片野坂知宏監督「われわれのやりたいサッカーに、雨も味方してくれた」
【記者会見】
ホームで3戦目、なんとか勝つことが出来て本当に良かった。今日はファン、サポーターの応援も後押ししてくれたし、グラウンドも非常に良いコンディションだったことも芝の管理の方に感謝したい。ピッチが少し濡れていて、われわれのやりたいサッカーに、雨も味方してくれた。
そういう環境でゲームにも良い入りが出来て、立ち上がり10分に先制できた。負けなしで首位の水戸さんに対してホームで先制点は非常に大きい意味があったと思う。追加点もわれわれに勇気を与えてくれたし、自分たちのサッカーをした中で点が取れて、狙いどおり、ゲームプランどおりの結果になった。
ただ、水戸さんは一瞬の隙を逃してくれない。そういうところで勝ち点を積み上げているとおり、今日も2-1にされて難しいゲームになった。後半も少し相手に持たれ、われわれの守備の時間が長くなった。水戸さんもしっかりとつないでくるサッカーを展開し、われわれのウィークを突いてきた。こちらは若干リードしていて勝ちきりたいというところで、少し後ろが重くなってしまったかと感じる。ただ、そうやって水戸さんが前がかりになったところでカウンターから3点目を取れた。次の1点が勝敗を左右すると思っていた中で、林 容平がよく決めてくれた。
これで戦い方のはっきりした部分もあり、あとは全員で守りきって勝ち点3を取ることが出来た。本来であればもう少し後半も自分たちが押し込んだり動かしてチャンスを作りたかったのだが、ホームで勝ちたい思いの中で、なんとか守りきりたい、リスクを負いたくないという思いが選手の中にあったのかもしれない。よく全員で守ってくれた。次節は3連戦の3戦目で、アウェイでまた厳しい戦いが待っているが、またベストな11人、18人を選んで勝ち点を積み上げられるようにしたい。
——今節は前線を2枚替えて臨んだが、その意図と評価は。
いままで4戦は藤本を先発で使ってきて、今節は林を抜擢したのは、前線の起点やタメというところでは藤本よりも林のほうが収まりが良いのかなと。前半から林がしっかりとタメやテンポを作っり、得点でもサイドからのクロスで3点目を挙げるなど、期待どおりのプレーをしてくれた。
馬場賢治に関しても、今季からチームに加わって、練習でもシャドーのポジションで試行錯誤しながらトライしてきた中で、だいぶ関係が良くなったり起点が作れたりしてきた。水戸さんに対しての狙いのところでは馬場を使ってチャレンジしてもいいかなと判断して起用した。まだまだ修正すべきところもあるのだが、1トップ2シャドーの関係や立ち位置も良くなってきた。ピッチが良くボールが走ってテンポがすごく良くなったので、そういうところでも関係やバランスが良くなったのではないかと思う。
——芝に関してリクエストはしたのか。
ホーム開幕のときに比べると短くなっていて、東京V戦もすごく良いピッチでやらせてもらったのだが、出来ればもう少し濡れていればボールが走り、自分たちのつなぐサッカーがやりやすくなると思っていた。今日は屋根が開いていたのか、天候のせいもあって非常にスリッピーでボールが走る状態だったので、ボールがつなぎやすかったと思う。
ただ、後半、本当はもっと水戸さんを相手にボールをつないでチャンスを作りたかったのだが、リードして勝ちきりたい思いが強くなったり、奪ったボールをロストする場面が多かったりした。そういう部分で押し込まれる状況になったかと思うが、濡れている芝が、良いテンポを出させてくれた。
【囲み取材】
本当は失点ゼロで抑えたかったし、後半もボールを保持して動かし、チャンスを作ることももう少しやりたかったのだが、選手たちがみんなで意思統一してよく戦ってくれた。前半、相手が4バックになっているときに2点取れたことが大きかった。
——林選手があれだけフリーで起点を作れたのは、後ろで相手を引きつけていたからか。
もちろん相手が前から来ればそういうところも空いてくるしスペースも出来てくるのだが。まず、シャドーに対しては相手のボランチが消してきたりするので、頂点にはボールが入るかなと。そこに対して3人目だとか、そこで起点を作れればひっくり返すことが出来ると思っていた。
(林)容平にずっと言っていたのが、4枚の相手に対してのCB間のところでの受け方。そこをタイミング良くやってくれたのであれだけ起点を作れた。
——会見でおっしゃっていた、対水戸で馬場選手を起用した狙いとは。
賢治は受けるより抜けるほうが得意だったり、4枚の相手に対して起点を作ったときにブラインドサイドに流れるのが得意そうだった。前線でもかき回したり動いて受けたり出来る。それで、ひっくり返したときに、前線でのコンビネーションももちろんそうだが、嫌なところに入っていったりする。
先制点の場面でも、斜めに走ってこぼれ球を狙ってくれた。ああいう動きがあるので、止まって受けると狙われるが、動きがあれば崩れるということを伝えた。スタートポジションはしっかり1トップ2シャドーの形で中間ポジションを取り、そこから動いてくれと言ってあった。
——そうやって選手起用の狙いがハマった試合だった。
そうですね。賢治にしても容平にしても、ずっと開幕してから使おうかどうか悩んだりしていて、なかなか使えずにいたときに、練習試合に向けて映像を見せたりしながらもう少しこういうプレーをしてくれ、こういうポジションを取ってくれと要求はしていて、それがだいぶ良くなってきた。岡山戦、東京V戦と得点がなかったので、前線の活性化も狙った。
背後に抜けるなら藤本や伊佐がいいが、収めるのであれば容平がいいと考え、2人にチャンスを与えて様子を見ようと考えた。
——最後に小手川選手を投入するとき、あの時間帯でありながらずいぶん細かく指示をしていた。
相手が中央のところで、SHが中に入ってSBが高い位置を取り、回されたり間を使われたりしていたので、コテ(小手川宏基)は一応シャドーに入るが中を閉めてそこを消してくれと。また、バズ(宮阪政樹)やマル(丸谷拓也)も疲労していたので、中盤のところで助けてやってくれとも言った。
攻撃では相手が前がかりになるから、カウンターで上手くキヨ(清本拓己)や伊佐を使えれば追加点も取れるかもしれないし、守備のところでのセカンドボールを含めてしっかりゲームを終わらせてくれと話した。
最後のカードは本当に迷った。(松本)怜のところに(岩田)智輝を入れるか。刀根がロストするなど右サイドがやられていたので、智輝を怜のところか刀根のところに入れるかと。ただ、智輝を入れると高さがなくなるので(竹内)彬で最後をしっかり締めるか。あるいは彬を右にいれて刀根を左に回し、フク(福森直也)を一列前に持ってくるかとか。
本当に悩んだが、後藤が疲れていたのと、もしスコアが3-2になったときに4点目を狙いつつ守備もしっかりしたいというところで、コテを選んだ。
——3得点について。
1点目、2点目については4バックの相手に対しての狙いがしっかりとハマり、良い形での得点だった。3点目も相手が前がかりになっているときのカウンターで、クロスに対しても、東京V戦ではなかなかニアに入れなかったので、あれはニアに入ろうと言って修正させたところで、容平が良いタイミングでニアで合わせてくれた。