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闘う言葉

【記者会見】片野坂知宏監督「全体の距離感が大事で、選手が把握してやってくれた」

 

雨の中、たくさんの方がホームに来てくださり、われわれに最後まで力を貸してくださった。そのおかげでひさしぶりにホームで勝点3を取ることができ、一緒に喜びあえたことを本当によかったと思う。

浦和さんもミッドウィークにアウェイでACLの非常にタフなゲームを戦われての連戦。そこからアウェイの大分に乗り込んできて、われわれに対してどういうふうに来るかというところで、メンバーを変えてくるのではないかと予想していたとおりだった。

ACLでの疲労や移動での疲労などがあったかもしれないが、われわれがホームで迎え撃つ中で、浦和さんを相手にホームでしっかりと勝点3取れたことは本当に大きかったと思う。やはり浦和さんは力があり、選手層が厚く、外国籍選手を含めて非常にクオリティーの高い相手が揃っているチームなので、簡単に勝点3は取れないと思っていた。

ただ、シーズンが半分終わって、まだ目標の勝点45、J1残留が決まったわけではないので、これから後半戦がはじまるにつれ、より厳しい試合が待っていると思う。次節の横浜FMさんも、われわれのホームでは勝点3を取ることができたが、アウェイでまた厳しい試合になる。天皇杯との連戦で選手全員の総力戦になる中で、いいゲームをして勝点を積み上げられるよう、いい準備を継続してやっていきたい。

——グラウンダークロスでニアを狙うことが多かったのは。

選手の状況判断の中でやったのではないか。われわれには浦和さんの杉本健勇選手やナバウト選手のようなヘディングの強い選手はいないので、合わせるならグラウンダーのほうが有効という選手の判断だったと思う。

——ミラーゲームの中で相手より先手を取るポジショニングで終始主導権を握って戦えた。ポイントは。

まず浦和さんがどういうメンバーで来るか。おそらくミラーゲームになるだろうとは予想していた中で、浦和さんのシャドーはナバウト選手とマルティノス選手。個の能力は高いし攻撃にも強さがあるが、守備のところでは、こちらがしっかりボールを動かして相手を動かし疲弊させて仕留められるかにトライしようという中で、このシャドーの外国籍選手であればプレスにもそれほど強くなく、動かすことができるかもしれないと。

後ろで回すということに関しては、ここ何試合かはリスクを負って回して失点していたので、選手も少し慎重になっていたかもしれないのだが、距離感やつながりの部分でも全体がしっかりとつながりを持ってやってくれたので、上手く剥がすことができたし、慌てずに動かすことができたのではないかと思う。まず相手の圧。そこがどれくらい来るかというのを見ながら、十分できそうだったのでトライさせた。

今後もミラーゲームになる相手がいるのであまり詳しくは言えないが、全体の距離感はすごく大事だったと思うので、その距離感をしっかりと選手が把握した中でやってくれた。それでチャンスが作れたのではないかと思う。

——一昨日の昼頃にブラジルから帰国したばかりの岩田選手を起用したのは。

まず、(岩田)智輝がどういうコンディションか。疲労や時差ボケを確認すると、そこまで疲労していないし時差ボケもなく睡眠もしっかり取れている。コンディション的には万全ではないと思うが、十分に試合での準備が出来ている状態だったので、とにかく行けるところまで行きたいなというところで入ってもらうようにした。

移動があったり、コパ・アメリカでも2試合に先発していたので、疲労から来る怪我などには怖さがあって、ベンチに控えさせようかとも悩んだのだが、智輝自身がファイティングポーズを取っていたし、練習は前日しか出来なかったのだが試合に出たいという意欲でやってくれていた。コパに行く前もずっとチームに入ってやっていたので、そのあたりはスムーズにやってくれるのかなと期待して、使うようにした。

——攻撃陣が揃って調子を上げているのでは。

いいことだと思う。藤本は最初の頃に点を取っていたのだが最近は取れておらず、やっと取れたので、また肩の荷が下りたというか、継続してゴールを狙ってほしい。小林に関しても前節の神戸戦、そして今日の試合でも、コンディションを含めて非常に調子が上がっているので、十分にやっていけるところで結果を出してくれた。

やはりこういう競争が選手の成長にもつながる。昨季J2のリーグでも、1トップ2シャドーのところで調子のいい選手をいろいろ見極めて使いながら、2桁得点者を4人出したが、あれもすごくよかった。今季も藤本、オナイウだけでなく、後藤にしても小林にしても三平にしても、伊藤もそうだし、馬場もいまは怪我をしているが、シャドーの選手、頂点の選手を含めて攻撃陣がいるので、調子を上げて競争して、その中でレギュラーを勝ち取り、結果として出していってほしいと思う。そういう競争がなくてはチーム力は上がらない。しっかりアピールしてほしい。

——小林選手はどのあたりがフィットしてきたと感じるか。

小林の持ち味は前への仕掛けやドリブル、フィニッシュに至るところのクオリティー。十分に戦術に入った中でそれを出せるようになったことが、戦力として勝ち取ったことだと思う。いまはジョーカーとして使っているが、今後も先発を含めどちらもやってほしいし、継続してチャンスを作る、決定機を作る、そして攻撃だけでなく守備の面でもチームに貢献してほしいと思う。

——シーズン前半を終えて、得点をつけるとすれば。総括と後半戦に向けては。

前半戦を終えて勝点29取ったということは、自分の中では想定していなかった部分なので、100点をあげてもいいと思う。ただ、満足してほしくないし、この17節も通過点なので。大事なのは34節終わったときに、自分たちの目標である勝点45とJ1残留を勝ち取るためにやってほしいと思う。

前半戦に勝点29を上げることが出来たのも、やはり攻撃や守備の狙いを、出た選手が90分合わせてやってくれたことが成果につながったのだと思う。後半戦に向けても対戦相手がある中で、自分たちがどういう狙いをもっていくかということを徹底し、それを信じて戦うように。これから夏になってくる中でタフに戦える準備をして、強度も精度も上げながら、継続してやっていくことが目標達成につながるのではないかと思う。