片野坂知宏監督「中盤のところで数的優位を作られて難しかった」
【記者会見】
今日は雨の中、西日本、九州地方で災害があり、そういう中でのホームゲームで、被災者の方々にも励みになるようなゲームをして、足元の悪い中でも大分銀行ドームにお越しいただいたたくさんのファンやサポーターの方々にも勝点3をプレゼントしたいと臨んだが、非常に残念な結果で悔しく、申し訳ないと思う。
甲府さんはアウェイでの前回対戦で大敗したチームで、ルヴァンカップも勝ち上がっている非常に力のあるチーム。そのへんはリスペクトしながらも、ホームで戦える中で、今日は大きなチャレンジになると思っていた。負けてはいけないこういう相手に自分たちの戦いをやりきって勝点3を取ることが自分たちの強さにつながるかなと思ったのだが、こういう結果になったということは、やはり自分たちの力不足。甲府さんの激しいタフな戦いから学ぶべきことが多いゲームになった。
なんとか甲府さんのプレスを回避させ決定機を作る準備をしてきたのだが、やはり公式戦の中で違うプレッシャーを感じていたのかなと選手たちを見て思った。前半に2失点したこと、後半も前がかりになったところでミスもあり、そういうところを突かれた。前節の徳島戦でも、10人になったとはいえ3失点。ここのところ失点が多いところは反省すべき。選手にも伝えたのだが、先制点を取られて前がかりになってバランスを崩したりするところは修正して、粘り強く90分、最後まで戦わなければならない。それは今後の課題になる。そういう中でリスクを負ってチャレンジしながらも失点しない強さを身につけたい。そして先制されてもチャンスを作り、得点してひっくり返せるようなゲームができるようにしていかなくてはならない。それは日頃のトレーニングからが大事。
後半戦のスタートでまた甲府さんに敗戦して悔しいが、これを残りの20試合で取り返して、また這い上がるしかない。切り替えて、目の前の試合に対してまた全員で準備して、次の大宮戦も厳しい試合になると思うが、全員でいいゲームができるように戦っていきたい。
——ここ数試合、ボランチのメンバーが固定できないが。
われわれの戦い方においてボランチを経由するところに相手がプレスをかけてくることで、ボランチがなかなか機能できないところがある中で、今日の試合の狙いでの役割を全うできる組み合わせとして、姫野と小手川でトライさせた。ボランチの選手はほかにも何人かいるのだが、選手のいまの状態や、われわれの対甲府さんの狙いを踏まえて選んだ。
ボランチだけでなく前線もワイドもディフェンスラインにしても、つねに相手を見たり自分たちのチーム状況によってベストなメンバーを組みたいと思っている。その中でボランチは今回に関してこの2人になったということ。固定はせずに戦いたいと思うし、トレーニングでしっかり積み上げている選手、調子のいい選手、しっかりとプレーしている選手を見ていかなくてはならないし、その中で対相手での組み合わせを考えている。その状況が、今日はこういう形になった。
——その中で、前半で姫野選手を交代させたが。
リードされ、0−2になったので、点を取りにいかなくてはならない中で、プランを変える必要があった。早めに手を打って、まず姫野のところを川西に代えた。
——前回対戦と似たような展開になったが。
前回は立ち上がり5分くらいで失点が続いて厳しい展開になった。今回は立ち上がりに失点はなかったが、やはり先制され2点目を取られ、厳しい試合になった。そして攻撃的に行ったところでカウンターを受け、ミスもあって、もったいない失点をした。
ただ、前半の2失点に関しては、もう少し対応できたのではないかというところは反省点。ああいう失点を、1点はするかもしれないが、2点目を入れられてはいけない。それも一人だけの責任ではないと思うが。
甲府さんが今日、われわれに対してどういう形で来るかというのが、予想しづらいところもあった。甲府さんも連戦で、形は変えなかったが人を替えてきて、攻撃に関しても普段やっていないようなメンバーでのやり方をしてきた。そこで少し予想しづらい展開になったと思う。堀米くん、曽根田くんという決定力のある選手、個人で仕留められる選手のtことはもちろん警戒していたのだが、うまくやられてしまった。特に中盤のところの構成で、ゼロトップのような形でうまくわれわれのウィークのところで上回られ、難しいゲームになった。
【囲み取材】
——國分選手が下がって姫野選手が前のスペースへと飛び出したシーンが何回かあった。ああいう部分が姫野選手起用の狙いだったのか。
はい。(姫野)宥弥は前に絡めるし動けるので、前線のところを撹乱するような動きを増やせればなと、ボランチからの関わりのところを託した。
——ちょっと攻撃のほうに意識が向きすぎてしまったか。
前半で0-2なので、点を取らなくてはならなかった。いまはリスクを負って前に関わるとか追い越していくとかいったことを選手にも伝えながらやっているので、選手たちは攻撃のところでチャレンジしてくれたと思う。ただ、それを仕留めるなり具体的にフィニッシュで終わるなりしないと、前に行けば行くほど後ろのスペースが空いてくるので、ああやって使われてカウンターを受けることになる。
リスク管理やバランスについては伝えていたのだが、甲府さんの奪ってからの速い攻撃とか、タフに最後まで走れる強さとかは、いまの甲府さんを支えているところかなと思う。一人一人の強さ、隙のなさがやはりJ1レベルなのだろう。
——立ち上がりは少し長いボールを入れていく狙いがあった中で、精度があまりよくなかったということか。
精度ももちろんそうだが、前回対戦では相手のボランチのところでのプレスで失って失点する場面があったので、そこは今回も狙ってくるだろうと思っていて、その、前から来るところを奥行きで剥がしたり背後を狙ったりすることを狙いとして話していた。そこで、狙うボールなどはもう少し判断してもよかったかと思う。甲府さんのプレッシャーが強くて早く、奥行きが見えていなかったのではないか。
——42分という微妙なタイミングでの交代となった。
0-2だったので、前半だったが…。(姫野)宥弥は役割は全うしてくれたのだが、ボランチでコテ(小手川宏基)一人にかかる負担が大きくなっていて、どうしてもそういうところから失うことが多くなっていた。(川西)翔太のほうがボールを持てて運べるし、プレッシャーに来られてもかわすことができたりするので、早めに、傷が広がらないうちに代えた。もともと、ボランチの組み合わせもすごく迷ったところだった。
——シャドーに國分選手を起用した意図は。
伸太郎はシャドーのところでボールを受けたりいいポジションを取ったりしてくれていた。エデル・リマとの対峙においても、来る/来ないがあったり、食いついて背後が狙えたりフリーにさせてくれたりするところの判断で、伸太郎はすごくいい感覚を持っていたので。そこは使いながら、右から背後を取ったり崩したりできるかなと。
それと、タイミングよく抜ける動きもよくやってくれていた。あれだけしっかりと出し切ってやってくれたので、ああいう動きは大事。
——堀米選手のポジショニングがすごく嫌だった。
うん。どういう形で来るだろうと思っていて、もしかしたらトリプルボランチで徳島のような形でやってくることもあるかなと思ったり。でも上野さんはあまりシステムを変える人ではないとも思っていたので。3-4-2-1で佐藤くんがシャドーに入ってくるのはちょっと予想していた。でもトップが堀米くんなのか曽根田くんなのかというところで、堀米くんは起点を作れるし走れるし。
頂点にいるというよりは下りて受けていて、そこに対してどうしても後ろ3枚が余っていた。中盤もボランチのところでボールに行ったり中を閉めたりしてくれていたのだが、やっぱり枚数が多いとどうしても入ってしまうし、1トップのフジ(藤本憲明)がプレスに行っても一人では抑えられない。
中盤のところで数的優位を作られて、そこでターンされて前を向かれてずるずる下がってしまう。それでショウ(岸田翔平)にもとにかく前に行けと言った。堀米くんが下りたときには、後ろは余らなくていいからとにかく前に、と。でも、どうしてもタイミングよくああいうところにすっと下りられたり入ってこられたり進入されたりすると、後ろから行くのもなかなか難しくなる。あの対応は後手になってしまって押し込まれ、結局自分たちの前で1対1にされて抜かれ、仕留められた。難しかった。
堀米くんにしても曽根田くんにしても前を向いて強い選手なので、そこで前を向かせないということをもっと徹底できれば、トップがいないぶん背後を狙われることがなく全部足元だったので、もう少し勇気をもって前に行くチャレンジをさせないといけなかったかなと反省している。
——その状況を打開するために4-4-2にシステム変更して。
はい。後ろが余る必要がないので、4枚にしてとにかくマッチアップさせて。中盤も堀米くんが下りてきたりするところを閉めて、2トップにすれば前から守備をハメることができる可能性もあるので。前から行かせてボールを奪わなくてはならないし、攻撃でも4-4-2のほうが中央が多いので、サイドからの攻撃が狙えるかなと考え、もうそれで行くしかないと。それだとちょっと前がかりになってしまうのだが。駆けあがれるショウと(松本)怜がいれば後ろからも行けるかなと。前線にフジだけでなくパワーのある伊佐を入れたほうが、横からの強さも出るかなと考えてあの形にした。
でも、もったいなかった。前半の2点はもうやられてしまったけど、後半の2点に関しては、セカンドボールの反応が遅く堀米くんに拾われて寄せきれなかったし、コテのミスもプレゼントになってしまったので。(高木)駿もよくカバーしてくれて、なんとか粘り強く守っていたのだが…。
——今季初の連敗となったが。
連敗はしたくなかったが、徳島戦も10人になって負けてしまって、今回もこういう形になってしまって。甲府、徳島はやはり強い。これを取り返すしかない。連敗して終わったわけではないし、あくまでもわれわれの目標は勝点70でプレーオフなので、とにかく今日の敗戦を引きずらず、今後に向けてしっかりと準備していく。
ただ、今後もこういう甲府さんのような強いプレスでタフに戦ってくる相手をいなしたり、攻撃でチャンスは作ってくれたがそれを仕留めたり、具体的にフィニッシュで終わるような形をもっと作れるように、そしてリスク管理しながら戦えるような形は作りたいと思う。