片野坂知宏監督「やはり動きがないと受けたり崩したり出来ない」
【記者会見】
アウェイで金沢さんを相手に、予想どおりの厳しい、難しい試合だった。この暑さもあり、ボールの走らないピッチ状況もあってわれわれにとっては厳しかったが、そういう中でも、トータルで考えれば、選手たちが切らさずに最後まで戦ってくれた。まずはその姿勢がすごくよかったと思う。
なんとか最後の最後でこじ開けることが出来て勝ち点3につながったのだが、本当にどちらに転ぶかわからない展開で、ラッキーなところもあった。金沢さんの本当にタフに、一丸となって最後まで戦う姿勢はJ2でもトップクラスだと思う。そういう相手を自分たちの戦い方でいなし、チャンスを作って、確実に勝ち点3を取れるようなゲームを積み上げていかなくてはならない。それが出来なくては、こういうどちらに転ぶかわからないようなゲームで、いまはわれわれのほうに勝ち点が転んでくれているが、今後も厳しいゲームが続いていくと思う。これからのGWの3連戦も本当に厳しい試合、厳しい相手なので、チームとして積み上げ、気を緩めずしっかり準備して30人全員で戦っていきたい。
遠い金沢まで来て最後まで応援してくださったファン、サポーターの方に勝ち点3をプレゼントできたことが何よりよかった。これからもわれわれに力を与えていただき、次節のホーム町田戦でも勝利できるよう頑張っていきたい。
——今日、金沢がどういうふうに試合に臨むと予想していたか。また、実際にゲームを見てどう対応したか。
金沢さんはこれまでの試合で守備時には4-4-2でブロックを作っていた。われわれが昨季対戦したときは、SHの選手がわれわれのWBについて5バックになるやり方で、今回もそれはあるかなとも予想していたので、4枚で来たとき、3枚で来たとき、マッチアップしてきたときにどうなるかということを選手に伝えた。空いているスペースを使い先手を取って上手く動かすことが出来れば、そういうところからチャンスが生まれる。そこにトライさせた。
実際に試合に入ってみると清原選手が星について5枚になっていたが、マラニョン選手と垣田選手が2トップで守備をして5-3-2になっているのかというところ。杉浦選手が3トップ気味に張っていて5-2-3のような守備をしている感じもあった。5-2-3で来るということは、われわれにとってはマッチアップしてミラーゲームになる。そういう守備の相手との対戦も経験している中で、じゃあどういうところが大事になるか。テンポや動かし方のところで変化を見て先手を取るということはトレーニングでもやっていたのだが、前半はそういうところでプレッシャーを受けて、なかなかそういうところで回せなかったり空いているところを上手く判断できずに少し滞っていて、金沢さんの厳しい守備に引っかかることがあった。
そういうミラーゲームで大事なのはバランスと判断のところで質を高めしっかりと動かすこと。見るところを増やすことが大事だよと指示をして後半にトライさせた。なかなか決定機を作ることが出来なかったのだが、今後もどういう相手でも自分たちがその変化をしっかりと見極め判断して上回れるように積み上げていかなくてはならない。上手く行かなくても止まらずにやり続けて、攻撃も粘り強くやっていきたい。
——さきほどおっしゃった「ラッキーなところ」というのは。
後半の入りでピンチがあって、われわれにとってはハンドを取られるかもしれない状況があった。レフェリーによってはあのジャッジがPKになる可能性もある。前半の入りは良かったが後半の入りが悪かったので、そこはちょっとラッキーだった。PKを取られて先に失点してしまうと、金沢さんはより強固な守備を敷いて速い攻撃を狙ってくるので、追いつくのは本当に難しくなったと思う。前半から崩してチャンスを作ることが出来なかったので、先制されると厳しいと思っていた中でのあのジャッジは、われわれにとってはラッキーだった。逆にわれわれがあれを受けたらPKだと主張しただろうと感じてもいた。ジャッジによってプレーを止めずにやり続けるということは練習中から徹底していた。レフェリーによってはいろんなジャッジをすることがあるので、切らさずにやることが大事だと思う。
【囲み取材】
いやー。疲れましたね。難しかった(深い溜息)。
——ミスマッチを突き合いながら、こちらが持ったときには清原選手が下がるという感じだったが、こちらもブロックの形を5-2-3にするなど細やかに対応できていた。
そうですね。切り替えも大事だし、相手が陣形を整える前に速く攻められるようバランスを取るようにしていた。相手が5バックになるのは想定していたが、5-3-2で前から来るか5-4-1なのか、ああいう形で5-2-3になるのかに加え、前から守備をしてくるかどうかというところもあったので、早くポジションを取って、来るか来ないかのところを判断させるようにしていた。
——だいぶ芝がふかふかに見えた。
長かった。ボールが止まる状況だった。
——相手のほうが少しずつ上回っていたポイントは。
守備から入ってマルとバズのところでぐっと当たって戦って速い攻撃を繰り出してきたし、いまの金沢はマラニョンと垣田くんの2トップが関係もすごく良く機動力もあるので、そこで前を向いたりボールを収めたり背後も手前もあったりというところで上回られたかなと思う。なんとか無失点に抑えたが、簡単ではなかった。
——交代カードの切り方は、両チームとも最初の狙いを貫く感じだった。
そうですね。とにかくわれわれは1トップ2シャドーにボールを入れようと。前半はちょっと(林)容平と(馬場)賢治とごっつぁん(後藤優介)の距離が広くて、あまり良い関係ではなかったので、もっと寄れと指示していた。距離が離れるとサポートが遅れ、マンツーマンで潰されてしまうので、ボールが入った瞬間に潜るか抜けるかを駆け引きするなど、やはり動きがないと受けたり崩したり出来ない。それで後半に入るときには「ミラーゲームで来ているから、しっかりと1トップ2シャドーの形で相手を引きつけよう、相手ボランチはこちらのボランチに行っているのでそのウラが空くよ」と修正を指示した。
それでちょっとボールが入りはじめたかと思うが、そこからの崩しのアイデアとクオリティーがもうちょっと欲しい。一回、ごっつぁんがペナあたりからシュートをふかしたが、あの場面のような崩し方が出来れば理想的。
最後のカードではごっつぁんに代えてキヨ(清本拓己)を使って最後に1トップ2シャドーで攻めてくれというプランも考えたし、右サイドで(松本)怜と刀根が疲労していたので、刀根のところに(竹内)彬かショウ(岸田翔平)を入れて、フクとノリ(鈴木義宜)が残ってリスク管理しつつ、ショウを右から攻めさせようかとも考えた。だが、ちょっと間延びしてきたところで中盤でのセカンドボール対応を考え、やはり(川西)翔太を入れ、決定機を作ったり、球際でも中盤を立て直してほしいと期待した。
——順位としては首位になったが。
そんなの関係ないと選手たちには言った。首位だろうが勝ち点をいくら積み上げていようが関係なく、目の前の試合に集中するだけ。ここからの3連戦の町田、大宮、新潟は本当に手強い相手なので、ホームで2試合戦える中でまた勝ち点を積み上げられるようにしたい。連戦なのでとにかくコンディションを崩さず、そのゲームに対してしっかり準備してやっていこうと話をした。まだ10節が終わっただけで、大事なのは42試合が終わったときなので。
——会見で「いまはわれわれに勝ち点が転んでくれている」という発言もあったが。
はい、ラッキーもあると思う(苦笑)。東京V戦や横浜FC戦のように、逆にもらえなかったときもあるが。ただ、今日のゲームは本当に、一歩間違えば勝ち点を失うゲームになっていたので、そこで勝ち点3を取れたということは、選手が最後まで切らさずに頑張ってくれたおかげだと思う。
——どういう流れであろうとも、こういうゲームで勝ちきれたのは本当に大きいのでは。
本当にそのとおりだと思う。すごく大事。選手たちの自信につながるし、また前を向いてトライしてくれるので。今後の戦いも切らさずにチャレンジしたいと思う。