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闘う言葉

【記者会見】片野坂知宏監督「勝った勢いをリーグ戦につなげていきたい」

 

われわれはリーグ戦から中3日、いまJ1で残留争いをしていて、今日のゲームから次のリーグ戦までは1週間空く。一方で磐田さんは昇格争いをしている中、リーグ戦から中3日でこの試合で、このあとも中2日での連戦となる。そういう中で、お互いどういうメンバーで戦うかが予想しづらいゲームだったと思う。メンバー発表されてみると、やはりターンオーバーされていた中で、ルキアン選手はリーグ戦の次節に出られないのでおそらく出てくるだろうということも想定内だった。やはりJ2得点ランキング上位の怖い選手で、われわれに脅威を与える選手だと、対戦してみて怖さを感じた。

われわれもDFラインでペレイラとエンリケの2人の外国籍選手を起用し、なかなかトレーニングで合わせる時間も少なかったが、難しい状況の中、そういう素晴らしい選手を相手に集中していいプレーをしてくれた。若干名だが、リーグ戦でチャンスを得られていない選手もスタートから使いながら、リーグ戦同様、トーナメントで勝ち上がることを目的として、今日のゲームに臨み、結果的に2-0で勝ち上がることが出来た。

前半もミラーゲームで睨み合いとなり、どちらもリスクを負わずに少し停滞する時間もあったが、後半はミラーの中でどういうふうにスペースを使うか、ズレるところをどう攻めるか。またトランジションのところが非常に重要になるとハーフタイムに伝えて臨み、選手はそういった意識の中でプレーしてくれた。セットプレーで点が取れたことは非常に大事だし、今後のリーグ戦での拮抗した戦いの中でも狙っていきたい。先制点が取れたことが大きかった。2点目に関しては、相手が前がかりになって点を取りにきたところをひっくり返し、藤本が決めてくれたことも大きかった。全体的に拮抗した難しいゲームになることは想定内だった中で、セットプレーの得点が勝敗を分けたと思う。

水曜のナイトゲームにもかかわらず、またこういう状況の中でも、大分のサポーターがたくさんゴール裏で応援してくださり、非常に勇気になった。そういった方々に喜んでもらえたこと、トリニータのファン、サポーター、関係者の方々に、この天皇杯という素晴らしいトーナメントの大会でベスト4という成果を挙げたことを、喜んでもらえると思う。またわれわれのサッカー、トリニータというチームが励みになって、大分県のみなさんの活力になればと思っている。

準決勝、決勝はリーグ戦のあとなので、われわれのリーグ戦の状況や天皇杯に向けてのいろんな状況がある中でいろいろと変わると思うが、ベスト4まで勝ち上がると、どういうチームが相手になったとしても、とにかく強いことはどこも一緒。われわれは新たなベスト4でのチャレンジ、そして決勝に行けばタイトルを獲るチャンス。それを得られるように、なんとかリーグ戦から天皇杯につなげられるよう、ふたつの大会でいい成果を求め、選手とともに継続してやっていきたい。

——3バックの真ん中でペレイラ選手を起用したが、普段から練習していたのか。また評価は。

中断期間やリーグ戦の間にトレーニングマッチを組むことが出来たり、普段の練習でもああいった形でペレイラを3枚の真ん中で使うことはしていた。トレーニングマッチでもトレーニングでも非常にいいプレーをしていたので、ちょっとトライできるかなというところで思い切って使った。

リーグ戦ではいまはエンリケが真ん中をやっているが、エンリケのよさ、ペレイラのよさがそれぞれにあると思うので、今後もチャンスがあれば使っていきたい。ペレイラもそういったポジションで自分の役割を全うした中でよさを出そうとトライしてくれているので、出来るかぎりのことは、相手の状況、われわれの状況によって使い分けていけたらと思っている。

——拮抗した展開から後半、エンリケ選手を藤本選手に代えて流れが変わったように見えた。そういうプランだったのか。

いろんな状況でのプランを考えていた。天皇杯なので同点であれば120分の延長やPK戦もある。あとは、次のリーグ戦までは1週間あるが前節の徳島戦からは中3日なので、徳島戦に出たメンバーがどれだけリカバリーできるかというところもあり、コンディションや状態を見極めなくてはならなかった中で、メンバー選考や交代のプランは考えていた。

エンリケを3バックの左でトライさせ、(三竿)雄斗をワイドでというのがどれだけスムーズに行くかなと思っていた中で、ちょっとぎこちなさそうな感じもあったので、早めにハーフタイムでカードを切った。雄斗は普段から左CBをやっていて、左WBについては香川という選択肢もあったのだが、藤本は高校(藤枝明誠)がこちらで、今日のゲームにも懸けている思いがあったと思うので、思い切って藤本のよさが出るかと。また、藤本も何度もポジションチェンジしたが、WBだけでなく前線のほうも出来るので、先に出していれば今後のオプションというところでもまた使えるかなとも考えて、藤本を選んだ。

そういうところでの攻撃のスムーズさ、テンポというところ、あとはトランジションのところを含めたスピード感は若干、修正された部分があると思う。

——藤本選手をトップに、長沢選手をシャドーに配置したことも奏功したのでは。

藤本はWBでも仕掛けやスピードなどがあるが、適性はやはりFWだと思うので、頂点でのシャドーでもWBでも、いろんなオプションをトレーニングやトレーニングマッチから試していた。ああいった形で背後に抜けたり起点になったりするところは、上手さがありタイミングがいいところもある。ポジションが変わる中でよくやってくれたと思う。

ただ、得点はしたが、まだまだ彼自身、課題がある。その課題にしっかりと向き合ってやれるようにならないと、リーグ戦を含め今後の彼の成長の部分では難しくなる。そういったところはトレーニングから求め、さらにいい選手になれるように。ポテンシャルは持っているのでそのポテンシャルを生かせるようにトライさせていきたい。

——リーグ戦で残留争いをしている中で、天皇杯という大会の位置づけを、選手にはどのように話していたか。

天皇杯はリーグ戦とは違ってノックアウト方式で負ければ敗退になるので、勝つためのメンバー、勝つための戦術というところで、ひとつひとつのゲームで勝ち上がれるようにやってきた。メンバーが変わったとしても、そのゲームに対してしっかりと狙いを合わせてパワーと強度を出してほしいとつねづね言ってきている。

J1のチームとは対戦していない中でベスト4まで来たというのは珍しいと思うが、この大会で勝ち上がるためには、まず勝たなくてはならない。その結果を天皇杯で求めながら、そして出ている選手もそういう中でしっかりと集中を切らさずやってくれたからこそ、このベスト4という成果を自分たちが得ることが出来たと思っている。

ここまで来ればどのチームも強い相手ばかり。われわれはベスト4は初めてだし、残りの準決勝、決勝の2試合はチャレンジャーとして思い切って戦うだけになる。

——クラブ初のベスト4という結果がリーグ戦にもたらす影響は。

これまでも粘り強く勝点を取る試合をしてきている。天皇杯で勝った勢いをリーグ次節の福岡戦と、その後連戦になるG大阪戦につなげていきたい。残り5試合につながると、僕は感じている。