GK 1 高木駿「いままでとは違う味わいの勝利だった」

 

——危ないシーンが何度もあったのによくしのいだ。

今日は厳しい試合になるのはわかっていた。湘南のプレスはすごかった。90分間通して相手の圧力を感じてピリピリした雰囲気で、かなり楽しかった。その中でしっかりセービングできたし、守備陣が今日も素晴らしいシュートブロックをしてくれた。みんな運動量多く連動して守ってくれた。本当に全員で頑張って頑張って掴み取った勝利。いままでとは違う味わいの勝利だった。

——前半は相手の勢いに対応できず、ゴール正面からのFK3本。あの状況をどう見ていたか。

相手は守備の圧力がそのまま攻撃にも乗っかっていてすごくいい攻撃をしていたし、動きもキレていた。ただ、あのへんまで来られてもああやって守れれば、という考えもみんな持ててきていて、実際に防げてもいる。やっぱりあれだけファウルが多くて直接FKを含めたセットプレーが多いのは、ちょっと困ったが、近すぎるFKは相手としても難しいと思うので、ちょっとずつ距離が変わって壁を変えたりと駆け引きもしていた。最初のは時間が早すぎたので相手のキックもまだフィーリングが合っていなかったのかもしれない。

——長谷川選手がリーグ戦初出場だったが。

攻撃に関しては本当に、多分今日の前半は誰が出ても難しかったと思う。それほどつなぐことには重きを置いていなくて、ロングボールを入れたあとのセカンドボールとか、90分間通しての戦いがすごく大事だった。前半に関しては問題なかったと思う。欲を言えば、このレベルのプレスでもボランチを介して正確につなげるようになれば、相手のプレスを無効化できるが、それもなかなか、イニエスタくらいじゃないと無理だと思う。でもハセ（長谷川雄志）もフル出場したし、また頼もしい選手が出てきてくれた。あいつはいいキックを持っているし体も強い。ビルドアップのポジショニングはまだまだ、奎汰も含めていろいろと教えていくべきところがあるが、新しい選手が出て勝てたこともすごく大きい。

——前半は前に蹴っても収まらずに攻め返された。苦しかったか。

まあ、それもわかった上での試合運びだったと思うので。だからこそ無失点で進められたというのは大きかった。あれで1失点でもしてしまうと相手に守りを固められたりしてゲームプランが崩れてしまう。「前半は耐えてOK」みたいな割り切りが、みんなで出来ていた。

——裏に入れるにしても前半は中央からまっすぐ入れる場面が多かったが、後半はサイドを使えていた。

少しずつ相手のプレスに慣れてきたり、相手が緩んできたりしたのもあったと思う。前半は意図的にまっすぐ入れていたわけではなく、サイドにもガッツリ来ていたので、入れさせられていた部分があった。それから上手くちょっとボールを持てるようになってから、じわじわ攻めることができたと思う。

——みんなで守っているときに一人で個人技で決めてくれる人がいるのは大きいのでは。

あそこもシマ（島川俊郎）が裏のスペースへといいパスを出してくれた。あれはチームで狙っていた形。そこから藤本が決めてくれた。また爆発してほしい。頼もしい。

——リードしてからの試合運びもすごく上手くなっているのでは。

そうですね。鈴木ノリがリーダーシップを発揮してやってくれているので、守備は全然抜けないし隙がない。

——島川選手があれだけハードワークするのも鈴木選手の指示か。

いや、シマがあれだけ動くのはシマの能力です（笑）。あれはすごい。自分でどんどん動けるし、素晴らしい。

——ハイボール処理の多い展開になった。

相手に背の高い選手がいたので、パワープレーを仕掛けてくることも予想していた。どんなときでもハイボールに対しては自分が出れば助かるということを、ヨシさん（吉坂圭介GKコーチ）から呪いのように言われているので（笑）。クロスが上がる前からヨシさんの「出ろおぉぉーーーーー！！！！！！」という声が聞こえているような気がして。とにかくGKが出ればなんとかなる、さわればピンチは防げるということを、「確かにそうなんだ…」と自分で思いつつ出ていけるようにしている。僕がキャッチしてしまえばその攻撃はもう終わるので、自信をもって出ている。今日もいい飛び出しからキャッチやパンチができた。チームを救えたと思う。

——攻守両面でアグレッシブだが。

攻撃でも守備でも広範囲でプレーできるよう心がけているし、それができるのが自分の持ち味だと思っている。今季は攻撃でも上手くいっていた。ただ、今日に関しては湘南のプレスがすさまじく、回していても絶対にどこかで潰されてしまうので、割り切ってプレーした。実際に今日は相手のほうがパス数が多かった。でもこういうゲームをものにできたのは大きいと思う。今後もこういう対策をしてくるチームがあると思う。

——神がかり的なセーブを連発している。

ボールが見えているし、体もすごく動いている。リラックスしてプレーできていて、楽しんでサッカーできているからこそいろんなことが見えている。ディフェンス陣が防いでくれたりと助けられてもいる。それほどディフェンスに気を使わなくてもノリ（鈴木義宜）は飛び込んでくれるし（岩田）智輝も声を出してくれる。（高畑）奎汰には指示しなくてはならないけど（笑）。そのへんで最後のところで僕が自分のプレーに集中できるというのもあると思う。前半の1本は自分でもシビれた。

——ここんとこ毎試合シビれているのでは。

そうですね…リラックスしてできているからかな。自分でボールを見て反応できている。ハイボールは自分の見せ場だと思っているので。長身の相手に競り勝てば目立つし、「俺はこれだけ高いんだぞ」と見せつけているところもある。

——最近、垂直跳びの記録が伸びているとか…。

いや、どうですかね、ないんじゃないかな（笑）。試合になるとすごく跳べる気がする。毎日毎日、鉛のように体が重くなりながら、何本も何本もハイボールを取らされている成果です。

——ボールが手に吸いついているような。

それはキーパーグローブのせいかも。RGというのを使っているんですが、あれは最高です。RGの吸引力（笑）。