片野坂知宏監督「サッカーの難しさ、厳しさ、力不足を痛感した」
【記者会見】
今日は台風が近づいている中、大分銀行ドームでたくさんの方に最後まで声援を送っていただき、われわれも勝ち点3を目指したのだが、こういう結果になってしまい本当に申し訳ありませんでした。
同じ九州の長崎さん相手に、前回対戦で悔しい敗戦。今回もこういう形で負けてしまい、サッカーの難しさ、厳しさ、自分たちの力不足を痛感した。長崎さんは最後まで自分たちの戦いを貫いて勝ち点3を奪った。そういう中で自分たちの力が足りなかった結果だと真摯に受け止めて、残りの9試合に今日の結果を生かしていかなくてはならない。
選手にもロッカールームで、これで何も決まったわけではなく、まだチャレンジできる。残り9試合に向けて、もっと良い試合ができるよう切り替えていこうという話をした。ここから自分たちがどういうふうに戦えるか、自分たちでつかみ取れるチャンスもあるので、しっかりと前を向かせて、良い成果をみなさんに贈られるように頑張っていきたい。
ゲームの方は、長崎さんが前から来るか構えてくるか、どういう展開をしてくるかを少し考えて、おそらく前から来るのではないかと準備していたのだが、ファンマ選手をスタートから使ってきたので、自分たちがある程度後ろからつないで攻撃できるのではないかと予想した。試合の入りも悪くなく、その中で先制点を取れたことは、自分たちのプラスになったと思うし、前半は主導権を持てる戦いをやってくれた。
後半立ち上がりの早い段階での失点については、スローインから準備している間に隙を突かれて、個の対応のところで上回られたのが非常に残念だった。そこから攻撃でチャンスになりかけのところで、うまくシュートまでの形を作らせてもらえず、そこがまだまだわれわれの足りないところだと感じた。逆に長崎さんは、ゴール前でファンマ選手というパワーと決定力のある外国籍選手で得点を挙げ、あとは粘り強く守り、勝ち点を奪った。そういう戦いを積み上げてきているチームで、狙いどおりのゲームをされたと思う。
最後までわれわれも同点弾を目指したのだが、やらせてもらえなかった。いろんな部分での力不足だと思う。悔しいが、残り9試合に向けてやっていくしかない。次はアウェイ金沢戦で、厳しい戦いが待っていると思うが、勝ち点を取れるよう準備して、いるメンバーの中で合わせてやれるよう頑張っていきたい。
——前半は良いボールの動かし方が出来ていたのでは。
構えてくるか前から来るかというところでは、ビルドアップの際に、シャドーの2人が下がって受け、そこで相手CBの田上くんと乾くんがどういう立ち位置で来るかということをやってほしいと言ってあった。長崎のボランチの脇にシャドーが下りて数的優位を作ろうという狙いもあった。引いて受けることで相手がついてくるなら背後のスペースが空くし、ついてこなければそこでターンしてボールを運べる。そういうところで、プレッシャーがあるときの後ろの逃げ道としての判断の中で、バランスを取りながらやってほしいと話してあった。
後藤と三平には相手がマークにつきにくいポジショニングを取ってもらうように指示し、伊佐が高杉くんとのマッチアップの中で、CBが食いついてくればギャップが出来てスペースが出来るので、伊佐のスピードを生かして起点をつくったり背後のところで入れ替わったりということが出来るのではないかと狙った。
相手がつないでくることは、練習試合でも何度もやっているし、前回対戦でもやっているので、シャドーの後藤と三平に対してはおそらく激しく来ると予想していた。それで、そこに関してはある程度引いて、ビルドアップに関わるくらいの位置で数的優位を作りながら前を向いて受けられるような形にしたかった。それで、マークにつかれたところで受けるのではなく、引いたところ、ボランチ脇やサイドで数的優位を作って相手を難しい状況にさせるようなポジショニングを指示していた。
相手が引いたときに関しても、相手シャドーの食いつきの変化を見ながら、鈴木義宜と福森がうまく持ち出せれば、サイドで数的優位を作ったりできる。鈴木惇と川西も、ファンマ選手の後ろで十分に受けられるというところで、起点を作れたと思う。ただ、そこから先のフィニッシュまで行くところ、数的優位を作るところ、受けたところからどういうふうに攻撃していくかという判断と質に、少し物足りなさがあった。
決定機になりそうな場面もあったのだが、ゴール前でのコントロールひとつ、パスひとつ。そういうところがつながるか、良いボールが入るかでシュートまで行けるかどうかというところで、ゴール前でのクオリティーが足りないのと、長崎さんの守備が切らさずに対応していたところで難しさがあった。
——決定機を作れなかったという話だが、攻撃と守備、どちらを早急に修正したいか。
僕はどちらかというと攻撃のほう。やはり得点力を上げたいしチャンスをたくさん作らないと、J2では、ああいう外国籍選手や、日本人選手でもクオリティーの高い決定力のある選手がいて、一発の怖さがある。そういう中では、守備では、精一杯チャレンジしても、どうしても上回られてしまうことがある。今日に関してもファンマ選手のフィジカルの強さやゴール前での決定力は、J1クラスに値するものだった。全然やれていないわけではないのだが、上回られてしまう場面もあるので、やはりそれ以上に、われわれがチャンスを作って決定力を上げていかなくては、こういう展開になってしまう。
先制点を取って、2点目、3点目を取る。そういう攻撃力のあるチームにしていかないと、たとえはJ2でなんとか守りきって勝ち点を取って、J1に昇格しますということになったとしても、J1で通用するような攻撃はおそらく出来ず、守備一辺倒の展開になる。J1で残留したり定着したりするためには、攻撃力をつけていかないと、昇格したとしてもすぐにまた降格してしまうチームになってしまう。
チームとしてチャンスをたくさん作れる、一人の選手に任せるのではなく、全体で戦えるようなチームを作らなくてはならないと思うので、まずは攻撃力。チャンスをたくさん作れるようにしていきたい。
——シーズン終盤をどのように戦い、どこを目指すか。
今日も上位の長崎さんとの対戦で、われわれが勝ち点3を取れば上位に近づけるという大事なゲームだったが、今後の9試合でも上位との対戦がある。勝ち点の積み上げ方によっては、プレーオフ圏内であったり一桁順位も狙えたりすると思うので、まずは目の前の試合で勝ち点を挙げられるゲームをすること。そういうゲームがある中で、選手たちにも、前を向いて自分たちの戦いが出来るようにと話した。今日のゲームでの力不足の部分を、少しでも、チーム全体で補ったり、高めてこだわっていけるようなトレーニングをしながら戦いたい。そういう中で勝ち点を積み上げていくことで、上位進出の目標も達成できるのではないかと思う。
これまでもそうやってやってきたからこそ、こういうチャレンジが出来る。今季のわれわれの目標は、最低でもJ2残留で、一桁順位になれば本当に良い成果だと、僕は感じていた。もちろんJ1に自動昇格できたりプレーオフ圏内に入ったりできれば素晴らしい成果だと思うのだが、そこまでのチーム力や実力があるかと言われれば、足りないからこそ今この順位になっているし、こういう結果にもつながっている。われわれはまだJ1を目指すチームではなく、まずはJ2でしっかりと力をつけ、こういうゲームを勝ち点1でもしっかり取れるような試合にしていくことで、上位進出を狙ったり、将来的に昇格を目指したりということがついてくると思う。
しっかりと足元を見ながら、もちろん勝ち点を挙げる、勝てるゲームをしなくてはならないのだが、今季に関しては、自分たちの戦いが出来る中での経験を積み上げていきたい。
【囲み取材】
——内容的には悪くない試合だったと思うが。
それだけに本当に悔しい。ファンマ選手の2発で沈んだという感じ。選手たちは狙いをもってやってくれていたし、戦う姿勢を出して最後までやってくれたのだが。勝ち点を取りたかった。
——それに似たことを高木監督も少しおっしゃっていた。
そうですか。でも長崎さんはそうやってしぶとく最後まで自分たちの戦いを貫いて勝ち点を積み上げているチームで、それが長崎さんの色。やはりチームとしての実力があるから、ああいう形になるのではないかと思う。
——今日、岸田選手を先発起用した狙いは。
相手のサイドに、飯尾くんが出てくると思っていて、飯尾くん翁長くんというサイドは結構アグレッシブだし、守備のところでもしっかり対応しなくてはならない。(岸田)翔平は名古屋戦でもよくやってくれたし、(松本)怜も左でも経験があるので、この2枚をWBにすれば攻撃にしても守備にしても行けると判断した。
縦ズレになったときに、後ろにマークがいて、行くことによってそこのマークを捨てる。そのときに、アプローチは本当に近くに行かないと、ターンされて出されると、逆にその食いつきを使われてしまう。そこに関しては翔平も怜もスピードがあってアプローチが早いので、行けると思っていた。縦ズレ、横ズレをフク(福森直也)と怜の関係、ノリ(鈴木義宜)と翔平の関係で、そういう形にしてくれと話してあった。
——高木監督が川西選手のことをファジーなポジショニングで厄介だったと言っていた。
(川西)翔太が受けたり嫌なところに出したりして、そこが良かったので良い展開も出来たし、動かし方の部分でも悪くなかったと思う。あとは前線の組み合わせも考えながらやりたい。