TORITENトリテン

闘う言葉

MF 38 馬場賢治「今日を乗り越えるのはある意味第一歩だった」

 

——立ち上がりから激しい守備で戦っていた。田中隼磨選手とのマッチアップは。

そこは全部勝つという気持ちで入った。田中選手とのマッチアップは水戸のときも讃岐のときも経験している。なぜかいつも同サイドでやっていて、悪い意味ではなくあまり好きではないタイプ。やりにくい。そういう意味でも絶対に負けたくなかった。

松本はそういう部分でのストロングがあるチームだし、僕自身、戦う姿勢で絶対に負けてはいけない試合だったと思うので、個人としてもチームとしても意識してプレーした。

——相手が食いついてこない中で辛抱強く攻める入りとなったが、試合運びは。

ひさびさにすごく難しくて、相手もしっかり準備してきているし、僕らも準備している中で、自分の立ち位置と星選手、福森選手との関係性をスムーズに築くのに少し時間がかかった。相手3バックの飯田選手や田中選手の変化を見る上で、僕自身のイメージしていた食いつき方と少し違う部分があった。途中からはその変化に対応できた部分もあったが、そこへの対応力に時間がかかったなという印象。僕としても自分の立ち位置と相手の変化をもう少し早く見極められればよかったのだが、それも相手がいることなので、最初のほうは少し戸惑いながら。

でも、変な奪われ方をしないようにとか、焦れて前に変なタイミングでボールを入れないようにしっかり回すということは、全体で意識できていたと思う。

——結果的に対応力について、ついてきた感触は。

監督が指示してくれた部分もあるが、自分たち自身でもお互いに要求しあって解決できる部分も少しずつ増えてきていると感じている。

——先制点の場面にも絡んだが、振り返って。

僕自身、取ってからはシンプルにつなぎたいと思っていたので、前田選手に託し、そこからスピードアップできた。別の場面でもスピードアップしたときに人数はある程度かけることができていたので、そういう部分はよかったと思う。

——辛抱強く攻略した中で、理想的な崩しができたのでは。

本当に、チャンスは少なかったが、星選手がポストに当てたシュートなど何度かあった中で、焦れずに辛抱強くやって、自分たちのストロングな部分を出せるところで出せて得点できた。お互いに重要度が高まっているこういう試合ではロースコアはあり得ることで、その中で自分たちが焦れずに戦えたのはすごく大きいと思う。

——相手には一発がある中で、リードは1点。プレッシャーは。

ちょっと後半、ピッチの乾き具合などいろんな要素もあり、DFラインとGKとのボール回しに相手も対応してきたところで少し心配な部分もあった。リードが1点では何が起きてもおかしくないので2点目の大事さもあるのだが、僕たちとしては今日は先制点がすごく大事だったと思う。交代してピッチの外から見ていても心配な面はあったが、今日は全体として集中して守れていたので大丈夫だと思った。

——練習後に「これを乗り越えれば」と話していたが。

そうは言ってもまだ何も決まっていないので。今日を乗り越えるのはある意味第一歩であって、あと3試合ある中で次の試合がまた大事になる。たぶん来週もまた同じようなことを言うと思うが、こうやって少しずつ乗り越えて42試合終わったときに得たものが何かというのは、その得たものによって、あとあとこういうときに乗り越えたからということにつながってくる。シーズンが終わったときに、今日の一試合を勝ったことで、自分たちがいちばん理想とするものを得たとしたら、今日は間違いなく乗り越えることができたということだと思う。

それは試合に出た選手だけではなく、今週は紅白戦でも、相手を想定した選手たちがややこしいプレーをたくさんしてくれたので、これはチームとして得た勝利だと思う。今週得たものをさらに自信にするために、また次に向かわなくてはならない。

——試合前には毎試合が決勝戦のような気持ちでと話していたが。

それは意識せざるを得ない状況だし、今日勝つか負けるかというのは本当に大きかった。あくまでも42分の1とは言いながら、その中で自然と大事な試合、自然と力が入る試合というのは、人間なのでどうしてもある。だから確かに力は入ったが、実際に今日勝って、いま満足感があるかというと、次もしっかりやらなくてはという気持ちのほうが大きい。今日が特別な試合であったように、また次も特別な試合だと感じている。今日はいつもより少し声を出したが、次もまたいつもより声を出すのだろうと思う。

——コイントスで相手にコートを入れ替えられたが。

片さん(片野坂知宏監督)から、コイントスで勝っていつもどおりのエンドを取ってくれと言われていたのだが、僕がコイントスに負けて相手がいの一番に変えてしまった。ソリさん(反町康治監督)とは僕は湘南で監督と選手として一緒にやっているが、やはりそういう細かい部分を突いてくるなと思った。

でも、監督はいつもどおりにしてほしかったと思うのだが、選手としては陽の射し方とかも気にするし、なんとなく円陣を組んだときにポジティブだったので、結果的にはよかったのかなと思う。