TORITENトリテン

闘う言葉

片野坂知宏監督「自分たちのサッカーに集中してシンプルに戦った」

 

【記者会見】

アウェイで上位の松本さんを相手に、厳しい戦いになることを覚悟して臨んだ。球際や闘う姿勢、走る部分、隙のないチームを相手に、われわれが37試合で積み上げてきたものを通用するかどうかが通用するかというチャレンジでもあった。その中で、選手は最後まで集中を切らさず、自分たちの戦いを、一体感をもってやってくれた。勝ち点3に値するプレーをしてくれて、松本さんを上回ることが出来たことを、本当に感謝したい。

こういうタフな試合を残り4試合、ホームでも続けながら、勝ち点3を挙げられるようにすることが大事。そして大分に残っているメンバーを含めて全員で、最後に喜び合えるようにやっていきたい。

おそらく3-4-2-1のミラーゲームになると予想していたが、相手がどういうメンバーで来るかを考え、試合の入りを見て確かめながら戦った。相手がそれほど激しく前からプレスに来ることなく、少し構えていたので、しっかりボールを動かせたし、狙いをもってやることも出来ていたのだが、セカンドボール対応などの何でもないところからピンチになったり、つなぎの部分でのロストから危ない部分もあった。最後のところで体を張って、よく守ってくれた。

攻撃も、セットプレーからだったが、先制点が本当に大きい。後半の松本怜の追加点も、相手のミスから仕掛け、シュートを打ち切ってくれた。こじ開けることがなかなか難しい相手から2点取れたのは、今後につながる収穫になると思う。

ただ、それもちょっとしたことで左右されたものなので、逆にわれわれが勝点を落としたゲームになっていた可能性もあった。気を抜かず集中してタフに闘うゲームを最後まで続けていくことが大事だと、今日の試合を通して感じた。大分に帰ってしっかり準備して、またホームで勝ち点3を挙げられるように頑張りたい。

——ピンチを招いたという「何でもないところ」について、ピッチコンディションなどもあり仕方ないと考えるのか、まだまだだと考えるのか。

ピッチも濡れていて何が起こるかわからないので、セカンドボールを含め良い判断をしようと、選手たちには伝えていた。

さきほど「何でもないところ」と言ったのは、松本さんは高崎選手に長いボールを当てたり背後へ蹴ってきたりして、工藤選手なども予測で上回ろうとしていたので、クリアボールが相手に行ったり、奪ったボールをコントロールミスでロストしてしまったりして自陣で奪われるとピンチになる。クリアミスからパウリーニョ選手のクロスバーに当たったシュートとか、工藤選手が取って仕掛けてシュートまで持っていくところとか。

松本さんはそういうところがストロングだと思っていたので、セカンドボール対応やクリアボール、リスク管理のところで判断が大事だと話した。クリアするならはっきりクリアする、つなげるならしっかりとつなぐということを、特に相手が前線に当ててくるところに対して、DFラインの3枚に指示した。そこでもったいない失点をしないようにと、集中力、予測、判断を徹底していた。そういうところで失点はしたくない。もし失点していたら、もしかしたら違う展開になったかもしれない。

——高崎選手にほとんど仕事をさせなかった。具体的な指示は。

ゴールキックやセットプレーを含め、高崎選手に当ててくることは想定内だったが、そこに対してはとにかくチャレンジするしかないと。特に、マッチアップする竹内は、イエローカードももらったが、アグレッシブにトライしてくれた。ああいうところで起点を作られると、そこから攻撃がスピードアップして迫力が出てくるので、しっかり抑えたい。だから竹内に、アタックできるときはしっかり行こうと話してあった。まずはそこを抑えることが出来たこと。

それから、セカンドボールを含めて、高崎選手はフリックやワンタッチのパスを駆使し、工藤選手、石原選手との3人の関係がすごく良いので、まわりがセカンドボール対応の予測で負けないように、後手に回らないようにとDFラインに言ってあった。集中して体を張ってしっかりやってくれたと思う。


【囲み取材】

——岡山戦に続き、真っ向勝負のミラーゲームで良い試合をした。

本当に選手がよく戦ってくれた。ただ、やはり何でもないところから失点につながりそうな危ない場面もあったので、ああいうところははっきりと判断させるようにしていかなくてはならない。スリッピーなピッチ状況で、こぼれ球など何が起きるか分からなかったので。そういうところはDFラインにもしっかり指示して、もったいない失点を今後は避けていかないと、せっかく良いゲームをしていても勝ち点を落とすことになりかねない。集中を切らさずに最後までやれるようにしたい。

——伊佐選手を先発させたのは相手CBの間でカウンターを狙ったということか。

うん。相手とのマッチアップで、伊佐だったら上回ることが出来るだろうと考えた。本当はジョーカーにして途中から起用しようかとも悩んだのだが、伊佐もひさしぶりの90分で、とにかくやってくれればと。それで先制点を取れれば主導権を握れると考え、スタートから使った。伊佐の良さが出たゲームになったし、みんなが伊佐を意識してシンプルに使ってくれたと思う。

——吉平選手をベンチに入れたのは守備的な狙いか、それとも伊佐選手と同じ狙いか。

どっちもある。守備でも走って戦ってくれるし、攻撃でもウラに抜けたりするスピードがあるので。たとえばごっつぁん(後藤優介)が怪我をしたり何かあったりしたときには代わりに入れたりも出来る。コンディションが良い選手の中から選んだ。

——最後に山口選手を投入したときは、6バックにしたのか。

もう、そうです(笑)。ぐっさん(山口貴弘)には、上がってくる飯田くんに放り込んでくるからマンマーク気味に付けと。後ろに4枚が並んで6バックになるなりすれば、4枚はサイズもあるので守れるかなと思った。相手も中央に人数をかけてきていたので、数的不利になったりセカンドボールを拾われたりしないように、(姫野)宥弥を入れてトリプルボランチにした形で守りながら、伊佐とごっつぁん(後藤優介)が前線に残っておけばカウンターでもチャンスがあるかなと。走れる2人を前線に残して、あとは守れと途中で割り切った。

——また、これまで出場機会の乏しかった選手が正攻法の中で良い仕事をした。

(吉平)翼にしても宥弥にしてもぐっさんにしても、我慢強くトレーニングしたり練習試合でアピールしたりし続けてくれていた。それがこういうときに、大事なゲームで出場してチームに貢献することにつながると、本当に思う。

——どのあたりからウチの流れになったと感じたか。

もう前半で「あ、これはやれそうだな」と。相手のほうがすごくプレッシャーがかかっていて、ぎこちないように見えた。で、ハーフタイムにも選手たちに「向こうは思いっきりプレッシャーを感じているよ、こっちは全然ノープレッシャーなんだから思い切って行けるよ!」と言った。それくらいのほうが良いプレーをするし、やはりサッカーに集中して切らさずにやることが大事なので、ミーティングでも「ここに勝たないと昇格はない」とか「上に行くためにはここが決勝戦だぞ」とかいった話は全くしなかった。とにかく自分たちのサッカーに集中しようということだけで、シンプルにやった。

——こんなにガチの正攻法で行くとは思わなかった(笑)。

(笑)。ガチの3-4-2-1でやって、おそらくミラーゲームになるだろうと。で、後ろ3枚は當間くんのところが安川くんか那須川くんで、左WBが石原くんか安藤くんか那須川くんなのかどうなのかなと。左利きを2人並べてきたので、あ、結構左から来るなと感じていた。安川くんも古巣戦で気合いが入っているんだろうなと思ったり。

——安川選手の攻め上がりは大分時代には武器だと思っていたが、今日はそれをやられた。

怖かった。だが、最後に守備陣がゴール前で本当によく体を張ってくれた。松本さんを相手にアウェイで無失点で勝ち点3が取れたのは大きい。

——大分のアルウィンでの初勝利になった。

え、そうなんですか。それは良かった。まったくそういうデータは聞いていなかった。試合中の感触では前半から、自分たちの戦いをすれば全然行けると思っていた。