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闘う言葉

片野坂知宏監督「決定機で打ちきる判断と質を上げていくしかない」

 

【記者会見】

本当に残念な結果。たくさんの方々が応援に来て下さった中で勝ち切れず、勝ち点3をプレゼントできなかったことを悔しく思う。われわれは今、J1昇格プレーオフ圏内を狙える順位まで勝ち点を積み上げてきている。残り3試合のうち2試合をホームで戦える中で勝ち点3を取らないといけないゲームだったのだが、勝ち点1に終わってしまった。何もかかっていないゲームであれば、今日のような展開でよく追いついたとなっていたのかもしれないが、われわれが目標としているJ1昇格プレーオフ圏内を狙うのであれば、今日の勝ち点1は負けに等しい。他力次第では数字上、まだ可能性はあるかもしれないが、残り2試合を今までどおり、しっかり準備し、また勝ち点3を積み上げていけるように切り替えてやるしかない。

若干、ピッチ状態が良くないなかでも、選手はわれわれのサッカーをスタートから集中してやってくれた。攻守で狙いどおり、山形さんを相手に、前回対戦のときよりも相手を上回って、本来なら勝ち点3に値するゲームをしてくれたが、結果だけがついてこなかった。

残り2試合も簡単な相手ではないが、40節終わって積み上げてきたサッカーを、しっかりと表現できるようにまた全員で一体感をもってやっていきたい。

――あとは結果だけ。決定機をモノにできない課題が今季1年通じてここまで来ているが。

得点を取らないと勝てない。今日の試合ではチャンスはかなり作っていたが、まず、シュートを枠に飛ばさないと点にならない。そのクオリティーは日頃のトレーニングから突き詰めてやるしかないと思う。

山形さんは今回、シュート4本で1点取っている。うらやましい決定力だが、僕の中では、決定力を上げるにはチャンスをどれだけ作れるかということと、打ちきれる判断の質。打てるチャンスで時間をかけてしまうと、山形さんはJ2でも守備が本当に堅いし、許してくれない。決定機はあった中で、打ちきる判断と質を上げていくしかないと思う。後半も打てばいいのに打てずという場面があって、ちょっとストレスが溜まった。そういうところも選手の判断を尊重してはいるのだが、やりきるように言っていきたい。

ただ、大津が途中から入って、短い時間で結果を出してくれた。大津はひさしぶりに出場して4試合で3得点。決定力がある(笑)。ずっと我慢して続けてトレーニングしてきて、こうやって結果を出してくれることは、他の選手の刺激にもなるし、大津自身もつねに、短い時間でも結果を出してほしい。どういう前線の組み合わせにしてもチャンスを多く作り、やり切って、こだわって、やっていくしかない。これが決定力の向上につながるのではないかと思う。

――後半の遅い時間に両サイドの選手を交代させた狙いは。

山形さんが4バックなので、この試合は中央よりもサイドを起点に崩したいという狙いがあった。(松本)怜と(岸田)翔平も前半からよく戦ってくれていたのだが、若干の疲労が見えたところで、攻守に狙いをもって交代した。岩田とシキーニョもスピードがありアグレッシブな選手なので、サイドを活性化させ相手を上回って、サイドからのクロスやサイドから中央への崩しを狙うとともに、守備でも、山形さんがサイドを起点に攻撃してくる中で、ストロングポイントである瀬沼くんや汰木くんへの対応に期待した。

2人ともチャンスを作ってくれたし、アグレッシブにプレーして終盤にかけても上回って戦ったのだが、結果につながらなかったのは残念。ただ、ゲームは11人だけでなく18人のメンバー全員で戦わなくてはならない。そういう意味では準備も大事だし、出た時間によってもどれだけチームに貢献してくれるかというところが大事になってくる。全員で、また良い準備をしてやっていきたい。


【囲み取材】

——前半の途中から相手は中盤の立ち位置を変えてきた。すでに想定していたようだったが。

4-3-3なのか4-2-3-1なのか、相手がどういうふうに中盤の構成をしてくるかを予想していた。おそらく阪野くん1トップでトップ下に佐藤くんが入ってくるか、佐藤くんと松岡くんのインサイドハーフで前節の愛媛戦のような形でやってくるかと。

コンパクトにして後藤やコテ(小手川宏基)のところを見たりしていたので、そのぶん後ろからのビルドアップはスムーズにやっていた。相手が後ろに下がればその前でしっかり動かせるし、そこは十分崩せるのではないかというところで、前半もチャンスを作った。そこで1点でも決めていればもっと主導権を持って試合を運べたかもしれなかったのだが…。

——相手のプレスをいなしてボールを動かせるようになるまで、指示はしたのか。

自分たちの対山形の狙いとして空いてくるところなどを伝えておいた中で、選手が判断して上手く動かしてくれた。(川西)翔太と(鈴木)惇も良いバランスでプレーしてくれたと思う。

——今日はいつもとWBの左右を入れ替えていたが、相手との兼ね合いか。

はい。いつもは(松本)怜が左でショウ(岸田翔平)が右なのだが、瀬沼くんが左からの瀬川くんのクロスに良い入りをするので、クロス対応の部分では怜だとちょっと厳しいかと考えた。それでショウを左WBにして守備対応に期待した。怜も以前から右WBでも良くやれていたし、怜なら汰木くんのカットインなどへの1対1の対応も出来るだろうということで、変えてスタートした。

——守備も良く耐えていたと思うが。

体を張って相手にチャンスを作らせず、良くしのいでいたのだが…。後半のあの時間帯、最後のちょっとしたことで失点につながる。これがサッカー。

——それにしても大津選手はすごいのでは。

ねえ(笑)。まあ、それまでに(岩田)智輝やごっつぁん(後藤優介)も右で良く走ってくれていたが。ああいうラッキーを引き起こせる、持っているものがあるのかもしれない。反転シュートが決まっていればヒーローになれていたのだが、ちょっと当たりが浅かった。ゴール前での体の使い方が結構上手かったり、シンプルにやれば出来る選手だし、大きいので起点も作れる。

——全体に、シュートを打てるところで打たない選択が、今日は特に気になった。

そうなんですよ…。後半も真ん中を崩してチャンスになった時間帯で、コテが抜けた場面も、あれを右足で持ったが、左足で打つ、左足でやりきるということもしてほしい。シキ(シキーニョ)も入れ替わって抜けた場面で、ズドンと逆サイドにブチ抜けばいいのだが、なぜかコネて時間をかけてしまった。あのへんは打ちきる、やりきることが大事なのだが…。

——相手の最終ラインのメンバーは予想していたか。

していた。愛媛戦でも良いプレーをしていたので。身体能力も高く、速いので最後のところでやらせてくれない。体を張ってくるので山形をこじ開けるのは簡単ではない。ただ、勝ちたかった。