【記者会見】片野坂知宏監督「われわれもああいうクオリティーのあるチームになりたいと思う」

 

今日はホームで、チャンピオンチームの川崎Fさん相手。今季J1に上がって対戦する相手はすべて格上だという中でトライしてきて、今日も選手はしっかりとこちらの戦術や狙いを遂行してくれたと思うし、最後まで足を動かし、頭を動かしてトライしてくれた。残念ながら0-1で負けてしまい、ホームでも3敗目となってしまって、たくさんの方が足を運んでくださった中で、喜びあえず非常に悔しい。

ただ、結果だけ見れば残念だが、内容的には川崎Fさん相手に、われわれらしさというか、トライするところは、勇気をもってやってくれたんじゃないかと思う。この敗戦を次に生かしていかなくてはならないし、前半戦残り4試合は、次節が首位のFC東京さんで、その後も力のあるチームが続く。その中でいいゲームができるように、とにかくそういう相手に、いまわれわれができる最大値を出して勝点を積み上げることを、トレーニングの中からしっかり改善し、修正して、少しでもよくなるように積み上げていきたい。

やはり川崎Fさんは素晴らしく、上手いチーム。われわれもああいう落ち着いてプレーでき、しっかりと判断できるクオリティーのあるチームになりたいなと、対戦して、いま思う。

——左サイドに庄司選手と高畑選手を起用した意図は。

まず、庄司に関してはルヴァンカップのC大阪戦は契約上出場できなかったのだが、その前の神戸戦で状態が非常によかったので今回はチャレンジした。対人や長いボールのところなど、しっかりやってチームに貢献してくれたと思う。

高畑は前節の清水戦でミスがあったり入りが悪かったりもあったのだが、もう一度チャンスを与えようと。特に左サイドでは左でオープンに持てる左利きは戦術的にも大事になるので、行けるところまで高畑で行ってみることにした。川崎FさんもACLを戦われた後で、右サイドにどういうメンバーが出てくるかが読めなかった。マギーニョ選手はACLに出ていたのでもしかしたら馬渡選手が出てくるかとも思ったのだが、ACLでのパフォーマンスがよかったのでマギーニョ選手を使ったのかもしれない。失点場面では一瞬のところでやられてしまうことを学んだと思う。前半のあのシーンが全てというか、高畑にとって足りない部分。この清水戦と川崎F戦で失点に絡んだことで、あいつがこれからどういうふうにトレーニングから変わっていくか。まだ成長段階だと思うので、しっかりとそういうところを見極めながら、トライさせるのか学ばせるのかを考えていきたい。

確かに失点は本当にもったいなかったところではあるのだが。川崎Fさんだけに、先に失点してしまうと難しいゲームになることは覚悟していた。本当に厳しいゲームだった。

——いいところまでは運べているのだが、そこから先に関して、今後は。

プラン的にも攻撃のところで川崎Fさんの守備ブロックを剥がしてアタッキングサードまで持っていく部分はやれていた。選手もトライして、チャレンジできていたと思う。やはり最後のところに関しては、狙いがある部分と、個人の判断とクオリティーの部分。われわれのチームは、川崎Fさんで言えばダミアン選手とか知念選手といった、個人で打開でき、ゴール前でのクオリティーのある選手がなかなかいないので、そういう中でどうやって点を取るかというところにいまトライしていて、その精度を上げる、そこに入っていき狙うというところを合わせていくしかない。クロスやラストパスを上げるほうのクオリティーにも関わってくるのだと思う。それも今日明日ですぐに改善できるものではないし、粘り強く根気強く、シーズンの中で継続してやっていくしかないと思っている。

——ハーフタイムに「楽しんで戦おう」と選手たちに伝えたそうだが、真意は。

楽しむというのと履き違えてほしくないのは、決して遊びではないということ。戦う姿勢だとか走る、切り替え、球際は大事なので。ただ、気持ちが入りすぎる部分。前節のホーム清水戦で試合の入りが悪かったので、選手たちはしっかり試合に入るという気持ちを整えてくれたと思う。ただ、対戦相手がチャンピオンチームの川崎Fさんということで、やはり個々の能力が高いので、リスペクトしすぎてもよくないし、いい状態でパフォーマンスしてほしいというところで、楽しむくらいの気持ちがあったほうがいいと思った。とにかく楽しむくらいの気持ちで全員でチャレンジしようと送り出し、ハーフタイムにも、0-1のビハインドだったが、後半の45分がある中で、そういう気持ちで最後まで戦っていけば勝点1でも拾える可能性があると考えて、そういう言い方をした。

——岩田選手の日本代表選出についてと、今日の岩田選手のプレーへの評価を。

J1の舞台で戦えて評価され、日本代表選手がトリニータから選ばれたことは非常によかった。岩田も小島亨介も、トリニータでのプレーがあったからこそ選んでいただいたのだと思うし、本人たちもしっかりトライしているところなので。代表に入ったからと言って、まだまだ成長を止めてはならないし、これからが代表でのスタート。特にこの2人は2020東京五輪世代なので、継続して代表に選んでもらえるようなパフォーマンスを、代表でも見せてほしい。そして、ただ行くだけではなく、できるだけ試合を経験してほしい。世界の強豪の素晴らしい選手たちと対戦できるので、そういう中で学べるものを学んできてほしい。

トリニータにとっても2009年の西川周作以来のA代表。今後もJ1の舞台で戦っていく上で、たくさん選ばれて、代表で刺激を得て、トリニータに戻ってからその刺激を還元してもらい、選手同士でも刺激を受けて、またチームの力を高めていければと思う。

今日の岩田に関しては、日本代表に入った影響かはわからないが、ちょっとリキみすぎているというか、らしくないなというか、いいことをしようとし過ぎて空回りしているような感じがあった。そういうところも、代表に入らないほうがよかったのかなと思いながら（笑）、ちょっと勘違いしちゃいけないと釘を刺しておかなくてはならない。本人もそのへんは今日プレーした中で重々感じてほしい。ルヴァンカップのC大阪戦でもよくなかったし、今日のゲームも川崎Fさん相手にいいことをしようと狙い過ぎて…ねえ、本当にねえ（苦笑）。もうちょっと岩田らしいプレーがあると思うので。本当にアイツは、メンタル的なものだと思う。いいものはすごくあるので、代表でもそういうふうに勘違いしないようにやってほしい。