すような状況になってしまった。社長として後悔などは。

後悔は特にない。これは今季に限った問題ではないと思っている。この構造を変えていかなくては、トータルの事業費が、少しずつ増えてはきたのだが、どこかでジャンプアップするようなことをやっていかないかぎり厳しいのかなということは、ずっと考えている。

陥落は決まったが、まだリーグ戦も2試合残っているし、天皇杯も残っており、目の前の試合に全力を尽くすというチームの姿勢はこれからも変わらない。よろしくお願いいたします。