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闘う言葉

【記者会見】片野坂知宏監督「選手が自分とチームを信じてやってくれたからこそ」

 

まず、この場をお借りして、クラウドファンディングの「一致団結プロジェクト」で目標を達成することができ、さらにまた多くの支援金をいただき、本当に感謝していますとお伝えしたい。本当にたくさんの方に協力していただいて、チームへの期待、サポートの大きさや重さを感じている。クラウドファンディングのプロジェクトは明日まで続くのだが、最後まで協力していただいて、今後のチーム活動に生かし、素晴らしいゲームでみなさんの期待に応えられるようにしていきたい。

今日の九州ダービー、ホームに鳥栖さんを迎え、われわれは前節、アウェイ湘南戦で悔しい敗戦をし、鳥栖さんは今季非常に素晴らしい成果を挙げている中で、今日のゲームを迎えた。前回のホームゲームでは清水さん相手になんとか今季ホーム初白星を挙げることが出来たので、鳥栖さん相手にもホームでの勝利を目指し準備して戦ったのだが、勝点1に終わってしまった。勝点3を取れたゲームでもあったと思う。捉え方はみなさんいろいろあると思うが、まず負けなかったこと、上位で戦っている鳥栖さん相手に勝点1が取れたことはよかったと思っている。

ただ、われわれには終了間際にPKのチャンスもあったし、それを決めていればというところもあったが、結果論。いろいろ話すことはあるかもしれないが、勝点3をとれていた可能性があった中で勝点1に終わってしまったのは、失った部分に対してくやしい思いも感じている。また選手とともに共有して、勝点3が取れるゲームをしていきたいと、自分の反省をしている。

鳥栖さん相手に準備してきたこと、どういうふうに戦うかというところを、選手は狙いを合わせてやってくれた。前半の早い時間での失点は痛かったが、そこからも気持ちを切らさずプレーに集中して90分の中でなんとか同点に追いつき、あわよくばというところまで持っていけたことは、選手が自分を信じ、チームを信じてやってくれたからこその成果だと思う。

次はアウェイでルヴァンカップとリーグとの連戦。まずルヴァンカップのグループステージ最終節・FC東京戦で勝つことが出来れば、予選突破の可能性もある。タイトなスケジュールだが、アウェイで下位争いをしている仙台さん相手に、勝点3を取れるゲームを、全員で良い準備をして良い成果を挙げられるようやっていきたい。

——柏戦で伊佐選手がPKを外したときもキッカーは決めていないと言っていた。今回もそうだったのか。

はい。そういうふうにしている。今後は蹴る選手をわたしが決めることが大事かと思っている。PKを蹴る責任をしっかりと持てる選手を選んでやることが勝ちにつながるのではないかと、自分の中で、そしてスタッフとも話しながら、今後どういうふうにしていくかを決めていきたい。

——前半は良いところでボールを受けても最後の迫力が出せず鳥栖に効率的に守られ、後半のほうが迫力が出せたように見えた。だが、金監督は後半のほうが守備がハマったと話していた。片野坂監督はどう捉えていたか。

前半は自分たちの狙いの中での動かしは、自陣から敵陣に入る、アタッキングサードに進入することにおいて、鳥栖さんがこういうふうに守備をしてくるだろうという想定した範囲で出来ていたのだが、最後にフィニッシュにまで至る部分では、なかなか行けなかったところがあると思う。そこまで進入できて、最後のところの質もあるのだが、大胆さというかゴールに向かう迫力が、前半は少なかった。

それで、少々強引でもシュートチャンスがあれば打っていこうと、ハーフタイムに選手に言った。そういったところで後半は、押し込めた状況のときにシュートまで持っていくところを意識し、選手は思い切ってチャレンジしてくれた。だから、そういうふうに見えたのではないかと思う。

後半になってくると、ゲームの展開により相手がどういうふうにしてくるかもお互いにわかっている中で、球際や走力といったベーシックな部分、ボールがどっちに転ぶか、それをどう拾ってどう押し込んでいくかというところの差が、またそういう押し込めるか、チャンスを作れるかというところになってくる。鳥栖さんも非常に強固な守備を敷いてくるのだが、われわれもビハインドになっている中でパワーを出さなくてはならないというところで、選手がしっかりとそういうところを出してくれたので、同点にすることも出来たしPKを獲得することも出来たと感じている。

——藤本選手はリーグ戦初出場。ピッチに入ってすぐにチャンスを作ったが、送り込む際の指示は。

得点のところ。藤本の良さはボールを持ってゴール方向にドリブルで仕掛け、チャンスを作れる。相手が疲労して少しスペースが生まれてきた中で、そういったところで受けることが出来れば、1本チャンスを作れるかなと期待し、「アタッキングサードに入ったら思い切って仕掛けてフィニッシュにまで持っていけ」と指示を出した。

PKを獲得したシーンやゴールに向かう姿勢といった攻撃のところで藤本の良さは出たが、彼が先発で出るかというところになると、また攻撃だけでなくいろんな面が必要になってくる。そこはまだまだ足りていないところがあるので、トレーニングからトライしてもらいたい。

——ホームではルヴァンカップを合わせて3戦無敗。今日も終盤のスタジアムの雰囲気が非常に良かったが、ホームで戦えることの意味について。

本来、今日の九州ダービーももっともっとたくさんの方に見てもらいたかったし、われわれも鳥栖さんと上位争いの状況で戦えれば良かったのだが、順位に関係なく九州ダービーは非常にバトルも激しく、お互いに負けられないプライドをぶつけ合って戦う。トリニータが勝つために、ファンやサポーターの方がスタンドから手拍子でサポートしてくれている。本当に九州ダービーにふさわしい雰囲気を作っていただいている。そういう思いも感じているし、ドームの雰囲気がわれわれにパワーを与えてくれる。そのおかげでホームで負けなしでやれているのだと思う。

とにかく負けなければ勝点を積み上げられるし、われわれが励みになるゲームをしていれば、また応援に来てくださる人も増えてくると思う。そういうふうに、サッカーを通じて、活力になる姿勢を示していくことが大事だと感じている。

——清水戦以降、リーグ戦は1勝1分1敗。連敗脱出後、チームの連係が上向いている感触は。

連敗中も、決して悪い状況ではなかったと、自分は思っている。なぜかというと、選手は連敗を止めて勝つゲームをしようと、わたしが提示した戦術にもトライしてくれていたし、集中を切らさずパワーを出して、試合終了後に疲労しきるまでやりきって戦ってくれていた。ただ、結果が出なかった中で、清水戦でホームでひとつ勝つことが出来、湘南戦は残念な結果だったが、今日の鳥栖戦に関しても選手はピッチで表現してくれた。

選手がつねに目の前の試合に対して良い準備をしてくれるからこそ、良いゲームが出来る。チームがどういう状況であろうと、いまの順位や勝点に引きずられず、目の前の試合に勝つゲームをしたいという意欲を選手たちからは感じるし、その姿勢はわたしにとってはすごくありがたい。それがあるからこそ、こうやって粘り強く戦えている。今後もそういう姿勢を崩さずにどれだけやれるかが、目標達成できるかどうかにつながってくると感じている。