TORITENトリテン

闘う言葉

片野坂知宏監督「最後まで昇格を争い、緊張感ある中で最終戦を戦いたかった」

 

【記者会見】

残念です。本当に悔しい。(絶句して涙を流す)…すみません。悔しい。

選手は良くやってくれた。徳島さんもわれわれも、J1昇格プレーオフ圏内を目指すチーム同士による、球際やサッカーの部分でも素晴らしい良いゲームだった。第41節というリーグ戦の佳境で、お互いに目標があるチーム同士で戦い、観客の方々に良いゲームを見てもらえたと思う。

ただ、われわれにとっては、悔しい敗戦になった。細かい部分で、やはり徳島さんは隙なくきっちりと戦って、許してくれない。J1を目指すチーム。われわれも来季に向けて学んで、もっともっと突き詰めて、こだわって、トレーニングからやっていかなくてはならないということを、今日のゲームで教えられた。徳島さんは本当に良いチームだと思う。

前半は風下だったが、選手たちは立ち上がりから自信を持ってやってくれた。徳島さんが前からプレスをかけてきた中で、狙いをもってしっかりボールを動かして攻撃した。41試合で積み上げてきたものをピッチで存分に表現してくれたと思う。

残るは最終節。ホームでなかなかファンやサポーターに勝ち点3をプレゼントできていないので、最後は良い形で終えるように、しっかりと準備して、またみんなで戦っていきたい。

泣いてすみませんでした。以上です。

——今日でプレーオフの可能性が消滅した。足りなかったところは。

挙げればたくさんあるかもしれないが、攻守にわたる両ゴール前での厳しさや判断と質の部分。決めるときにしっかり決められるか。そのためにはシュートが枠に行かないと入らない。決定機をたくさん作りシュートを何本打ったとしても、枠に飛ばなければゴールには至らない。そういう部分でまだ、特に前線の選手の課題があるかと思う。

守備においても1対1の対応や、個人の対応のところで上回られてしまう。今日も失点場面は左サイドのシキーニョの1対1のところでクロスを上げられ、そういうところが綻びになってしまう。失点や、勝ち点を失うことにつながる。そういう部分でJ1を狙うチーム、今日の徳島さんも、J2でトップレベルの選手の能力を持っていると思う。そういうところはわれわれももっと突き詰めて、やっていくしかない。

——いま選手たちに伝えたいことは。

本当に感謝している。今日のメンバー18人だけでなく、大分に残っているメンバーも、今季はなかなか試合に出られない選手がいたり、出ても自分の持っているものを出しきれなかったりといろんなことがあると思うが、つねに次の目の前の試合に対して良い準備をしてくれたし、一体感を持ってやってくれた。我慢もしてくれたし、気持ちを次に切り替えて持っていくこともしてくれた。プロとしては当たり前のことなのかもしれないが、その当たり前のことを出来るかどうかというのはすごく大事なことだと思うので、そういう部分でも選手に感謝しているし、また、そういう一体感があるからこそ、当初の目標を達成できたのだと思う。

——今節、選手を入れ替えて臨んだ意図は。

これまでディフェンスラインは竹内が出ることが多かったのだが、今節に関しては、徳島さんの2トップが非常に迫力があるし、スピードがあり体が強い。一瞬のところで、今日もやられたのだが、そういうところでファン・ソンスに対人の強さやスピードへの対応といった部分を期待して、3枚を選んだ。

徳島さんは中央に人数をかけて崩してくるので、3-5-2という形を取った。2トップのコンビネーションは昨季J3でもやっていた三平と後藤の関係がトレーニングでも良かったので、この2人で行きながら、途中から伊佐や大津が入ってくれば、また違う変化をもたらしてくれると考え、最初に三平を使うようにした。

——あと1試合、勝たなくてはならない試合が残っている。今日の試合を受けて修正したい点は。

最終節はホームで熊本戦だが、熊本のスカウティングもした上で、どういうメンバーを組むか準備したい。

今日はこれまでもある程度コンスタントに出てはいたが、ひさしぶりに三平が先発。ファン・ソンスも高木もひさしぶりのゲームだったが、本当に自分の良さを出してくれたと思う。高木は、ずっと上福元が出ている中で悔しい思いをしながらもトライしてくれた。今日もビルドアップのところで自信を持ってやってくれて、そういうところは高木の良さでもあるし、やはりああいうトライは大事。もちろん上福元との競争もあり、修行もいて、今季途中で加わったムン・キョンゴンもあわせGK4人は良い競争をしているので、その中で状態の良い選手を使いたい。

ソンスにしてもひさしぶりの先発で、もともとは中盤の選手なのだがディフェンスラインに入って特長を出してくれたので、ディフェンスラインを含めて次はどういうメンバーを組むか、本当に難しい。準備期間が1日長いこともあり、良い競争を最後までさせながら、熊本戦に勝てるメンバーを選んでいきたい。いまの段階ではまだ決めていない。

ただ、メンバーが代わっても、積み上げてきたものをよく表現できており、積み上がっているという手応えは感じている。


【囲み取材】

——試合自体は本当に良かったが。

良かっただけに…。チャンスがなかったわけではないので、あのへんを決めきるように。やはり枠に行かないと入らないので。

——後藤選手のクロスバーは何試合連続だったか。

ねえ。僕もちょっと、運がないのかな…。

——メンバーを変えることはいつごろ決めたのか。

前節、山形に引き分けて、徳島のゲームを見てもやはり手強い相手になるからどういうふうにしようかなと。(竹内)彬も山形戦で最後にやられてしまったので、90分間もつかなというところで。もしリードしていたらクローザーとして入れるほうがいいのかなという感じで、変えようと決めた。

そうしたときにはノリ(鈴木義宜)を真ん中にしようとは考えていた。山崎くんや渡くんの一瞬の動き出しとか、起点になったときターンして自分で持っていける力もあるので、そこをノリとフク(福森直也)のところでなんとか抑えて、もう1枚を(岸田)翔平にするか(岩田)智輝にするかソンスにするかを悩んだ。ソンスもボランチだけでなく、3枚の右でも結構良いフィードを出すし、対人ももともと強いので。それでソンスで行こうと。

で、翔平は後ろよりもやはりワイドにしたほうがいいかなと。馬渡くんがどちらのサイドに来るか、内田くんを使ってくるか。相手が3-5-2で来るのか4-3-1-2で菱形で来るのかというところで、サイドは(松本)怜と翔平のほうがアップダウンが出来て対応できるかなと。本当は智輝も良いかなと思ったのだが、コンディションの問題で、今回もメンバーに入れるかどうか迷った。

もし早い時間帯にビハインドになったら、ソンスのところを翔平にして右に怜を回してシキ(シキーニョ)を入れるか、翔平を一列下げて智輝を右に入れるかということを考えていた。

相手が前半途中で5バックというか3枚にして、後半の立ち上がりから4枚にしてきて、あ、そのまま4-3-1-2にしてるなと。相手が4枚だったらこちらはワイドで起点を作れる。前半から怜のところが空いていて、そこを上手く使えていたので、後半もそういう入りだったら、シキを入れればワイドにポジションを取って、そこからのクロスとか仕掛けが出来るかなと思って、シキの投入は考えていた。

メンバーを交代して最後はシステムも4-4-2にして、(大津)耀誠と伊佐の2トップで後藤をサイドに回した。引き分けではダメで勝たなくてはならないし、勝つためには点を取るしかないので勝負に行ったのだが、最後のところで数的不利になったりシキの1対1の対応がまずかったりと、やはりやられるべくしてやられてしまった。そうしなくてはならない前に、決定機を仕留めておくべきだった。残念な結果になった。

——すぐに徳島のスピードにも慣れた感じだった。

うん。テンポが大事。相手がどう来るかわからなかったのだが、3枚であったとしてもGKを介してやれば良いと言ってあった。普段は4-1-4-1で攻撃するところを、3枚で。(鈴木)惇がアンカーにいて、(川西)翔太とコテ(小手川宏基)は、相手ボランチが、トップ下が前に行けば中盤のところで数的優位を作る。

翔平と怜も高い位置を取りすぎず、フクとかソンスの近くで数的優位を作って、相手SBが食いついてきてコテや翔太が出れば、そこでブラインドサイドを取ったり、中央でも2対2になってスペースが空いてくるから、そういう動かし方をしたら良いよと言ってあった。

紅白戦で試したときも悪くはなかったのだが、徳島さんがここまで前から来るとは思わなかった。前から行け行けと言っていたので、あ、結構来るなと。でもこっちもひっくり返していたので、やれやれ、もっとやれと。良い崩しもあったしひっくり返してチャンスを作ってもいたので、やっぱり前半で仕留めておきたかった。

——32分の崩しは素晴らしくて鼻血が出そうだった。

あそこは僕も笑いが止まらなかった。素晴らしかった。

——丁寧に作ってきたチームの成果が存分に出た試合だった。

だからこそ結果がともなえば良かったのだが…。最後まで昇格を争いたかった。緊張感ある中で最終戦を戦いたかった。

——徳島も大分も強く、ハイレベルなゲームになった。

うん。良いゲームだったと思う。でもやはり、結果が出ないと難しい…。

——最終戦のモチベーションをどこに持っていくか。

ホームで勝っていないので。本当にたくさんの方々が応援に来てくださっている中で、最後にホームで勝ち点3を。1年間の御礼の気持ちも込めて、勝たなくてはならない。そこは選手も責任があるし、自分たちの使命なので。

——今後に向けては。

やはり悔しい。今日の徳島さんを見ても、やはりひとりひとりが強く、しっかりしている。あれくらいの戦いが出来るようにしなくてはならない。まだまだ球際や判断、最後のクオリティーのところも上げていかなくては、なんとかここまで来ることは出来ても、ここから先は、個の問題になってくるところもあるし、こだわって突き詰めてやるしかない。

僕もあまり形にこだわらず、ただ相手の形がある中で自分たちがどう持っていけばビルドアップできるか、つなぐことが出来るかということをアナウンスはするのだが、それを選手たちが怖がらずによくやってくれる。あともうちょっと。もうちょっと上手く動かせるところもある。