TORITENトリテン

闘う言葉

片野坂知宏監督「紙一重のところはあるが、やっていかなくてはならない」

 

【記者会見】

本当に久しぶりの勝利。勝ったことで今はほっとしている。ナイトゲームにも関わらず、ここ数試合勝ちきれておらず、勝利を見たいということでたくさんの人たちに来ていただいた。その中で勝ち点3を取れて本当に良かった。

勝ち切る難しさ、勝てていない状況の中で勝つというのはしんどいことだなと感じた。ただ、勝てるかもしれない試合を引き分けたり落としたりしてきた中で、こうして勝ち切れたことは、選手にとっても自信になった部分はあると思う。

最後は守り切るような形になってしまったが、本当は、相手が前がかりになったところをひっくり返して3点目を取るようなゲーム展開にしたかった。いま勝ちきれていないところで、選手も守り切るという決断をし、ピッチに出ている全員が粘り強くやってくれたと思う。

これで何も終わったわけではない。次の試合もあるし、ここからアウェイで厳しい試合があるが、そこでも勝ち点3を積み上げるゲームが出来るようにしたい。今日のゲームでも、もっともっとわれわれには出来ることがあった。もっと積み上げなくてはならない課題が出てきた。また天皇杯を挟んで次の群馬戦でも、しっかりと積み上げていけるようにやっていきたい。

今日はスタジアムに入る前にサポーターの方が出迎えてくれて、勝ってほしいという気持ちを感じたし、われわれも勝たないといけないという責任感と覚悟をもって試合に臨み、結果が出た。本当に良かったと思う。

——後半、2枚替えの狙いは。

こちらが勝っている状況で、讃岐さんがパワーをもって押し込んできて、自陣で構えて守ることが多くなった。讃岐さんが前がかりになっているのに対して、こちらも前線でタメを作ったり逆にカウンターを狙ったりしたいという意図で、伊佐のようなスピードがあって体を張れる選手を投入した。三平も少し疲労があったので、攻撃の方にフレッシュな選手を入れて追加点を狙いに行こうと考えた。

山岸と松本怜を代えたのは、山岸が疲労していたことがひとつ。また、讃岐さんが市村くんを入れて西くんを一列前に上げることによって、ウチの左サイドを崩しに来ていて、少し危ないこともあったので、怜の守備力・攻撃力に期待した。

——リーグ戦ももうすぐ折り返し。今後どのように戦うか。

次の群馬戦、その次の千葉戦で21節が終わって半分になる。まず、J2のリーグは大変だなと。長い期間でいろんな相手と戦わなくてはならない。今日のようにカウンターの鋭いチームもあれば、激しく戦ってくるチームもあるし、ボールをつないでくるチームもある。いろんな対応、いろんな状況判断をしていかなくては、簡単には勝てないし、上位に食い込めないリーグだと感じている。

半分終わることで一通り対戦することになる中で、われわれが出来ることは、しっかりとボールをつないで相手の変化を見て状況判断で上回っていく攻撃が出来るかどうか。それを追求しながら最後の部分にこだわって出来るかどうかだと思うし、そういうところで得点を重ねることで、勝ち点を挙げることが出来る。

また、今日も1点入れられたが、ここ最近、失点が続いているので、それを減らさなくてはならない。粘り強く我慢強くトレーニングからこだわってやること。今日のように流動的にポジションを変えて攻撃してくるチームもあるので、個人的な部分だけでなく

チームとしても守れるかどうかが、ピンチを防ぎ失点を減らすことにつながってくる。そういう自分たちのコンセプトをもっともっと積み上げないと、前半戦のように勝ちを重ねることは難しくなると思う。

あとは怪我人を少なくしたい。その中で、どういうメンバーになっても同じようなサッカーが出来るように積み上げていくことが大事。

——今日、AKB48の総選挙で、大分市出身の指原莉乃さんが1位を獲得した。勝利の女神となったのでは。

ああ、そうですか。よかったですねえそれは。3連覇ですか。おめでとうございます。おかげさまでわれわれも勝つことが出来た。大分がそうやって注目されたりして良くなるのはすごく良いこと。大分県を代表されている方が注目を浴びることは大事なことだと思う。われわれも負けないようにリーグ戦で上位に行き、出来るだけ良い結果を残せるように頑張りたい。


【囲み取材】

——本当はもっと、という試合だったのでは。

はい。本当はもっと動かしたかったし、チャンスも作りたかったが、ああいう構える守備を崩すのは難しさがある。こちらののミスを突いてボールを奪いカウンターを繰り出すのが讃岐さんのストロングポイントだと思うので、それを警戒してちょっと構えすぎたかなと。

後半、讃岐さんが前から守備をしてくるときには、もう少しテンポ良く動かしたかった。やはり疲労してくると焦ってしまったりクオリティーが落ちたり判断が鈍ってしまったりするので、それが最初から最後まで出来るようにしたい。

——後半の立ち上がり、引いた相手を引き出すようなボール回しをしていた。

そうですね。選手たちにはちょっと大げさに「勝っているのだから、ずっと後ろでつないでおけばいい。45分ずっと後ろで回しておけばいいよ」と言ったのだが(笑)。さすがにそれは出来なくても、自分たちから突っ込んで失ってカウンターを受けるのは、相手の術中にハマることなので、やめてほしかった。

ただ、選手もチャンスだと思ったり空いていると思ったところは狙っていたかなと。それが良いときもあれば、ここはやめておいたほうがいいなというときもあったので、それをまた明確にしてフィードバックしたい。

——失点の直前に、相手はシステムを変えていた。

ダブルボランチにして、4-4-2なのか、木島くんがトップ下に入ったのかちょっと微妙だったが、ビハインドの状況だったので中盤を削って、前線に木島くんと原くんを置いていた。それは想定していたことだった。

——こちらも選手交代直後だったが、少し様子を見ている感じがあったのか。

あった。あれも相手に奪われたあと、中盤でちょっと寄せきれなかった。相手が4-4-2になることで、逆に前線で数的優位を作りやすくなるのかなと思いながら見ていたのだが、そこは剥がせなかった。

——シュート3本という数字については。

チャンスがあまり作れなかった。得点はサイドを割って取ることが出来たのだが、フィニッシュは打たせてくれなかったり、そこまで行く決定機を作れなかった。まだまだ積み上げていかなくてはならない。攻撃は難しい。

——先制後は少し守りに入ったのか。

そういうつもりはなかったのだが、こちらが先制したことで、相手もボールを動かしてくる中、守備の時間が長くなってしまった。逆に自分たちが持っているときにもっと相手のウィークを突くことが出来れば、チャンスも増えたし追加点が取れた可能性もあるので、そういうところは指摘していきたい。決して守りに入ったわけではなかった。

ピッチの中でも慌てて食いついてスペースを空けたりしたくなかった。相手も高木くんと西くんが高い位置を取って前線に人数をかけてきていたので、どうしてもコテ(小手川宏基)やごっつぁん(後藤優介)も引っ張られてしまって、さんぺー(三平和司)が孤立してしまった場面もあったかなと。ただ、コテとごっつぁんには、相手SBがそうやって前がかりに来たら守備に帰らなくてはならないときがあるから、しっかりコミュニケーションを取って、ブロックを作るときには作ろうと話してはあった。

まだまだ、われわれが攻撃で上回ることが出来ていなかったことと、先制点が早い時間帯に取れたことでちょっと受け身になってしまったことが、あったのかなと思う。構えている相手をどう崩すかというところで、もっと質があれば上回れるし、そこで奪われればピンチになるし。紙一重のところはあるが、やっていかなくてはならない。