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闘う言葉

【記者会見】片野坂知宏監督「最後まであきらめないチームがご褒美をいただくのかなと思った」

 

試合前に黙祷もあったが、今回の台風19号で災害に遭われた方々、そして浦和さんもレッズランドが水没されたということで、大変なご苦労をされた。そういう方々に、まずはこの場を借りてお見舞いを申し上げます。浦和さんもそういう方々の励みになるようなゲームをと、今日はわれわれに対してやってこられたと思います。

そのような拮抗したゲームになって、最後にわれわれがなんとか得点して勝点3を取ることが出来たが、内容的にも勝点1で終わるかやられてしまうような展開で、選手たちがなんとか粘り強く最後まで戦ってくれたごほうびを、今回はいただいたのではないかと思う。

われわれは前節の名古屋戦、その前の磐田戦でアディショナルタイムで失点をして勝点を失ったぶん、今日は取り戻すことが出来たのかなと。選手たちが浦和さんを相手に臆せずアグレッシブにチャレンジしてくれたことはわたしにとってもうれしかった。結果がどういうふうになるかわからない中で、この姿勢にも非常に満足している。

残り5試合になった中、目標は残留ではあるが、勝点3を取れたことで、自分たちでさらに高みを目指せる可能性を得たので、それを次に生かさなくてはならない。次節はようやく昭和電工ドーム大分に帰り、多くの方々のサポートを得て、上位にいる強豪のFC東京さんとの試合。またチャレンジになると思う。いい準備をして、アウェイでFC東京さんにやられたぶんを、ホームでリベンジできるよう、このJ1でチャレンジしていきたい。

——前半の緊迫したポジションの取り合いはある程度予想して準備したものだったのか。また70分の交代もプランどおりか。

われわれのホームでの前回対戦のときは、浦和さんはACLで韓国で非常にタフなゲームをされて大分に乗り込んでこられ、若干ターンオーバーされていた。そのゲームとは今日はまるっきり変わるだろうなという予想はしていた。1トップ2シャドーの興梠くん武藤くん長澤くんがどれだけプレッシャーをかけてくるか、そのプレッシャーを見て自分たちがどういうふうに剥がしていくかというところは準備してきた部分があった。

ただ、エヴェルトン選手も結構、ボランチ間でプレスをかけてきていたので、そうなってくるとまた違う展開になる。これまでもミラーゲームでマッチアップした状況になる試合は、浦和さんもそうだし他の相手ともやってきたので、一応自分たちなりに、こういうときはどうするという積み上げは出来ている部分だと思う。この埼玉スタジアムのプレッシャーのあるゲーム、そして浦和さんのプレスの圧、そういうものに対して自分たちがどれだけそういうトライが出来るかが大事になってくるところで、選手は本当に思いきってアグレッシブにやってくれたと思う。そういう中で自信をつけてくれたと思うし、そういうところを見て判断できるようになって、クオリティーもだいぶ上がってきたところは成長かなと。

本当に怖さはあったのだが、いいチャレンジをしてくれた。これを継続しながら、つねに相手がどういう形で来ても剥がせるような形はつくっていきたい。

70分の交代に関しても、一応プランで考えていた。伊佐が怪我から復帰してきた中で、どれだけゲームに入れるかなというところと、三平に関しても3試合連続で点を取っていたりといま調子がよかったので、これをジョーカーとして使うというプランは考えていた。

0-0の拮抗した展開で自分たちが少し押し込まれる状況になった中、跳ね返すためにそういう選手を入れて挽回できればと狙っていた。

——勝点1か0かに終わっていた可能性もあった中で、最後のカウンターで選手たちが何人も駆け上がっていった。あの選手たちについては。

アディショナルタイムというのもあったし、浦和さんが前がかりに来たのでスペースがあった状況だった。そのときには選手には思い切って行ってもいいということは言ってあった。選手の判断でああいう形で最後のチャンスだと思って人数をかけてくれたと思う。

ただ、バランスは絶対に90分間崩さないようにと、試合前もハーフタイムも念を押していた。上がっている選手がいる中でも後ろもしっかりバランスを取ってくれていたと思うし、スペースがあった中での判断だったと思う。結果的にあれが得点につながったことはよかったが、もしあそこでつながらなかった場合は逆にカウンターを受けていたという紙一重のところもあったかもしれない。

ただ、勝負だという判断の中で、あれだけ多く最後まで戦える、そういう姿勢が非常によかったと思うし、やはり90分のゲームは最後まで何があるかわからない。いまラグビーW杯をやっているが、ラグビー然り、サッカー然り、スポーツというのはチームでやる中で勝利を目指して強い気持ちを持って最後まであきらめないチームがああいう形でご褒美をいただくのかなとも思った。

——1トップに後藤選手を起用した狙いと、終盤に攻撃陣を入れ替える中で彼を最後までピッチに残した判断について。

後藤は1トップもシャドーも出来る選手。特に1トップで非常に、動き出しのタイミングだとか守備のところの駆け引きだとかをトレーニングでもやってくれていた。

そして後藤は最後まで90分間、タフに戦える。シュート力のところでも、ずっと一緒にやっているが、一発を持っている選手なので。強度の高いゲームになると思ったので、強度を保てる選手をピッチに残しておきたいと。それで後藤を頂点とシャドーとで回す形を取った。やはり拮抗していてどういうふうになるかわからないゲームの中では、最後まで走りきる選手。そして浦和さんも非常に強度が高いチームなので、こちらも強度を持っている選手を最後まで残すように考えていた。

——押し込まれて耐えている時間帯の選手たちの姿勢については。

浦和さんがファブリシオ選手を入れてきたことによって、槙野選手が上がって前がかりになってくる感じがあり、リスクを負って来られるとどうしてもそれを受けるような形になってしまったところがある。前線の小塚、後藤、小林成が前線の守備のところも少し疲弊してきた中で、特に槙野選手の上がりはちょっと嫌だった。そこが押し込まれる要因となったところで、後藤を右シャドーに下ろして伊佐を頂点に入れて跳ね返すような形にした。

押し込まれる状況、槙野選手が上がってくる状況というのも一応、選手に伝えていたし、そうなったときにはしっかりとハーフウェイラインあたりのところで、少し自陣になってしまうこともあるかもしれないが、そこで構えよう、そしてはっきりと合わせて行こうということは言ってあった。それを我慢強くやってくれたのではないかと思う。