片野坂知宏監督「焦れずに後手に回らずに、互いの距離感がすごく大事だった」
【記者会見】
肌寒い雨の中、たくさんのサポーターに京都までお越しいただき、最後まで後押ししていただいたことを感謝している。そういう方々に勝ち点3をプレゼントできて、まずはほっとしている。
京都さん相手にアウェイで勝利することは、昨季戦った経験を踏まえても本当に厳しいだろうと覚悟していたが、自分たちの戦いにチャレンジして90分にわたり集中を切らさず、なんとか最後に勝ち点3を、われわれが引き寄せたゲームだったと思う。
正直言えば、前半からしっかりと攻撃を組み立て、最後の決定機のところでもう少しシュートを打ちたかった。そういう思いはあるのだが、雨の中、濡れたピッチというところで難しさがあった。それでも集中を切らさずに京都さんの激しいプレスに耐えながらなんとか組み立てて、1点をもぎ取った。チーム全員で取った得点だと感じている。
まだまだこれから厳しい戦いが続くと思うが、自分たちがやるべきことをもっと突き詰め、勝ち点3を取れるゲームを今後もやれるよう、また1週間、次の横浜FC戦に向けて全員で準備していきたい。
——試合展開を見ながら切った3枚のカードの中で、どれがいちばん勝負を懸けたと感じているか。
勝負を懸けたのは清本のとき。清本に関しては途中から出て得点したり前線を活性化させたりするし、長い時間使ってもああいう形で結果を出してくれる。まずはそこを期待して点を取りに行こうと考えた。
2枚目がすごく悩んだ。川西、三平、伊佐の3枚のうちの1枚を、どういうふうに行こうか、どう切ろうかと考えていた中で、姫野が疲労していたことと、少し押し込まれる状況が続いていたので、川西を入れた。彼は中盤のところでボールも持てるし、京都さんが前がかりになってスペースが空いてきたところで、配球でも上手く前線を使ったり出来るので、それでなんとか我慢強く戦えた。
最後のカードは、林が疲労していたところで、これまでは伊佐を入れることが多かったのだが、0-0の状況と、オープンになってスペースと時間がある展開において、判断の部分、関係を作る部分では三平のほうが良い形を作れるかと考えた。この3枚のカードを切ったところで得点を目指し、あとはバランスを崩さないようにという狙いだった。
【囲み取材】
——この試合ではWBのポジショニングが重要だったと見ていたが、狙いとして、「引いて守った」というのと「WBが低い位置を取って組み立てようとした」というのとでは、どちらの表現が近いのか。
引いて守れとは言っていなかった。小屋松くんと湯澤くんがわれわれのWBを出させないポジションを取るのは想定内だった中で、フレッシュな時間帯なら、刀根と(松本)怜のところ、フク(福森直也)と(星)雄次のところで縦ズレが出来るので、そのスライドをしっかりやって前からプレスに行こうと。そこで行けなかったときに本多くんと石櫃くんが高い位置を取ってくるので、そのケアのためにごっつぁん(後藤優介)と(馬場)賢治に守備に戻らなくてはならないときがある。それで、よくコミュニケーションを取ってプレーするように指示してあった。
行く/行かないの判断の中で後手に回り、距離が長くなって行けなくなってしまうと、相手にスペースと時間を与えてしまい、小屋松くんと湯澤くんの縦へのスピードが出てくるので、そういうときは行かずに自陣で構える、少し守備的な判断も選択肢としてあると話していた。焦れずに後手に回らずに、互いの距離感がすごく大事だというところを整理させて、守備に関しては伝えてあった。闘莉王と仙頭くんが良い配球をして、レンゾ・ロペスに入ったときに3人目が絡んできたりするので、そういうところもしっかりとついていこうとも話していた。
切らさずに頑張ってやってくれた。構えたくはなかったのだが、無理矢理に奪いに行って剥がされる場面もあったりしたので、構えざるを得ないところもあった。スイッチを入れるか入れないかの判断については、今後も合わせながらメリハリをつけてやっていかなくてはならない。
——姫野選手に守備についての指示は出したか。
(姫野)宥弥にあまりいろんなことを言うと、アイツの良さが消えてしまうので、もう思い切ってやれとしか言っていない。アイツは運動量が多いし、ぐっと闘莉王に寄せたりなどハードワークしてくれるので、そのへんがひとつ出ればいいかなと思っていて。
守備に関してはやはりサイドの対応が難しくなるというところで、ボランチを含めた3枚とWBに、相手のSBとウイングとインサイドハーフを管理するようにと指示していた。
——相手の切った交代カードの中で最も脅威だったのは。
やはり岩崎くん。でももうちょっと早く出てくると思っていた。スピードがあるし1対1で仕掛けて決定的な仕事も出来るので。
——川西選手を入れたのは闘莉王選手が前線に出てくるからかと思っていたのだが。
いや、それも考えていた。中盤のところでバズ(宮阪政樹)と宥弥が疲労してボールロストしたりプレスに行けなかったりして真ん中で上手くハマっていなかったので、球際に行けてボールも持てる翔太をと。先発で使うか、ああいう形で途中から使うかを考えたときに、翔太は前線も出来てボランチも出来るというところで、ゲーム展開の中で途中から活性化してくれるので。それはキヨ(清本拓己)にしても伊佐にしても、途中からのほうがいいかなと考え、先発は宥弥にして、バランスを崩さないようにと伝えた。