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闘う言葉

片野坂知宏監督「良いサッカーをするのは本当に難しい」

 

【記者会見】

今日は本当に厳しい、難しい試合だった。愛媛さんと前回ホームで対戦したときも先制されて何とか追いつき勝ち点1を取れたのだが、今回も、先制点は取れたものの逆転されて、アディショナルタイムで追いついて勝ち点1をいただいた形になった。2試合続けて、負けなくて良かったというゲームだった。

全体的には愛媛さんのゲームだった。先制点は狙いどおりの形で取れたが、追加点がなかなか取れず、決定機も作れない。疲労のせいなのか、愛媛さんの勢いにのまれているのか。いろんな要因があるかと思うが、このゲームに向けてミッドウィークの天皇杯を飛ばした選手を起用した中で、コンディションがどうだったかということは、またあとで選手たちと話をしたい。

思っていたよりもフレッシュさや反応の面で良くなく、われわれの狙っているサッカーが上手くやれなかったことは、わたしも含めて反省しなくてはならない。

愛媛さんがミラーゲームで、こういうメンバーでやってくると予想した中で、天皇杯を延長戦まで戦っていた愛媛さんは後半に運動量が落ちるかと思っていたのだが、強い気持ち、戦う気持ちを持って粘り強くブレずに自分たちの戦いを献身的にやってきた。素晴らしいチームだと思う。そういう面はわれわれも学ばなくてはならないし、われわれも愛媛さんのように最後まで戦うことは続けていきたい。

今日は最後はああいうパワープレーになったが、なんとかこじ開けてくれて、負けずに勝ち点3を愛媛さんに与えなかったことは良かった。ただ、これからもっと厳しい環境でやらなくてはならなくなる。そういう中での判断やクオリティーをもっと追求して、こういうゲームをしっかりと勝ち切れるようにしなくてはならない。

今日のメンバーの11人、18人だけでなく、チームとしてシーズンを戦い、暑い中でのゲームを取り切るためには、いろんな準備が必要になってくる。全員でしっかり戦えるようなトレーニングを積み上げていきたい。

愛媛さんのホームゲームだったが、九州北部地域の豪雨災害に対して黙祷していただき感謝している。大分県の日田市・中津市では避難所生活でまだまだ大変な思いをされている方々、ボランティアも含め復興に向けて暑い中で頑張っている方々、たくさんの方がいらっしゃる。こういうゲームを通じてそんな方々の力になりたい。そういう思いを表現できるように、われわれもやっていかなくてはならない。

連休で、大分からもたくさんのサポーターが勝利を期待して来ていただいた。残念ながら勝利は出来なかったが、最後の最後まで戦う姿勢を見せることは出来たのではないかと思う。

——大津選手の先発起用と後半の2枚替え、それぞれの意図は。

大津に関しては、今日のゲームは暑い中での連戦なので、フレッシュな選手を使いたいと考えた。天皇杯で後藤が出場停止となり、前線3枚の構成をどうするか考えた中で、大津の前線での起点、セットプレー含めての高さに期待して使ってみた。

今季初出場初先発だったのだが、得点も取ってくれたし、自分の持っているものを出してくれたと思う。得点できたのは、本人のコントロールもあり、周囲との関係もあると思うので、そういうところでまた準備してほしいし、またチャンスをつかんでほしいと思う。

2枚替えしたときは、自分の中ですごく悩んだ。ビハインドの状況で攻撃的に行かなくてはならなかった中で、疲れている選手を見極めなくてはならない。限られたカードの中で、残り十数分とアディショナルタイム、アグレッシブに戦える選手をと。

前線には吉平を入れ、前線からの守備や背後に抜けるスピードで上回ってチャンスを作ってくれればと考えた。前田に関しては中盤のところで、前がかりになる布陣のバランスを取ってほしいと。ああいう状況で相手に3点目を入れられてしまうともうどうしようもなくなるので、リスク管理しながらバランスを取り、起点を作って攻守に戦ってほしいというところで2枚替えした。

2人とも短い時間の中でしっかりやってくれたし、本当にチームで戦ってくれていると感じた。これからもそういうことが大事になってくるのではないかと思う。


【囲み取材】

——熱戦だった。

なんとか勝ち点1を拾うことが出来て良かったが、前回対戦と同じくアディショナルタイムでの同点弾で、少しラッキーなところもあった。

——大津、前田と起用した選手が得点という結果を出した。

(大津)耀誠にしても(前田)凌佑にしても、本人だけでなく周りの支えもあってこそだったが、そうやって出場した選手が持てる力を出し切ってチームのために貢献してくれることは大事。今後も11人だけで戦えるリーグではないと思うので、実戦を経験させて積み上げていくことも、全選手に対して大事になってくる。

本来、伊佐を頂点にしてさんぺー(三平和司)とコテ(小手川宏基)、もしくはさんぺーを頂点にして(川西)翔太とコテという選択肢もあったのだが、伊佐にしても凌佑にしても天皇杯で90分プレーしたダメージがあったし、今日は後半勝負になるというのがプランの中にあったので、フレッシュな耀誠を使ってみて、それで機能しなかったら後半から伊佐に代えるか凌佑を入れて翔太を一列上げる形を考えていた。

前半に良い形で点が取れてリードしたまま折り返したが、ミスからの失点。2点目もちょっともったいなかった。ああいうところを許してくれないのが愛媛さんの強さ。

中盤のところでもう少し早めに凌佑を入れても良かったのかなという思いもある。翔太や(鈴木)惇の疲労があったり、愛媛が5-3-2で2トップ気味にしてきたので、中盤に元気な選手を入れて、攻撃で起点になったり守備でアプローチに行って制限させたりしようかなと思っていた矢先の2失点目だったので、しまったな、と思っていた。

——先制の場面は狙いどおりだった。

相手の変化を見ていて良かった。1対1になる、相手が食いついてくる、ギャップが出来る、スペースが出来るというところでは本当に狙いどおりだった。

耀誠は林堂くんとマッチアップすることが多くなるので、普通に正面から受けると潰されるから動いて受けろと指示してあった。3対3になるところでギャップが必ず出来るので、そこを狙ったらいいよと。プルする動きも、練習試合などで何度かトライしていた。相手にスピードがないぶん、一瞬のところで抜けられればと思っていた。

——試合前日練習で今日の前線3枚を試した中で手応えがあったのか。

ああいう大きい選手が中央にいると起点になるのでやりやすいと、さんぺーも言っていたので、ちょっと思い切ってやってみようかなと。自分たちがボールを動かして相手を押し込むことが出来たときには、ああいう選手がゴール前にいるのは嫌だろうなとも思った。セットプレー含めて耀誠の良さが出ると思った。でもいちばんは、フレッシュな選手を使いたいという意図だった。

——よく追いついた。

まあよかったです(苦笑)。相手GKのミスでラッキーだった。アウェイで勝ち点1は決して悪い結果ではないのだが、愛媛さんのようにハードワークして戦ってくる相手、隙のない相手をひっくり返したり、自分たちが主導権を握れるような戦いをしたい。

——丁寧に押し込んで崩そうとしていた場面もあった。

前半でも何度か3人の関係を作ったり、後半も、ああいう狭い中でもつないだりしてチャンスになりそうなシーンはあったのだが、やはりまだまだそこでシュートまで行けない、決定機が作れないのは課題。でもそうそう簡単ではないので。簡単でない相手に2点取られたときは「うわあ、厳しいな」と思った。警戒していたカウンターからだったので…。

次節の水戸にしてもその次の讃岐にしても、奪ってからの速い攻撃を狙ってくる相手。われわれも、ファストブレイクも狙いながら、引いた相手を崩せるような形を作りたいとは思うのだが。

——ラッキーな部分もあったとは思うが、それも上位へ行くのに大事なのでは。

いやあ…本当に、良いサッカーをするのは難しい。積み上げていきます。