【記者会見】片野坂知宏監督「自分たちが招いた失点を最後になんとか取り返せた」

 

神戸さんは監督が代わられて2戦目。前節のFC東京戦では[4-4-2]だったが、われわれに対してはどういう準備をされてくるのかなというところが予想しづらい状況だった。その中で、おそらくわれわれに対しても東京戦のような形でやってくるのではないかと想定していたところ、試合がはじまってみるとそういう形で来られた。それで今週のトレーニングで準備してきたことが試合の中で90分間通して出来たかなと思う。

失点場面は非常にもったいないと言えばもったいないのだが、われわれはボールを保持して相手を剥がしていくことを、ピッチでトライしている。神戸さんのプレスの圧や、この雰囲気の中でのプレッシャーを、選手は少し感じていたかもしれないが、勇気を持って最後まで自分たちの戦いを貫いてくれたと思う。そこは本当に選手に感謝したいし、選手を誇りに思う。

そういう中で、自分たちが招いた失点を最後になんとか取り返し、勝点1につなげることができた。非常に大きい勝点1になると思う。この勝点を生かし、今日の試合で出来なかったことを修正して、さらに構築のところで相手を剥がしてチャンスを作れるようなチームにしていかなくてはならないと感じている。

やはり神戸さんの個の能力は非常に高かった。われわれにはないものだと思う。そういう相手に対してわれわれがこのリーグで何を強みにしていくかというと、グループとして攻守に合わせていくしかない。なんとかこの戦いを最後までブレずに貫いて、目標であるJ1残留を勝ち取り、トライしてまた次につながるゲームをしていきたい。

——今季あまり出番のなかった小林選手を起用した意図と、評価は。

小林に関しては今季からわれわれに加わってもらい、トレーニングや練習試合でわれわれが与えたタスクにトライしてくれている。徐々に戦術理解度が上がり小林の持っているクオリティーがアピールできるようになり、今日のゲームに関しても、もちろん古巣ということもあるが、小林が途中から出れば生きる流れになるのではないかと。トレーニングでの小林のパフォーマンスを見て、今回使うようにした。

得点し、途中からチームに貢献して、加わってくれた戦力として、われわれも小林の良さを今後も生かしながら、ああいう貢献をしてほしいと思う。ただ、他の選手もいるし、競争の中でやっている。小林自身も今回メンバーに入り、やらなくてはならないという強い気持ちをもって臨んでくれたと思う。それでいいプレーが出たのではないか。

——今日も声がかすれているが、試合中はどのような指示を。

自分たちがボールを保持しているときのポジショニング。ポジショニングはわれわれの強みでもあるし、いいポジションからスタートすることをやっているので。そのポジションの修正と、守備のところで隙を与えないことを。このノエビアスタジアムに非常にたくさんのお客さんが入っていただいたし、われわれの応援も力強く、相手の応援もあって、なかなか声が通らなかったのだが、なんとかジェスチャー混じりで、近い選手には声をかけながら伝達するような形でやった。

前半の30分くらいまでは声もなんとかもったのだが、その後は嗄れてしまって、他のコーチに言ってもらうようにした。やはり神戸さんがどういう出方をするか、そしてプレッシャーをどういうふうに受けているか、その中でどこが空いているかということを、外から見ていてわれわれがわかっていても、選手が少し判断できないところがあったので、そういうところをなるべく外から伝えてあげて、少しでも上手くいくような形にした。ハーフタイムにも選手にそういうところを求めながら、選手もそのプレーを信じて、最後まで焦らずに切らさずにやってくれた。

——企業からの出資が発表されたが、夏の補強に影響はありそうか。

どうでしょう、それはまだ僕もクラブとそこまで深く話をしていないし、今後ウインドウが開くまでの準備になってくると思うが、われわれも目標に向かって、より戦術の精度を上げなくてはならないし、補強のポイントとしても、もう少し選手層を厚くしていかなくては、次節の浦和戦でシーズン前半が終わり、後半がはじまる中で、2回目の対戦になってくるといろんなことを準備してくるチームがあると思う。そういった準備も、クラブと今後、よりいい状態になるような形で話して進みたい。（出資の）影響は、ちょっとわからないが少なからずあるのではないか。そうやってわれわれに協賛・協力してくださる企業があることは非常にありがたい。トリニータのヴィジョンに賛同してくださった企業なので、われわれ現場とともにクラブ自体もステップアップできるような形で、J1に定着できるチーム作りを進めたい。そこでクラブも非常に頑張ってくれているのを感じるし、それに応えるには勝点を積み上げていくこと、精一杯ピッチで表現することだと思うので、それを選手に伝え、いい準備をしていいシーズンにしたいと思う。