【記者会見】片野坂知宏監督「喜びを次に切り替え、またたくさんの方に喜んでいただきたい」
われわれにとっては6年ぶりのJ1の舞台。アジア王者でおそらく今季もタイトル争いをするであろう鹿島さんとの開幕戦に向けて、チームがスタートしてから全選手がしっかり準備してくれた成果が勝点3につながった。今日も大分のファン、サポーターの方々にたくさんお越しいただいたが、喜んで帰っていただけて本当に良かった。また、大分のために一緒に戦ってくれたダニエルのためにこの勝利を捧げたいし、天国で喜んでくれているのではないかと思う。
ただ、34分の1としての開幕戦が終わっただけ。ここで勝点3を取るということは簡単なことではない中で、選手たちが守るべきところで守り、攻撃のところでパワーを使って、しっかりとタフに戦ってくれたことに感謝したい。大分に残っている選手も今日のために準備してくれていた。全員に感謝したい。
鹿島さんが予想どおり4-4-2で戦ってきて、自分たちがこれまで培ってきた攻撃の動かし方でチャンスを作りたいと思っていたのだが、やはり鹿島さんのプレスは非常に圧を感じたのではないかと思う。これはJ1でも高いレベルのプレスだと思うが、そのプレスを受けてもしっかりとボールを動かすことができれば、逆に自信がつくのではないかと、後半のピッチに送り出した。選手たちは緊張もあり、鹿島さん相手に難しさがあったと思うが、よくチャレンジしてくれた。なかなか相手を押し込むことができなかった中でも2点取れたこと、堅守の鹿島さんから得点できたことは自信になると思う。ただ、セットプレーでの失点は昨季J2での課題でもあった。ここはキーになるところなので、しっかり修正してまた全員で集中させ、失点を減らせるようにしたい。
ひさしぶりのJ1の雰囲気や芝生の匂いや迫力ある応援などにJ1の舞台に帰ってきたことを感じながら、いい成果につながったことをうれしく思う。その喜びを次に切り替えて、次のホーム松本戦で、またたくさんの方に喜んでいただけるような試合ができるよう頑張りたい。
——2得点を振り返って。また、藤本選手の長所は。
藤本は昨季加入してもらったが、それまでも前所属チームの鹿児島で得点していたし、昨季も12得点でチームのトップスコアラーになった。ゴール前の決定力がある選手だし、2点目のようなカウンターでのスピードもある。
1点目は中盤でカットしたところでいい形でコンビネーションを使って藤本のところで決めてくれた。2点目はオナイウが非常にいいプレーをしてくれて、アシストもいい判断だった。最後の精度のところでやってくれた。得点したのは藤本だが、チームとして狙いを合わせて取った点だと思う。もう1点入れるチャンスがあって、ああいうところを決め切れれば3-1になって、より勝点3に大きく近づける得点になるであろうところを外した。そういうところは藤本自身のこだわりを出してほしいし、決め切る力をつけていかなくては、今日は2-1で勝てたが、ああいうところで勝点3が1になったり勝点を落としたりということになるので、これを教訓にして、藤本だけでなく前線の選手にはこだわって突き詰めてやってもらうようにしたい。
——新加入選手を4人先発させた狙いは。
各選手のポジションと役割・仕事において対鹿島戦術の中で考えたときに、このメンバーで攻守両面いけるかなと思った。まず高山に関しては昨季も湘南でアグレッシブな姿勢で激しい運動量で相手を上回っていた。鹿島さんもサイドの選手は非常にスピードがあり仕掛けることができる。しっかり対峙してくれたと思う。伊藤涼太郎に関してはシャドーで、今日は少しロストする場面もあったが、いいポジションをとりながら守備でも貢献してくれた。小塚に関してもシャドーでのアイデアなどに期待した。起点になったり中盤でサポートしたりしてくれた。ティティパンは、プレシーズンからボランチの組み合わせをいろいろと試した中で、非常に戦術理解度も高いしアグレッシブな姿勢で運動量がある。鹿島さんは非常に隙のない、カウンターの速いチームなので、そういうところで対峙できる選手がいいのかなと。Jリーグ初出場だが、ティティパンならやってくれるのではないかと考えて送り出した。自分の持ち味をしっかり出してくれた。
その4人の新加入選手と他の既存選手がピッチでしっかりと戦術を合わせて準備ができていたので、このメンバーを選んだ。
——オナイウ選手投入後7分で2トップで得点したが、システム変更の狙いは2トップにしたかったのか中盤を厚くしたかったのか。
どちらもあった。やはり守るだけではいけないので、得点も取らなくてはならず、その怖さを相手に与えたい。また、中盤の攻防の中で、そこもしっかりと管理したかったのもある。そういう意味では(オナイウ)阿道もよく攻守に貢献してくれたし、2点目のところではいい判断をしてくれた。チームに貢献してくれたと思う。
——今日も大きな動きで指示を出していたが、J1での手応えは。
ああ、すみません。少し動き過ぎですかね…まあ、動くなって言われても動いちゃう。自分の中では一緒に戦っているつもりだし、これまでもそういうふうにやってきたので。カテゴリーに関係なくチームを管理する者として、戦術を冷静に判断しなくてはならないし、選手にも伝えるべきところと鼓舞するところとメリハリをつけてやらなくてはならないので、テクニカルエリアではああいう形になる。ゲームの状況や選手のパフォーマンスによって、自分が目立たないように、選手がしっかりとやって、大分のサッカーがどういうものかというのをたくさんの方に見ていただき評価されるようにやっていきたい。
——声は大丈夫だったのか。
ちょっと怖かった。前半に叫び過ぎて、でも飴を舐めて後半は落ち着いて。こうしてインタビューにも答えることができてよかった。気をつけます。