【記者会見】片野坂知宏監督「相手をフリーにさせない仕組みを作り強度も落とさずに」

 

連戦のミッドウィーク、ホームに鹿島さんを迎えた中で、ファン、サポーターの方にスタジアムへと足を運んでいただき最後まで一緒に戦っていただいたことに感謝したい。0-0で勝点1に終わり、もちろん勝点3を獲らなくてはならないのだが、この結果は決して悪くないと思う。いまわれわれが鹿島さん相手に出来る最大限のものを、選手たちは出し切ってくれた。その成果が勝点1につながったことは非常に良かったし、これを次に生かせるようにしていきたい。

鹿島さんは中2日で今日のゲームを迎え、われわれは札幌からの移動があったが中3日。この1日の差は非常に大きいと思う。鹿島さんはメンバーも入れ替えて臨んでこられたが、選手層も厚いし個の能力に長けた選手が多くいるチームなので、どういうメンバーが出ても厳しい試合になるだろうと考えて臨んだ。

とにかく攻守両面で球際や切り替え、個々のバトルの部分で戦ってくる相手。それに対し、われわれも逃げずにチャレンジして集中力を切らさず最後までプレーしたことが、無失点で終えることができた要因かと思う。

得点しないと勝点3は得られない中で、今日のゲームも決定機、シュートチャンスの少ないゲームにはなったが、試合終盤の攻防はバトルの部分、サッカーのベーシックな部分でも、一瞬の隙や弱さが出たところでやられる可能性のあるゲームでもあったと思う。拮抗した展開で、交代選手や戦術を含め難しいゲームだった。ただ、われわれの現状においてこの勝点1は非常に大きいし、鹿島さん相手にホームで取れたこの勝点1を、しっかりと今後につなげていけるようにしたい。また中3日でアウェイでのFC東京戦。強度のあるチームで厳しい試合になると思うが、万全にして臨みたい。

——勝点3を狙いつつ勝点1でもという戦い方だったのか。

もちろんホームで勝ちたい思いはある。得点しないと勝点3は取れないので、なんとかチャレンジさせたいと思い、戦術を含め選手に話をして戦った。ただ、本当に強い鹿島さんが相手なので、やはり切り替えや一瞬のところで得点できる選手がいる中で、切らさずに全員でコミュニケーションを取って集中力高くやることがすごく大事。選手が切らさずにやってくれたことが勝点1につながったと思うし、この1を大事にして次のゲームからも生かしていけるようにしたい。

そしてこういうふうに粘り強く戦うことは、今後も夏場になり、中断以降の戦いに生きてくる。われわれは1試合未消化だがリーグ戦が半分終わった中で、残りのゲームに向けても今日のようにベーシックなところでの戦い方はベースにした中でチャレンジしていくことが、勝点を得るゲームにつながるのではないかと、戦って感じた。

——エンリケ選手がエヴェラウド選手を抑えた他、ファン・アラーノ選手にも自由を与えないなど鹿島の攻撃の威力を削ぐような組織的守備が出来ていたようだが。

ひとつは札幌戦で出た守備の課題を踏まえ、コンパクトにしようと選手に言った。コンパクトというのも、対戦するチームによってどのくらいコンパクトなのか、また前後左右、いろんなコンパクトさがあると思うが、それはわれわれのコンセプトの中にあるので、そのコンパクトというところを選手に伝えていた。

やはり鹿島さんはタレント集団だし、外国籍選手も非常に能力に長け、日本人選手も代表経験のある選手や素晴らしい選手が若い選手を含めてたくさんいるので、スペースと時間を与えたくない、そして自由を与えたくない。そういうところで、選手にもバトルの部分やセカンドボール対応などで、出来るだけ相手をフリーにさせない仕組みを作り、守備の強度も落とさずにやろうと、ミーティングと短い期間でのトレーニングで落とし込んだ。選手もそういうところを意識して集中して最後まで切らさずにやってくれたからこそ、攻撃力のある鹿島さんを抑えることが出来たと思う。

さきほど公式記録を見たら、われわれがシュート1本で鹿島さんは3本。渋い試合をしたと思うが、無失点に抑えたことについては本当に選手を讃えたいし、こういう勝負強さを今後に生かしていきたい。