片野坂知宏監督「相手のプレスを剥がしたい。本っっっ当に剥がしたい」
【記者会見】
ホームで1万2000人近い方々に、山口さんの方からも首位攻防戦ということでたくさんお越しいただき、非常に良い雰囲気を作っていただいた。この雰囲気を楽しんで自分たちのサッカーにチャレンジしようと選手に伝えて試合に入った。
非常にタフな、インテンシティーの高い、予想どおり大変なゲームだった。ただ、山口さんを相手に先制点を取れ、追いつかれたとしても追加点を取れた。そこは評価したいところではあるが、やはり山口さんの最後まで戦う姿勢、迫力、一人一人の能力の高さには圧力を受けた感じだった。こぼれ球でミドルシュートを入れられて同点となったあとも、山口さんがああやって攻撃的に来ることは想定していたのだが、やはり怖さ、厳しさをすごく感じた。
2-2の同点で勝ち点1に終わったが、自分たちにとっては勝ち点1を拾ったこと、なんとか負けなかったことが、次につながってくれればいいなと思う。
今後もシーズン3分の2が残る中で、今日のようなタフなゲームはまたあると思うし、山口さんのような迫力ある攻撃に対応しつつ、われわれももう少しつなぎの部分とか、プレスを回避できるようなボールの動かし方を、もっと積み上げていかなくては、J2のリーグ戦を戦っていく上で厳しくなるだろうと感じた。まだまだ積み上げなくてはならないし勉強していかなくてはならない。こういう試合を踏まえた中で、次にトライしていかなくてはならないと感じたゲームだった。
ピッチも天気も良くて、来てくださったたくさんのファン、サポーターのみなさんに勝ち点3をプレゼントしたかったが、切らさずに次に向けて、今度はアウェイで、J1の経験のある甲府さんを相手にまた厳しい試合。また勝ち点を積み上げられるように準備していきたい。
——前節は4-3-3で戦っていたが、今節はその選択肢はなかったのか。
あった。前線の高木くん、オナイウくん、小野瀬くんは非常に攻撃力と決定力がある。4枚でマッチアップすることも考えながら、状況によって4枚にするか、このまま3枚で行くかということも、プランはいろいろ考えていた。まだ天皇杯やアウェイ戦もあるのであまりたくさんは言えないが、4枚のプランもあった中で、相手の状況やウチの状況によって、試合の中で変化してもいいかなと考え、トレーニングでも3枚と4枚を試した。
その中で先に点を取れたり、追いつかれてもまたリードしたりと、決して悪いゲームではなかったのだが、攻撃のところでの組み立ての部分は、山口さんの非常に激しいプレスを受ける中で、そこを4枚にして出来るかということもちょっと考えながら、3枚で回しながら押し込むことが出来たらいちばんいいなということで、最後までそういうトライをした。実際には、三幸くんが良いボールを配球するので、そこをしっかり管理しなくてはならないところで、ちょっと中盤の構成を変えた。
本当に考えさせられる難しいゲームで、こういうタフなゲームになると思っていたが、厳しい試合だった。
【囲み取材】
——すごいゲームになった。
悪いゲームではなかったが、やはり山口さんはプレスも攻撃も迫力がある。こういうゲームを勝ちきれる強さを身につけていかなくてはならないと思う。
——中盤の構成を変えた意図は。
山口さんが3-5-2に変えたときに、三幸くんがわれわれの5-4のブロックの前でボールを持つことが多く、そこから前線を使ったりサイドを使ったりしていた。その管理にボランチが行ってしまうと高橋くんや池上くんが空いて、バイタルエリアに進入されたり縦パスを入れられたりしていたので、三幸くんを管理するために、前線を2トップ+トップ下にした。途中出場でフレッシュだったキヨ(清本拓己)に三幸くんにプレスに行ってくれと指示して3-5-2でマッチアップさせるようにした。
——山口が3-5-2に変えたあたりから激しく押し込まれたが、システム変更が関係したのか。
相手が2トップにして、オナイウくんと岸田くんのフィジカルとか機動力とか強さを使ってくるようになっていたのと、クリアなどはシンプルに背後に蹴ったりしていたが、その部分でもやはり三幸くんからのボールが嫌だったので、形は変えずにマッチアップすることがまずは大事かなと。点を取らないといけないので、キヨと伊佐の機動力で行ければと狙った。
押し込まれた状況で相手もシンプルに放り込んでくる、そのセカンドボールを拾ったときに、やはり3-5-2の2トップにしたほうが、相手が前がかりになっているぶんスペースが空いてくるので、そこで後藤、キヨ、伊佐で起点を作ったりして時間をかけて攻撃できるのではないかと。バランスを考えてあまり守備的にならずにしなくてはならない。それと、相手は2トップなので、ノリ(鈴木義宜)、フク(福森直也)、(ファン)ソンスのところでも1枚余って対応できると思ったので、そこはとにかく粘り強くやってほしいと、そのまま形を変えずにやった。
——割と早い時間での2枚替えは最初からプランにあったのか。
あった。本当はハーフタイムで変えようかとも思っていた。前半、(林)容平になかなかボールが入らず、組み立てのところでボールを奪われることが多く、そういうところから相手も奪って速い攻撃を仕掛けてきたり押し込んできたりする状況があったので、シンプルに背後を突こうと。それだったらスピードのある伊佐のほうが起点を作れるので、押し上げることが出来る。キヨと伊佐の機動力を生かして背後を狙うことで、相手を押し込む動きがあってもいいかなと。
近いところばかりで狙われていたので、ギャップやスペースが出来たところをもう少しボールの動かし方のところでも使えれば、逆にもうちょっと押し込んだり起点を作って攻撃できたりしたかもしれないというのが、前半は見えていた。それで後半からそうしようかなと。1点のリードでは、相手も最後に山下くんや岸田くんを入れて迫力ある攻撃を仕掛けられ、追いつかれると思っていたので、とにかく2点目を取りにいくことが大事だと考えた。
——伊佐選手と清本選手のカウンターがあまり上手く発動させられなかったのでは。
そうですね。まだ選手にも聞いてみなくてはわからないが、多分、それを使いたいけど、プレッシャーを受けてヘッドダウンし、近くに出してしまったのかと。やはり山口の切り替えは、いままでの相手とは違って、選手たちは非常にプレッシャーを受けたと思う。だから見えてない、使えてないところがあったのではないかと思う。そのへんは聞いてみたい。
——それで川西選手を入れて、中盤の主導権を引き寄せようと。
そうです。3-5-2同士でマッチアップしているのでで、人に強く、持ち運べて、決定的な仕事もゴール前で出来る翔太を入れた。キヨと伊佐を使ったり、サイドに出してそこから割ったりと、そういう攻撃の起点になってほしいのと、中盤の球際でマル(丸谷拓也)とバズ(宮阪政樹)をカバーしてほしいのと。
もしリードしていたら、ソンスのところに(竹内)彬を入れようと思っていた。相手は最後にパワープレーみたいな形でどんどん来るし、オナイウくんがソンスのところに入って危ない場面もあったりしていたので、そこを切ろうかと考えていた。
——ファン・ソンス選手の起用は、カードを切らずに3枚でも4枚でも行けるようにということで。
それもある。それと、本当ならオナイウくんとか岸田くんとかがクロスに入ってくるので、クロス対応の良い彬や刀根を入れようかと思っていたのだが、ソンスのほうが調子が良く、ソンスは新潟戦でも上手くやってくれていたので、ソンスを使ってみようと。ソンスはいろんなポジションで使ったりも出来るので、あのメンバーのままでもシステム変更できるということは、一応考えていた。
——相手にだいぶシャドーをケアされていたが、想定していたか。
どう来るかなと思っていたが、池上くんがあそこまで(馬場)賢治についてくるのは、ちょっと想定外だった。僕らの動かし方の中では4-2-3-1で守るのがマッチアップする形にはなりやすいので、あ、やっぱりそういうふうにしてきたのかと。そこで逆に上手くボールを回すことが、プレッシャーを受けて出来なかったのが悔しい。回し方や起点を作る位置なども指示していたのだが、山口さんのプレスが速く、なかなかそれが出来なかった。
——ようやくセットプレーから得点できた。デザインプレーだったのか。
本当に。一応狙っていた。ただ、狙いは一応言うが、選手に任せているところも多い。本当にセットプレーで得点したい。ウチはそこからの得点が少なく、逆に失点が多いので。失点を少なくして得点を多くしていけば勝ち点につながるということは選手たちに言って、選手もそこは感じている部分があったので、まあ良かった。
先制点も10分すぎくらいで取れて、そこで主導権を握ることも出来そうだったのだが、やはり山口さんのあの迫力はすごい。トップクラスだと思う。でも、これをやっぱり剥がしたい。本っっっ当に剥がしたい。それくらいに積み上げていかないといけないなと思う。それが自分たちのスタイルなので。今日はちょっとスタイルを崩していくような感じになったが、やりたい。剥がしたい。また天皇杯とアウェイで頑張ります。