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闘う言葉

【記者会見】片野坂知宏監督「セットプレーからの先制点が非常に大きかった」

 

今日はいろんな意味で、なんとしても勝利したいゲームだった。まずリーグ戦で連敗している状況で、わたしの個人的なところだが、対ロティーナさんの試合では2017年のJ2の頃から現在のJ1に至るまで勝つことが出来ない監督だった。そして清水さんには戦友とも言うべき、わたしとともに戦ってくれた選手も何人かいたので、そういう思いの中で、なんとしても今日はホームで、大型連休中に勝利を分かち合いたいとご来場くださったたくさんの方々と喜び合えるようにと試合に臨んだ。

僅差ではあったが今季ホーム初勝利をなんとか挙げることができ、ちょっと大人げなく泣いてしまった。やはりここまで勝てない状況でファン、サポーターの方、関係者の方に苦しい思いをさせ、選手たちがすごく悔しい思いをしていた中で、わたし自身、彼らを勝たせてあげられていないという悔しさもあった。

拮抗するゲームになるだろうとは予想していた。ロティーナさんのチームは非常に強固な守備をしてくるし、われわれの戦い方も十分に分析されてくるだろうと。そういう中で選手は狙いを合わせてチャレンジしてくれたし、何よりも欲しかった先制点、それもセットプレーの得点が、非常に大きかったと思う。ほかにも何度かチャンスはあったかもしれず、追加点というところまで行かなかったのはまだまだこれからの課題になるのだが、なんとかこの虎の子の1点を全員で守り切って、自分たちで勝点3を掴み取ったゲームだった。本当に勝って良かったとほっとしている。

まだルヴァンカップと並行してリーグ戦も連戦が続く。次は中2日でまた大型連休中にルヴァンカップの予選突破をかけての徳島戦がある。自分たちはこれまでルヴァンカップで予選突破したことがない中で、このゲームにも勝ってまたチャレンジできるよう、全員で今日のような戦いを継続して出来るように、チームとしてタフに戦い勝点を積み上げていけるように、ホームで勝てるように、しっかりと準備していきたい。

——積極的に前から圧をかけ相手に自由を与えない守備が出来ていた。プレスの狙いは。

ゲームプランの中でプレスの掛け方を選手に伝え、相手もわれわれの守備の陣形に関してボールの運び方や狙いはあったと思うが、その中で行けるか行けないかというところは、選手も狙いを合わせて判断してくれた。やはりボールを取るのは一人では取れない。迫力がないとプレッシャーにならないし、連動がないと回収できず奪えない。選手たちは守備の連動、思い切ってプレスに行くというメリハリをつけた中でチャレンジしてくれたと思う。

——リーグ戦では今季初の無失点。最後まで清水の攻撃に耐えられた要因は。

やはり粘り強く選手が戦ってくれたこと。清水さんも最後ははっきりとした攻撃をされてきたので、なんとかそういうところで対応できた。エンリケが試合に入ってくれて、良さを強く出してくれた。期待していたプレーもしてくれたし、しっかりとシャットアウトしてくれたところは他の選手も含め、またキーパーのポープもクリーンシートを達成してくれた。集中力を切らさず、最後の部分で体を張るところ、シュートブロックも、われわれが良いときの良さが出ているシーンがあった。そういうところを粘り強くやることは大事だし、そういうことが出来るからこそ勝点と失点ゼロにつながったのではないかと思う。

——2試合3得点の町田選手への評価を。

前節の浦和戦でも2得点して今季は得点を量産してくれている。今日もCKのこぼれ球からだが、得点のところで引き寄せているところがあると思う。前線の選手が得点することはチームにとっても良いことだと思うし、そういう点を取れる選手、チャンスを作れる選手はどんどん出てきてほしい。也真人以外にも、(長沢)駿にしても(小林)成豪にしても、本当によくチームプレーに徹してくれた。駿も良さが出て惜しいシーンを作った。そういった選手がどんどんチャレンジしてシュート数やチャンスを多く作り出してほしい。得点を取れれば勝点3に大きくつながると思うので、そういう狙いをやっていきたい。

——先制点が流れを引き寄せた試合だった。もしも先制点が取れていなかったらと思うと。

得点場面の前もビッグチャンスがあったが、その流れからCKを得て、それが得点につながった。戦い方の中ではいろんなプランもあったのだが、このチームの現状のベストメンバーで90分をマネジメントした中で得点を狙う形は粘り強く継続していきたい。あとは強度が落ちてくる可能性があるので、そういう中でベンチメンバーも、強度を落とさず得点を狙えるようにしたい中で選んでいた。幸いにして先制点を奪え、最後はああいう形で守り切るかたちになったが、出来ればもう1点欲しかったのはある。ただ、90分闘える選手、そして切らさずチームとして貢献できる選手。途中からピッチに入る難しさなどもいろいろあると思うが、メンバーはそういうところで出し切ってくれて、それが結果につながったところが本当に良かったと感じている。

——前節の浦和戦は終盤に相手の追撃を受けて逆転を許したが、今節は最後までアグレッシブな姿勢を維持して1点を守り切った。チームとしての変化は。

浦和戦も、勝つためにプランの中でわたしの判断で選手交代などチャレンジしたのだが、ちょっと悔いの残る戦いになった。今日試合に出ていた選手は非常に集中力高く体を張ってプレーしてくれたし、狙いの中でやってくれていたので、このメンバーを信じたところ、そういうメンバーは90分最後までやってくれると示してくれた。怪我や疲労がある中で今後もそういうリスクは考えなくてはならないのだが、やはり試合の90分の集中力や闘う姿勢はすごく大事だと、今日は感じた。

——セットプレーで得点できた。昨季は清水戦でセットプレーで大量失点したが、今節は制空権も取れていた。

おっしゃるとおり、これだけリーグが拮抗しているし、ちょっとしたことが勝点3か0かにつながる中で、セットプレーで得点できるというのは非常に大きいと思う。攻撃に関してはヘッドコーチの安田が主に相手の分析をした中で狙いを合わせてやれるように選手に伝えているのだが、キッカーや入る選手の迫力を、今季は非常に期待している。こうやって結果につなげることが今後も出来れば、おそらく勝点にもつながってくるので、つねに狙いを合わせていきたい。守備に関しても昨季までのゾーンディフェンスから今季はマンツーマンに変え、責任の所在を明確にした中で、簡単にやらせない厳しさをGKコーチの吉坂が選手に伝えながら準備している。セットプレーは大事なキーになってくる。得点を量産して失点をなるべく少なく出来ると、必ず成果につながっていくというところで、準備を怠らず継続していきたい。

——時間は短かったがあらためてエンリケ・トレヴィザン選手の評価を。

エンリケはあの時間帯で、清水さんも、ヴァウド選手を含めて大きい選手への放り込みというパワープレーで来ていた。そういうバトルの部分、闘うところを期待して、最後を締め括って欲しいと投入した。真ん中に入れたのだが、高さや強さ、ライン統率のところでも、短い時間だが存在感を出してくれたのではないかと思う。今後、彼のプレーを長い時間見れるようにトライしたいし、十分に戦力になってくれるのではないかと期待している。