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闘う言葉

片野坂知宏監督「このリーグで上に行くためにはまだまだ学ばなくてはならない」

 

【記者会見】

今日はたくさんの方々が大銀ドームに集まってくださり、大分の勝利を期待されていたと思う。最後の最後でこういうゲームになってしまって、勝ち切れず本当に申し訳ない。監督として勝たせてやれていないことに対して責任を感じている。

ただ、強い横浜FCさんに対して、選手たちはしっかりと自分たちのサッカーを貫いてくれた。その中で、素晴らしい鈴木惇と三平のシュートで、横浜FCさんから2点取れたことは、僕の中ではすごくポジティブな要素。失点に関しては、PK2本で、もったいないと言えばもったいないのだが、これもサッカー。やはり、まだまだ、勝つために自分たちが足りないということを突きつけられた。トレーニングからしっかりと積み上げていくことが大事だと学ぶゲームになった。

こういう勝ちきれない試合が今日を含めて5試合続いた。サポーターやファンの方々にとっても、少しフラストレーションのたまるゲームが続いていて、本当に申し訳なく思う。われわれは勝つために、ひとつの試合に向けて良い準備をし、最大値を出して戦っている。次節も大銀ドームで戦えるので、今度こそ良いゲームをして勝利をプレゼントできるよう、また準備して続けていく。これからもサポートし、応援していただきたい。

——今週はトレーニングでボールの動かし方をブラッシュアップしたが、試合で成果は見られたか。

横浜FCさんの守備が前から来るか引いてブロックを作ってくるかは始まってみないとわからない中で、どういう形になっても自分たちの攻撃の形を作っていこうということで、選手たちもしっかりボールを動かすことが出来ていた。前線の選手の組み合わせで三平を頂点にして、小手川が怪我から復帰して65分近くプレーできたこと、後藤との関係も悪くなかった。それに加えて後ろからの川西の関わりなど、攻撃の部分で良い形が出来てきたという手応えはある。

ただ、やはり最後のところでは簡単にやらせてくれないので、もうワンランク、攻撃の迫力を出したい。それはこれからまた積み上げていかなくてはならない。

——後半の選手交代の狙いを。

まず1枚目の前田に関しては、小手川が怪我明けということで疲労もあったりしてどこまで保つかということで、川西を一列上げるプランを持っていた。横浜FCさんもビハインドの状況で前がかりになり、佐藤くんを前線に上げたりと前にパワーをかけてきたので、中盤のところで前田を入れて好守に落ち着かせる意図をもって投入した。

そのあと(松本)怜を入れたのは、福森が疲労もあって状態が良くなかったので、このままだとやられてしまうと。横浜FCさんも津田くんと野村くんを投入して攻撃的に来たところで、守備で後手になってしまわないよう、鈴木義宜を左にして岸田を下げ、怜をワイドに入れた。怜も怪我明けだったのだが、サイドからチャンスを作ってくれればという狙いだった。

最後のカードで坂井(達弥)を入れたのは、得点したあとだったのと、山岸が疲労がある中で、バランスを崩さずに1点のリードを守りきるというところ。また攻撃に関しても左からのフィードを狙ってほしいということで投入した。

——逃げ切り方に課題が出たのでは。

5-4のブロックを作って守り切りたいし、相手もロングボールをイバに合わせてきたりしたので、それを鈴木(義宜)と竹内と坂井(達弥)で跳ね返したり、クロスに対しても守ってくれればと。

最後の最後でああいう形でPKになってしまったところは本当に悔しいが、慌てずに対応するしかないと思う。個々の対応の中で粘り強くやらせていくしかない。アディショナルタイム含めて残り10分ほど、坂井達弥を入れた時点で2-1で逃げ切りたいという思いがあった。

ここ最近、PKが多い。トレーニングからしっかり積み上げて、粘り強く対応する習慣をつけたい。


【囲み取材】

——相手がスタートから大久保選手を使ってくるというのは予想していたのか。

いや、前節の山口戦で使っていたのでもしかしたら使ってくるかもしれないとも思っていたが、シャドーは津田くん野村くんにして機動力を使い、前線から守備をしてくる可能性もあるかなと。それで後半の勝負どころに大久保くんを入れてツインタワーにしてくるかなとも考えていた。

実際には逆で、メンバーを見たときに、勝負どころで、ウチが疲労した時間帯にスピードで上回ってくるような形を取るんだろうなと思った。

——一方こちらは経験値の高いメンバーでスタートし、ベンチには若い選手を揃えた。意図は。

(吉平)翼も水戸戦でシャドーで先発し、もう少しではあったが悪くないところもあった。さんぺー(三平和司)を頂点に使うとして、シャドーのところでどういうふうにやろうかなと考えていて、勝っているときに最後に前線から守備をしたりカウンターを狙ったりするなら翼のスピードや運動量が生きるかと。國分もシャドーもワイドも出来るのでベンチに入れた。また、(松本)怜が復帰したので、ビハインドになったときにスピードとサイドからのクロスでやってくれればという期待があった。

本当はさんぺーを途中で伊佐にスイッチしたかったのだが、代える準備をしていたところで点が入り、ギシ(山岸智)が足をつらせたので、逃げ切るしかないという形で、守備のバランスを考えたときに(坂井)達弥を入れたほうが後ろ3枚が高くなる。クロス対応やセットプレーの守備を含め、達弥がいたほうがいいかなと。そこでまた怜と(岸田)翔平をWBにしてマッチアップさせれば大丈夫かなと考えた。

——今日は相手の間に顔を出して上手くボールを動かせた。

前線の選手の収まりと関係性が良かった。ノリ(鈴木義宜)やフク(福森直也)が開いて受けたときに相手のプレッシャーを受け、近いところに出すとロストしてしまうことが増えていたので、選択肢のひとつとして奥行きとか遠いところを見るといいよ、出しどころがなければシンプルに前線に蹴ってもいいよということを言ってあった。

奥行きを見て相手をひとつ越えることで、ひっくり返すことも出来る。さんぺーなどはボールを収めてくれるし、良い動き出しや良い位置取りで時間を作ってくれるので、後ろから押し上げることも出来た。

また、あまり相手が前線からプレッシャーをかけてこなかったので、後ろで余裕で回せると思っていた。本当はもっと回してほしかった。相手の前線が守備をするタイプの選手ではなかったので、もっと動かして変化させて崩したかった。

——次の試合に向けての収穫は。

バランスがすごく良くなったので、それを続けたい。守備のところはもっと粘り強くしていかないと、ミスをしてパニックになっているようではこのリーグでは戦えない。選手層をもっと厚くするためにも、控え組の選手たちにも奮起してもらいたい。

——この勝ち点1をどうとらえるか。

うーん…。連敗しなくて良かったと思うが、本当は勝ち点3取れたかもしれない試合だった。本当にサッカーは最後まで何があるかわからない。勝つのはなかなか難しい。

——後味の悪い結果になったが、選手たちにかけた言葉は。

結局、自分たちの実力が足りない。サッカーは何があるかわからないから集中を切らさずにやらなくてはならない。個人の対応でも集中して粘り強く最後までやらなくてはならない、といったことを伝えた。このリーグで上に行くためにはまだまだ学ばなくてはならないねと。

ロッカールームに全員揃ったところで、今日メンバー外だった選手たちにもハッパをかけた。良い選手、戦える選手を選びたいので、明日のトレーニングマッチでやれることを見せてくれと。チーム力を上げるために競争させていかなくてはならないので、奮起して出てきてほしいと期待している。