片野坂知宏監督「もしかしたら勝ち点3を取れずに終わった可能性もあった」
【記者会見】
2018シーズン開幕戦、アウェイでJ3時代にしのぎを削った栃木さんを相手に、厳しいゲームになるだろうと思って臨んだ。4-2というスコアは考えていたものと違って打ち合いになったという感じだが、われわれとしては栃木さんの堅い守備をこじ開けて4点取れたことが良かった。失点に関しては素晴らしいシュートを入れられてしまって、ああいうところで一瞬でも隙を与えると失点してしまうということを学んだ。修正しながら次のホーム開幕・山形戦に向けて一週間トレーニングし、ホームでは失点ゼロでまた勝ち点を取れるように準備していきたい。
このスタジアムに、栃木さん側も本当にたくさんの方が来てくれて良い雰囲気の開幕戦だったと思う。こちらもアウェイにも関わらずたくさんの方に応援に来ていただいて感謝している。そういう方々に勝ち点3をプレゼントできてよかった。昨季もアウェイで11勝できたので、今季もそれを継続しながら、昨季はなかなか勝てなかったホームでも勝てるようにしていきたい。
ただ、残念だったのは、少しグラウンドコンディションが思わしくなく、われわれのボールをつなぐサッカーにおいては選手たちがすごく神経を使ってやっていた。出来ればもう少しきれいなピッチで良いサッカーをお見せできればよかったのだが、そういう中でもトライしてくれた選手たちには感謝している。もちろんわれわれのクオリティーもあるし、環境は相手も同じ条件なので、なんとかトライできるようにやっていきたい。
いいスタートは切れたが、あと41試合、どういうことが起きるかわからない中で、選手、クラブ、ファン、サポーター、みんなで一体感をもって目標を達成できるようにやっていきたい。
——伊佐選手投入の意図は。
いろんな状況によってメンバー交代を考えていた。伊佐を入れる少し前の時間帯から押し込まれる展開になり、失点したこともあって、前線で起点を作り、前から守備をしたりセカンドボールを拾ったり、背後へ抜けたりする役割を、伊佐のプレースタイルやスピードが良い効果をもたらしてくれるのではないかと期待して投入した。
——栃木の2トップに対してどう対策して臨んだか。
タイプの違う2人で、大黒選手に関しては対戦経験もあり特長を把握していた。ウラへの飛び出しやゴール前での決定力がある。あの素晴らしいシュートにやられてしまったが、本当にそういうところで捕まえづらかった。ペチュニク選手に関しては上背があるし、体も強く、ゴール前で起点になれる。迫力を持って入ってくるのに対しては、体を当てて戦うしかない。あとはセカンドボールを拾い、周囲をしっかりケアするという対策で臨んだが、やはり難しかった。(高木)駿のビッグセーブも何回かあったし、決定的な場面を防いでくれたからこそこのスコアで終わったが、もしかしたら勝ち点3を取れずに終わった可能性もあった。厳しい試合だった。
——前半3点リードし、後半は栃木に攻め込まれる時間が長くなったが、要因をどう見るか。
つなぎの部分で難しさがあったのと、前線でなかなかタメが作れずにいたこと。また、0-3になったことで栃木さんもアグレッシブに攻撃を仕掛けてきて、それを受けに回った。相手が前に来れば来るほどわれわれの攻撃が生きるような形にしたかったのだが、それがなかなか上手くいかない。へニキ選手、岡崎選手、牛ノ濱選手や西谷選手が、切り替わったところで非常にアグレッシブにプレスに来るところで、奪われる回数も増えたし、苦し紛れに蹴って相手に拾われ、また押し込まれるという状況になっていた。サイドハーフの2人が前を向いて勢いよくゴールに迫ってくるところで、どうしても守備に回る時間が多くなってこちらの攻撃を活性化できなかった。それが感じられたところで伊佐を投入し、彼の良さを生かして前線の起点や迫力を持たせようとした。1-3になって苦しかったが、4点目が入ったことで選手たちも落ち着いてプレーできるようになったかと思う。
【囲み取材】
——前半に点差が開いてしまって、難しい展開になったのでは。
はい。なかなか得点できない拮抗したゲームになるかと予想していたのだが、意外と選手もスムーズに試合に入ってくれた。先制点が大きかった。
——前半は相手のバイタルエリアがスカスカだった。選手起用もハマったのか。
そうですね。後ろからもそういうところにしっかりとボールを出せていた。試合前の予想でも、中盤は前から来るよと選手たちには伝えていて、その背後などが空いてくるから上手く判断して動かしてくれと言ってあった。相手が前からプレッシャーに来たときに、無理だったらシンプルに背後に蹴っていいよと。そういうところから狙ってほしいという意図で、1トップに藤本を配置した。
——丸谷選手と宮阪選手のバランスが非常に良かったのでは。
マル(丸谷)がバランスをとって、守備でも球際に行ってくれるし運動量も多い。シンプルに展開もしてくれる。バズ(宮阪)も中盤でシンプルにやってくれたので良かった。
——へニキ選手が前に出始めてからペースを握られたが、どういった修正を。
前に来るから、ワンタッチツータッチで剥がしていこうと。来れば来るほどバイタルが空いてくるので、そういうところに通すボールの質を上げ判断を早くすれば、起点を作ってひっくり返すことが出来るよと言ってあった。ただ、グラウンドの真ん中部分が特にコンディションが悪かったので、それならサイドに持っていって、(松本)怜や(星)雄次のところで起点を作れれば、へニキのところは外すことが出来るかもねと話をした。
ただ、西谷くんと牛ノ濱くんもアグレッシブ。相手が4バックならあそこがポイントになってくるので、怜と雄次にも「前を向いたら仕掛けてくるから粘り強く対応してくれ」と言ってあった。
——それでも相手にペースを握られてしまった。なにを修正しなくてはならないか。
やはり前からプレッシャーに来る相手を剥がしたい。グラウンドのせいばかりにしてもいけないのだが、本当にボールが落ち着かなかった。タメをどこで作るかという判断が出来ればいいのだが。あとはそれを上手く散らせるように出来れば、相手は剥がせると思う。
駿がビッグセーブを連発してくれたから良かったが、やられていたかもしれない。セカンドボールが拾えなくなったのがいちばんの問題だったので、球際に行くとか、チャレンジ&カバーするとかいった部分ももっとしっかりやってほしい。隙を作ると失点してしまうし、ああいう決定力のある選手がJ2にはまだまだたくさんいるので。
——交代カードをどのポジションから切るかと思いながら見ていた。
そうです。本当に難しかった。どうしようかなと思って、早めにバズに代えて(川西)翔太を入れて中盤での判断や展開を対策したほうがいいのか。前線で藤本が疲労して相手に潰されていたので伊佐を入れるか。あるいはさんぺー(三平和司)を頂点にしてシャドーにキヨ(清本拓己)を入れて、キヨとごっつぁん(後藤優介)でサイドのカバーもしながら、奪った瞬間に速く前に行くのがいいかとも考えていた。
さんぺーもシャドーですごく良いプレーをして起点になっていたし、良いところで待っているのだが、そこにボールが入らなかったので、最初に伊佐を入れて前線から追ってもらったり、背後に抜けるところで押し込まれている状況を打開してもらう。そうやっておいて中盤に翔太を入れて、球際や展開やタメの部分を修正すれば、こちらのリズムになるかなと。
最後のカードのキヨに関しては、さんぺーも疲労していたし、相手もサイドとボランチのメンバーを代えて前へと来ていたので、疲労している怜や(竹内)彬を守備で助けながら、攻撃になったらキヨの良さをどんどん出せればと期待した。
——2失点をどのようにとらえるか。
いずれもゴールキックからだった。ゴールキックからのセカンドボールの予測やポジショニングをもう少し突き詰めておかなくてはならない。結局、後手になってしまっている。相手のほうが反応が早かった。大黒くんのシュートはちょっと、あれは防ぎようがないというか、前に入られてすらしているので、本当に難しい対応だったと思うが、アディショナルタイムの2失点目はちょっともったいなかった。跳ね返ったボールを彬がすらされて、西谷くんが走ったところにカバーがなかった。怜も疲労していたので(岸田)翔平に代えるかどうか悩んだのだが。怜は誕生日ということもあったので、走れると思って。
そのへんの隙が失点につながっているので、なんとか防げるようにしたい。ピンチになっているのも、セカンドボールを相手に拾われて前に仕掛けられ、上回られて危なくなってという状態だったので、粘り強く対応する力もつけていかなくてはならない。
——相手が悪い時間帯に3点取れていて良かった。
良かったです。セットプレー崩れから藤本も得点したし、ごっつぁんの2点も、トレーニングで狙っていたとおり背後に抜けてからだったし、コンビネーションも出せた中で、ミドルレンジからも打てるチャンスがあれば打ってくれと言ってあった。ごっつぁんもシュート力があるので、バーやポストに当たらずに今日のように枠に入ってくれれば、すごく助かる。
練習試合でもCKからの得点が続いていたのだが、今日もこぼれ球からそれを続けることが出来た。後半の4点目が大きかった。1-3になってからのダメ押しになった。さんぺーの判断でのあれも速い攻撃で、さんぺーと伊佐との関係で、伊佐もワンタッチで時間をかけずにやってくれた。昨季から伊佐は交代出場でよく得点してくれていたが、やはり交代した選手がこうやって活躍してくれると、今季も大事なキーになってくると思う。全員で取った4点目だった。
——選手起用をずいぶん悩んでいたようだったが。
悩んだ。紅白戦で選手を入れ替えて試してみて、今季のスタメンはちょっと入れ替えてみようかとも思ったりもしたのだが、いままでの積み上げがある中で、とりあえずやってみて、ダメだったら他の選手を入れようと考えていた。藤本も背後に抜けるだけでなく、シャドーともシンプルに連係するようになって良くなっていたので、使ってみようと。栃木の2CBの背後を取れたりと良さが出るかと思った。
——ベンチやベンチ外に置いておくのがもったいない選手がたくさんいるのでは。
本当にそのとおり。試合当日の朝まで悩んだ。本当にこれでベストかどうかと。誰が出てもある程度はやれると思うので、「ベスト」というものがわからない。これだけ戦力が整っているというのはありがたい。その中で対相手だとか、自分たちがどういうふうに戦うかということを考えてメンバーを組むことと、練習からしっかりとやっている選手、調子の良い選手を見極めることが大事になってくる。
——では今節は結果が出たが、また次節はメンバーががらりと変わる可能性も。
ある。練習試合もあるし、来週の練習も見て決めたい。開幕戦では大分に残ったメンバーも本当によく頑張っていたので、また山形に対してどういうメンバーを組むのがいいのかをあらためて考えるつもりでいる。