片野坂知宏監督【記者会見】「金沢さんはわれわれの攻撃の芽を摘む守備をしてきた」
ホーム最終戦、たくさんの方が大分銀行ドームにお越しくださり、最後までわれわれと一緒に戦っていただいた。まずはこれまで1年間の応援に本当に感謝したい。ありがとうございます。そのおかげをもって今日のゲームも、苦しい試合だったが勝点3を取ることができた。ただ、あと1試合、最終節が残っている。そして、自分たちで素晴らしい成果を掴み取ることもできるし、もしかしたらプレーオフに回ることもある。自分たち次第のところがある中で、これまで同様、42分の1の試合、最終戦でいいゲームができるように、全員でいい準備をし、狙いを合わせてやるしかないと思う。
金沢さんがわれわれに対してどういった形で攻撃・守備をしてくるかというところが、想定していたのとは若干違いがあったと感じた。守備で非常にオーガナイズされ、われわれの攻撃の芽を摘むプレッシャーをかけてきたことで、この守備を崩すのに難しさを感じる前半だった。選手はそういう中でも焦らずに狙いを合わせてやろうと試みたところは、これまでのゲームと違って、プレッシャーがある中での戦い方に集中してやってくれたのではないかと思う。
前半終了間際に2度ほど決定機があり、ああいう形の動かし方ができるようになったのも、プレッシャーを感じることなく自分たちの戦いができるようになったなと、前半を終えて感じた。後半もおそらく金沢さんにも隙やスペースができてくるのではないかというところで、我慢が必要になる。焦らずに90分の戦いをしなくてはならないと言って選手を送り出し、選手もチャレンジしてくれた。セットプレーからの得点も大きかったし、追いつかれたあとも交代選手を含めてバランスをしっかり取ってくれながら、個人技ではあったが川西が非常に大きな得点を挙げてくれ、2-1で勝つことができた。
もう少し自分たちで横パスとか揺さぶるとか攻撃の形とかいったものも、本当は個人やグループのところでやりたかったが、こういう状況やホーム最終戦といったいろんなことがある中で、難しさがあったのかもしれない。ただ、本当にみなさんの応援があり、選手が最後まで粘り強く戦った、その結果がああいうゴールにつながったのではないかと思う。今日は勝点3を取ることが本当に大事だった中で、勝ちきれたことがよかったと思う。
最終戦はアウェイで山形さんを相手に厳しい試合になると思う。コンディションを含めてしっかりと山形戦に向けての狙いを合わせて準備し、素晴らしい成果を大分に持ち帰ってきたい。
——前線3枚は今季初の組み合わせだったが狙いは。また、セットプレーから得点できたが、清本選手のプレースキックの精度に期待していたのか。
3枚の組み合わせに関してはすごく悩んだ。いま藤本が体調不良でいない中で、今回の金沢戦に関しては、スピードというところでチョイスした。おそらく金沢さんがマッチアップしてある程度人についてくるだろうという想定の中で、剥がすためには動きがなくてはならない。その狙いの下でこのメンバーでチャレンジした。清本にしても馬場にしても伊佐にしても、相手の変化や守備のところを判断して、しっかりとトライしてくれたのではないかと思う。
セットプレーについても前日に確認をして、清本がいいボールを上げていたので、チャンスになるかなというところでああいう形でいいボールが入って、鈴木もやっと決めてくれた。大事なゲームでセットプレーで、前節は横浜FCさんにやられたあとで、今回はその借りではないがセットプレーからの得点は非常に勇気を与えるし、大きな力になるのではないかというところでは、よかったと思う。
——川西選手に何を期待して投入したのか。
川西は最後でもああいうシュートを決めたり、ドリブルで進入したりと、ボランチで投入したが前線の仕事もできる選手。相手が疲労しているときに相手の変化を見ながらドリブルで仕掛けたり持ち出したりできる選手は必要になってくると思い、まずボランチに入れた。川西はそういうところからゴールに向かっていける選手でもあるので、ああいうカットインのシュートを、トレーニングでもしていた。それで、最後のところで個の部分でも仕事をしてくれればと思い投入した。
本当にいい形からのいいシュートを打ち切ってくれたと思う。ちょっと練習試合などでああいうところでのワンツーやコンビネーションで崩しをするなど、こだわりすぎているところもあったのだが、やはりシュート力があり、やり切ってくれるところは、最後にああいう形でよさが出て、チームに貢献するいい仕事をしてくれたと思う。
——相手が守備時に枚数を合わせてきたが対応は。
ある程度ハメてわれわれの良さを消してくるだろうとは想定していた。その想定の中で動かし方のところも選手たちにいろいろなアイデアを与えながら準備してきた。
いちばんはまず、杉浦選手がわれわれのアンカーに対してぴったりとマークし、中央を消してきていたので、こちらが動かす中で少し難しいことになった。ただ、そうなると4-4-2の相手は4-2-3-1で守備をしてくることになり、1トップなのでどこがフリーマンになるかというと、サイドの岩田と福森のところである程度持てる可能性がある。そこから進入していくことがチャンスになるということは、選手たちに状況によって判断させるようにしていた。
前回対戦ではSHの清原くんがわれわれの左サイドで下りて5-3-2のブロックを作ってきたりしていたので、そういうハメ方も想定して、そうなったときにはどこが空いてくるか、4-4-2とか4-2-3-1ではどうか。そういうことを選手たちは僕が指示するより前にわかって動かせるようにしていたので、落ち着いてゲームに入れているのを感じながら、もう少しの狙いのところを後半は提示して、やり切っていくことが大事だと伝えた。それを選手たちは慌てずにやってくれた。金沢さんのブロックに対し、しっかり判断しながら狙いを合わせてやってくれたと思う。
——試合終盤は勝点3を取りに行くためにリスクチャレンジを指示していたのか。
同点になって、もちろん勝点3は必要なのだが、これまでの試合でも前がかりになりすぎて勝点を失ったことがあった。1-1で勝点1でも、悪くはないというのは少し違うが、リスクを負っていけとは言っていなかった。もう1点入れられてしまうと本当に厳しくなるので、特にボランチの選手にはバランスをとって前がかりにならないようにという話はした。
ただ、攻撃に行く中で、後藤と三平を入れ、川西もボランチのところから関わっていけるだろうというところで、川西も守備のところでも球際に行ける選手なので、そのへんのバランスも取りながら、だけど、前田が残ってバランスをとってくれれば、ゴール前で川西の良さが出るかなと。バランスを取りながらのトライだった。
——川西選手の個人技と言っていたが、後藤選手と三平選手の動きもよかった。フィニッシュの形についてのチームでの共有は。
あのときも川西が1対1になったが、ああいうのもトレーニングの中で見た光景だった。ああいう川西の持ち方からのカットインでシュートを打ったりしていたので、あ、このままカットインしてシュートしたらいいのになと思った。三平と後藤も前に入ってスペースをあけてくれて、仕掛けるスペースができた中で上回ってくれた。そのあたりは、川西の個人技もあるが、川西の良さを知っている中で判断してくれたのではないかと思う。