【記者会見】片野坂知宏監督「ゲームを優位に進めて勝点3につなげることが来季への課題」
最終戦の今日はアウェイで鳥栖さんとの九州ダービー。われわれの順位は前節の勝利ですでに11位が確定していたが、やはり最後に九州ダービーということで、大分からもたくさんの方が今日のゲームを楽しみに、こういう状況の中でも足を運んで応援してくださっているし、TVを通して観ている方々もいる中で、そうやって今季サポートしていただいたり応援していただいたりした方々と、最後は勝って喜びあって終われるようにと、みんなで話して試合に臨んだ。
鳥栖さんは今季、若い選手が躍動し、思い切ってプレーして、素晴らしいチームを金明輝監督が作り上げてきている。それを見ていて簡単なゲームにはならないだろうと思っていたが、案の定、前半の入りから危ない場面があり、なんとか助けられてそれをしのぐことが出来たところからスローインから先制点を取れた。そうやって前半はリードできたのだが、なかなか自分たちの形やプレーを出せず、難しさがあった。
後半は入りの早い段階での失点。入りは集中するようにと選手たちに言っていたし、クロス対応の話もしていたのだが、嫌な形から戦うことが出来ずに失点して、相手を勢いに乗らせてしまった。ここを打開し、もう一度われわれの流れに持っていかなくてはならないと、選手を変更して、代わって出た選手もいい準備をしておりなんとか得点してくれた。
ただ、その時点でわたし自身の判断が遅くなった部分があったかもしれない。メンバー変更を考えていて、その迷いの中で同点にされてしまった。そこからはまた勝ちにいく状況を作ろうとチャレンジしたが、勝点1に終わった。内容的にもどちらに勝点3が転ぶかわからない状況で、われわれにも鳥栖さんにも可能性があった。ゴール場面が多く、ゴール前に入る回数も多かった中で、観客の方々は楽しめた部分あったかとも思うが、われわれとしてはやはりゲームを優位に進めて勝点3につなげることが、来季への課題になるかと思う。
今季1年、こういうコロナの状況の中、タイトなスケジュールで難しいシーズンだった。なんとか34試合を終えることが出来てほっとしている。目標としていた勝点や順位にはまだまだ足りなかったが、自分たちの課題、弱さを真摯に受け止めたい。来季J1は20チームでの厳しい戦いが待っているが、いい準備をして今季出た課題を修正し、今季の戦いを糧にして、さらにレベルアップしていきたい。
——岩田選手の欠場の理由と羽田選手への評価を。
岩田は4連戦戦ってきて、本当に疲労していた。岩田はアグレッシブで運動量が多く、試合の中で躍動感をもってプレーできる選手。その状態に、この中2日間で戻すことが出来ず、昨日の練習時には使う、もしくはメンバーに入れるという判断をしていたのだが、練習終了後に岩田と話をして、そういう状態だったらいいプレーは出来ないし怪我につながる怖れがあるというところで、本っっ当に苦渋の決断をした。
岩田本人は欠場をすごく悔しがり、涙を流していた。やはり最終戦で九州ダービー、そしてトリニータのファンやサポーターの方への1年間の御礼を自分が活躍して出して、最後にチームの勝利に貢献するために、プレーしたいという思いが本当にあった。どちらかというとドクターやトレーナーがストップしたのではなく、わたしが岩田を止めたような感じになってしまった。そういう状況で、岩田の欠場は本当にわたし自身も痛いし、本人も悔し涙を流しての泣く泣くの欠場だった。
羽田に関しては鈴木が欠場した札幌戦でCBの真ん中をやり、今節は岩田の欠場で右をやって、DFラインはある程度しっかりと出来るという計算はしていたのだが、今日は鳥栖さんの勢いにちょっと飲まれた感があった。まだまだ羽田の守備や攻撃の良さは、今日のゲームでは表現できなかったと思う。羽田自身もそういう課題を感じているのではないか。今後、J1の戦いの中で、そういった相手にもしっかりと対応でき、攻撃の部分でも貢献できるように、もっともっとレベルを上げてトライして欲しい。
——シーズンを通して得点力不足に悩んだ部分もあったが、ここ何試合かで前線の選手が得点という結果を出した。評価を。
渡は少し怪我があって状態が上がっていなかったので、なかなか試合に出ることが出来なかった。最終戦になってやっとファイティングポーズを取って戦える状態になり、5連戦ということもあったので、最後に使うように決断した。
町田にしても知念にしても、連戦の中、なんとか先発や途中出場で難しかったと思うが、チームでのタスクを理解してトライしてくれた。今日は渡と町田がシャドーに入ってその2人が得点した。1トップ2シャドーの得点は、われわれが狙っているところでもあるし、そこが取れると勝点につながることが大きくなる。もっともっと、誰が出ても得点できる状況、そういった選手の使い分けの中でチャンスを作れるように今後もやっていきたい。得点という具体的な結果を出してくれたことに関しては、今後にもつながるのではないかと思う。
こういう連戦の状況で戦力のやりくりが非常に難しい中でも、前線だけでなく選手みんながいい準備をしてくれたし、そういういい準備をしてくれたからこそ、なんとか11位という結果につながったと思う。
得点力不足というところでは、昨季35点、今季は今日を入れて36点。昨季と変わらないが、本当は50得点を目標にしていた中で、まだまだ足りないところがあると、課題として感じている。
——来季は九州ダービーがまた増える。九州のサッカーの盛り上がりについて。
今季はJ1で鳥栖さんと戦い、来季は福岡さんも昇格されてくる。今季のJ2の戦いを見ていると、長崎さんも非常に惜しいところまで行って、もしかしたらJ1に九州が4チームになるのではないかという期待もあった。やはり九州にJ1のチームが増えて九州ダービーも多くなり、九州にいるファンやサポーター、サッカー好きでサッカーを応援してくれる方々がダービーの激しいバトルの様子を見て感じることは、この九州管内のサッカーにとっても非常に大事なことだと思う。
まずは福岡さんに昇格おめでとうございますと伝えたい。長谷部監督とは同期なのだが、今季から福岡の監督に就任されてこういう成果を挙げられたことは素晴らしいと思う。また来季、お互いに切磋琢磨してこのJ1で戦い、またJ1での九州ダービーが増えるように、やっていきたいと感じている。