【記者会見】片野坂知宏監督「バランスを崩さず2-0で終わらせたことは大きかった」
代表ウィークによる2週間のブレイクがあった中で、その前にわれわれはホームでC大阪さん相手に勝つことができ、その期間に仙台戦に向けてみんなで準備してきた。またホームで戦える中で勝点3を取ることが出来て、ファンやサポーターの方に勝利をプレゼントでき、一緒に喜び合えたことが、まずはよかった。
内容ももちろん大事かもしれないが、いまわれわれが欲しいのは勝点3なので、それが取れてよかった。仙台さんもわれわれも残留争いをしている中での直接対決。勝ったほうが上に行ける可能性を秘めていた一戦で、いろんなプランを準備してきた中でなんとか勝点3を取ることを考えながらやっていた。
仙台さんはこれまでも[4-4-2]で戦われていて、われわれに対しても同じような形で来るというのは想定どおりだったのだが、メンバー的に、いつも出ている前線の選手や左SBの石原くんが入っていなかったので、この期間にいろんなことがあったのかなと予測した。ただ、どんなメンバーになったとしても、いろんな準備をされて勝点3を取りにくるだろうなと思っていた。
どういうふうに、前からプレッシャーをかけてくるのか構えるのか、ミラーゲームに持っていくのか。われわれに対してもいろんな戦い方があると思うが、しっかりとブロックを作った中でスペースを空けずに引っ掛けて速い攻撃を狙うというところでは、少し嫌な部分もあったし、嫌なロストの仕方もあったのだが、選手がしっかり切り替えて球際で戦い、戻る走力も出してくれて、前半を無失点に抑えることが出来た。前半からわれわれが狙いたい形で動かすことも出来ていたが、チャンスの中でなかなか決定的な部分を作り出すことが出来ずに、なんとなく仙台さんのペースなのかなという嫌な感じでハーフタイムに入った。
後半に相手がどういう修正をされてくるかというところで、もう一度、自分たちが狙いたいところと気を付けなくてはならないことを確認して後半に臨んだ。
50分の先制点では伊佐がいい仕事をして、そのこぼれ球から（渡邉）新太がひさしぶりの得点を挙げた。相手が前から来るところでひっくり返したり、ラッキーかもしれないがPKでの追加点も非常に大きかった。献身的に二度追いしてくれた（町田）也真人がああいう形でPKを誘ってくれて、それをしっかりと新太が決め、2-0にすることが出来た。
その後は相手も点を取るためにパワーを持ってきた中で、2点差というのは非常に危険な点差になると思う。そこで1点でも返されてしまうと、より仙台さんのパワーが出るし、われわれももう1点取りにいくのか守るのかという難しさがあるゲーム展開だった。2-0の状況を最後まで、切らさずバランスを崩さずに終わらせたことは大きかった。相手が前がかりになってカウンターのチャンスが何本かあり、それを決めていれば3-0にすることも、もしかしたら出来たかもしれない中で、攻めるバランスを取りながら前線の選手を替え、なんとかゲームを終わらせ勝つことが出来た。
たくさんのファン、サポーターに来ていただき、勝ってスタジアムを後にしてくれることもうれしいし、勝利をプレゼントできたことは非常にいいことだとあらためて感じた。
ホームゲームは残り2試合と少なくなり、アウェイゲームが多い中でも、次節はアウェイで順位の近い徳島さん相手。非常に難しいゲームになると思うが、全員でいい準備をしてまた勝点3を取れるようにしたい。
——ずっと得点がなかったが使い続けていた渡邉選手が得点したことでチームへの影響は。
新太はなかなか得点できずにいた中で、本人も得点したい思いの強い選手でもあり、試合に出ている中で結果を残さなくてはならないという思いもあったと思う。今日は本当に大事なゲームで、どういう形であれ得点できたことは非常によかった。選手同士の競争にもつながるし、新太自身も自信をつけて今後のゲームに生かせるのではないか。
もちろん具体的な得点という結果も大事なのだが、新たの献身性やハードワークする姿勢は、チームにすごくプラスな効果をもたらしてくれて貢献してくれていた。得点できなくても、そういうプレーはすごく大事な部分なので、切らさず、また得点を重ねていけるようにチャレンジしてもらいたい。
——5試合1失点と守備が好調だが、その要因は。
まず全員がいまどういうことをするべきか、どう戻るべきか、どう対応するべきかということを共有しながら戦えていること。粘り強く前線から切らさずに体を張ってやれているところがあると思う。
やはり失点しないことはすごく大事だし、クリーンシートで終わるのは自信につながっていく。そして、ビルドアップのミスや中盤でのミスといったエラーが失点につながっていないことが、無失点につながっているのかと思う。現代サッカーではトランジションが大事だし、そういった動かしやつなぎのところでのミスが失点につながるのは、どういうカテゴリーであれ海外の試合であれ、あること。そういう部分で、われわれがつなぐ中でエラーが起きないことも、失点の少なさにつながっているのではないかと感じている。
——攻守両面で効いていた松本選手が負傷交代。プラン変更を余儀なくされたと思うが影響は。
松本怜はひさしぶりの先発で、チームに貢献したいという思いもすごく伝わってきていて、準備期間もすごくいいプレーをしてくれていた。なので、しっかりとプレーしてくれるだろうと期待したし、右サイドで町田也真人との関係も非常にいいものがあるので、そういったところに期待して先発で起用した。怪我は残念ではあるが、それまでのプレーも非常に怜らしいプレーをしてくれた。
ただ、怪我で小出に交代したことでの大きなプラン変更はなく、小出もWBの経験があり刀根も右CBで出ていたので、ああいう状況の中ながら、特に刀根がスムーズに入ってくれたのはいい準備をしてくれている成果だと思う。小出も一列上がったポジションでも非常にハードワークして、小出らしいプレーをしてくれていたので、怜が出ていたときと同じように攻撃では幅を取ってサイドの攻略からクロスを上げ、守備でも隙を作らずプレーするということは、やってくれたと思う。
——羽田選手は試合を追うごとに下田選手との連係もよくなって、守備にも貢献しているようだが。
そうですね。本当に北斗とよく目を合わせるなどコミュニケーションを取りながら、攻撃でも守備でもハードワークしてやってくれている。決して足が速いといったタイプではないのだが、そういう自らのウィークを、ボールがないところでの準備や予測といったところでスピードを上げたり闘ったりして、羽田のよさを、自分でトライしているところがすごくいい。それがまたこのチームでのボランチとしての役割に非常にマッチしている。特に北斗とのバランスはいいものがある。
もともとはDFの選手だが、ボランチでもいいプレーをしてくれているのを継続しながらやってほしい。いい貢献をしてくれているし、まだまだ満足せずに、どのポジションをやるにしても、その役割の中で、切らさずにトライして欲しいと思う。
——以前、PKを外す試合があった後、今後はキッカーを監督が決めると話していたが、2点目のPKの場面、渡邉選手に託した理由は。
あれ以降毎試合、PKを蹴る選手は僕が指名して、指名された選手はトレーニングの中でも練習している。なので、任せられると思っているし、責任ある選手がしっかりと決めきるということをトレーニングからやって欲しいと伝えてある中で、今日出ているメンバーの中では新太が一番手だった。しっかり決めきってくれてよかった。
